みなさんおめでとうございます、そして、みなさんこんにちは、ヤ球大好き、山本萩子です。

ご存じのように、今年もヤクルトがセ・リーグを制しました、うれしい! ファンの方はもちろん、他球団ファンでもヤクルトを憎からず思ってくださっているすべての方に、感謝の気持ちを伝えたいと思います。

ということで今回は、ヤクルトの今シーズンを振り返りたいと思います。

今回のヤクルトの優勝は、これまでに増して感慨深いものでした。どうお伝えすればいいか難しいのですが、今年のヤクルトはただの勢いではなく、計算された戦力のもとできちんと勝利を積み上げて優勝した、という印象を受けました。こんな強さを感じたのはいつ以来でしょう。これからヤクルトの黄金時代がくるかも、そんな予感さえしました。

特に印象に残ったのは、堂々たる試合運びでした。言うなれば、まさに王者のそれ。エースが抑えて主砲が打つ。リードされても最後まで粘る。強さとひたむきさを兼ね備えたチームは、昨年の優勝からさらなる進化を遂げていました。

今シーズンは最初から快調に飛ばして、交流戦も全チームに勝ち越しという快挙を達成。「あれ、このまま行ってしまうかも?」と思ったのも束の間、すぐに苦しい7月がやってきました。しかし、シーズン頭の貯金のおかげで、なんとか走り抜けることができました。

シーズンの立役者は、やはり村上宗隆選手につきるでしょう。MLBの公式サイトでも彼の話題が報じられているのですが、海外でも有名な王貞治さんの記録に肩を並べたのが大きかったのでしょう。「世界の王」に並ぶということがどれだけすごいことなのか、昔から彼をずっと見守ってきたヤクルトファンにとっては、あまり実感が湧きません。

村上選手の力で得た勝ち星はいくつもありました。交流戦明け、7月は厳しい戦いを強いられていました。投手陣が踏ん張れず、続く負け試合。その中で孤軍奮闘した村上選手は、コロナで主力選手が離脱したときもチームを支え続けました。

6勝13敗という惨憺たる結果で迎えた7月31日の甲子園での試合。オールスター戦の直後で、主力選手がコロナから復帰するも本調子ではなく、阪神との3連戦も最初の2つを落としていました。迎えた3戦目。そこで村上選手が放った3打席連続HRは、大きな衝撃でした。

村上選手が1本目をスタンドへ運んだときは、チームがリードを許していたからか、ホームラン後に笑顔はありませんでした。その様子を見て、私は彼の勝利への強い意志を感じました。

5打席連続弾のあとの第6打席もホームランを狙っていい場面でしたが、先頭打者の村上選手はフルカウントからの外角球を軽く合わせて2ベースにします。自身の記録より、先頭打者としての仕事を優先する姿に感動しました。

ヤクルトのリーグ2連覇に、頬が緩みっぱなしの山本です

チームは8月末に2位のDeNAに4ゲーム差まで迫られ、DeNAとの3連戦は天王山と言われましたが、ここも11打数9安打4HRと気を吐いた村上選手が救ってくれました。

思い返せば、バレンティン選手がNPB最多の60発を打った年のヤクルトは最下位。そう考えると、村上選手のフォアザチームの精神と存在感は、やはり別格だったといえるのではないでしょうか。もちろん、バレ砲は最下位に意気消沈する私たちにとって唯一の希望でしたが......。私たちが理想とする4番の誕生を心から嬉しく思います。

そして、来年の去就も気になるところ。もしも海外に挑戦するなら、純粋に応援したい気持ちでいっぱいです。

ということで、いきなりではありますが、萩子賞を発表します。

MVPはもちろん村上選手でみなさま異論はないでしょう。そして特別賞は......木澤尚文投手に差し上げたいと思います!

一昨年のドラ1が見せる、相手から決して逃げない闘志あるピッチングは、ファンの胸を打ちました。高津監督はチームが勝っていても負けていても、「この試合を落としたくない」という場面で木澤選手に投げさせているなと感じましたし、見ている方も、木澤選手が投げると勢いづき、その後の攻撃で点が入る気がしました。

昨年は先発で結果を出せませんでしたが、今年は田口麗斗投手とともに中継ぎで覚醒。今年から延長戦も復活したので、投手の総合力が大事なシーズンということで、中継ぎが作った貯金も多かったといえます。

今年のヤクルトは大事な試合を落とすことなく、貯金を作れたことが結果につながりました。つまり、人生も野球も大事なのは貯金ということ。いつか困ったときのために、自分もしっかりと貯金をしようと思ったのでした。それではまた来週!

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!