初戦のノルマは引き分け以上と語るセルジオ越後氏初戦のノルマは引き分け以上と語るセルジオ越後氏

日本のグループリーグ突破の可能性はゼロではないけど高くない。応援する気持ちを込めて40%だ。でも、サッカーは何が起こるかわからない。

例えば、先月決勝の行なわれた天皇杯で、J2の甲府が優勝するなんて大会前は誰も想像していなかったよね? 厳しい予想をひっくり返すのが面白いんだよ。僕は日本に期待したい。

カタールW杯のグループEに入った日本は順にドイツ、コスタリカ、スペインと対戦する。相手はどこも強い。特にドイツとスペインはメンバーの顔触れを見ると、タレントがそろっているなとあらためて感じる。

相手との力関係を考えれば、日本は我慢して守ってカウンターを狙うサッカーに自然となる。また、森保監督もそういうサッカーをするための選手を選んだ印象だ。

イメージとしては、今年6月のブラジル戦だね。最終的にPKを与えて敗れてしまったけど(●0-1)、一方的に攻め続けられながらも、後半32分まで無得点に抑えた。

警告をもらわない程度に反則をしたりしながら、相手のミスを待つ。板倉などは本当にねちっこく守っていた。ブラジルも嫌だったと思うよ。勝つ可能性は低いかもしれないけど、このサッカーを徹底するしかない。

言うまでもなく、グループリーグ突破に向けて重要になるのは初戦。日本はW杯本大会に過去6度出場しているけど、初戦を落とした3大会(1998年フランス大会、2006年ドイツ大会、14年ブラジル大会)はいずれもグループリーグで敗退している。だから、今回も初戦のノルマは引き分け以上。

ドイツにとって日本は勝ち点3をきっちり奪わないといけない相手。先制点が欲しいから、試合開始と同時にどんどんプレスをかけてくるだろう。日本は前述のブラジル戦のように耐える展開になる。

ただ、ドイツはブラジルと違って高さもあるのが厄介。ラインを下げすぎると苦しくなる。また、両SBの頑張りもカギを握る。サイドを崩されてクロスを上げられるのが一番怖いからね。右SBのスタメンは酒井で決まりとして、中山がいない左SBは長友か伊藤になるけど、高さのある伊藤を使いたい。

そして、この試合に関しては、攻撃は二の次。引き分けでも成功なのだから、相手にリードされない限り、無理をして前がかりになる必要はない。

とはいえ、0-0で粘って相手がイライラしてきたところで、切り札として三笘を投入するような展開に持ち込めたら最高だ。

伊東と三笘のスピードは日本の貴重な攻撃の武器。特に三笘はスタメン起用を期待する声も多いけど、彼のドリブル突破は相手が疲れている場面のほうがより活きる。逆に言うと、三笘をスタメンで使うと攻撃の切り札がなくなってしまう。

その意味でも、森保監督がどんな采配を見せるか。堅守速攻のプランどおりにいかず、簡単に先制点を許してしまうかもしれない。そのとき、選手交代や戦術変更など、ピッチにいる選手たちにどういうメッセージを伝えるのか。腕の見せどころだ。

ドイツもスペインも日本に勝って当然と思われている。逆に日本は失うものなんて何もない。勝てば世界のビッグニュースになる。怖がらずに戦ってほしい。

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