みなさんこんにちは、野球大好き、山本萩子です。待ちに待ったWBCが開幕しました。普段は野球に興味がなさそうな方が、大谷翔平選手が出ることを知っていたりすると注目度の高さを感じますよね。ということで、前回に続いてWBCの見どころについてお話しさせてください。

大谷選手やダルビッシュ有投手などが出場することもあり、開幕前から大きな注目を集めた侍JAPANですが、開幕戦の中国戦は8対1の快勝。大谷選手が3番・投手で先発して4回を無失点で抑え、打撃でも快音を残し、4打席2安打2四球で2打点と勝利に大きく貢献しました。続く韓国戦は3点を先制されてから13対4と大逆転勝利! このまま勝ち続けてほしいです。

前回のWBCはもう6年も前になるんですね。WBCは第1回の2006年大会からよく覚えていますが、その頃は日本国内でも関心がそこまで高くなくて、ライバルの韓国との試合だけが盛り上がるイメージだったと記憶しています。

しかし、今回のWBCは違います。チケットは即完売で、試合前のグッズ販売には長蛇の列。今大会がこれだけ盛り上がっているのは、日本代表をはじめ各国にスター選手が揃っていることに尽きるのでしょうが、元をたどれば、アメリカが"ガチメンバー"のチームを組んだことに端を発しています。

そもそもWBCは、MLB選手会によって立ち上げられたワールド・ベースボール・クラシック・インクが主催する「野球の世界一決定戦」です。MLBが声を上げて始まった大会といえますが、これまでのアメリカはほとんどベストメンバーが出揃うことはありませんでした。

理由はいくつかあると思うのですが、MLBの契約は多岐に渡っていて複雑なので、レギューラーシーズン以外の大会でのケガや、開幕前に行なわれるWBCに出場することで調整がうまくいかなくなることを恐れてのことだと思います。

もうひとつ、アメリカでは「MLBが世界最高峰のリーグだ」という意識もあったんでしょう。ナショナルリーグとアメリカンリーグの覇者による優勝決定戦を「ワールドシリーズ」と呼ぶことからもわかるように、選手たちには「なんで世界一なのに、他の国と戦わなくちゃいけないの?」という気持ちもあったのかもしれません。

今大会で本気を出してきたのは、アメリカ国内での野球人気をさらに盤石するという狙いがあるようです。そのためには、前大会に続いての優勝、連覇という話題が必要ですが、チームのキャプテンを務めるマイク・トラウト選手が声を上げたことで、ベストメンバーが揃うことになりました。

トラウト選手はインタビューで、「前回の2017年大会に出場しなかったことを後悔している」と話していたように、今大会にかける強い意気込みが感じられます。そして、何よりもロサンゼルス・エンゼルスのチームメイトでもある大谷選手との対戦を楽しみにしているとか。

ちなみに、アメリカチームがどれだけガチかといいますと、オルースターの中からさらに選抜したようなイメージでしょうか。シーズンMVPに3度選ばれたトラウト選手をはじめ、昨年のナ・リーグ本塁打王カイル・シュワーバー選手、「ミート力」「長打力」「走力」「守備力」「送球力」の5つに秀でた"5ツールプレイヤー"のムッキー・ベッツ選手、ともにMLBを代表するショートのトレイ・ターナー選手とティム・アンダーソン選手が組むだろう二遊間などなど、注目すべき点は目白押しです。

MLBで活躍するメンバーを漏れなく選んでいますから、スタメンを決める監督はとても悩ましいですね。アメリカが本気を出した今大会は、次回以降のWBCの盛り上がりも左右する大きな転換点となると思います。

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WBCは短期決戦で、準々決勝からは「負けたら終わりの一発勝負」だけにチームの総合力が求められます。今回の侍JAPANでは、鈴木誠也選手がケガで出場辞退となりましたが、代わりに追加招集されたのは内野も外野も守れるユーティリティプレーヤー、ソフトバンクの牧原大成選手でした。

栗山英樹監督は本当にいやらしい選手をもってきたなと(笑)。途中交代での出場が多くなりそうですが、打撃面では打率や出塁率も高いですし、バントなど小技もできるので相手投手は疲れるはずです。プロ野球のペナントレースと違って、球数制限があるWBCでは、そういった「次につなぐ選手」の重要度が増すことは間違いありません。ホームランなど長打で点が取れるのもいいですが、打線が「線になる」ことも大切ですからね。

今回はアメリカがどれだけ本気かを中心にお話ししましたが、紹介しきれなかったWBCの見どころをまとめてご紹介します。

・普段は見られない日本代表のバッテリーと二遊間。源田壮亮選手と牧秀悟選手の二遊間はさすがの安定感でしたし、キャッチャーの甲斐拓也選手のリードも安定していますね。

・韓国代表の二遊間はMLBでも活躍する選手。サンディエゴ・パドレスのキム・ハソン選手と、セントルイス・カージナルスのトミー・エドマン選手は2人とも大好きな選手です。

・NPBのホームラン記録を作った、元ヤクルトでオランダ代表のウラディミール・バレンティン選手。この大会で引退を表明しています(涙)。

・100マイル(約160km)のシンカーを投げるドミニカ共和国代表のサンディ・アルカンタラ投手、プエルトリコのハビアー・バエズ選手やフアン・ソト選手など、アメリカ以外のチームにもMLBのスター選手がたくさんいます。

みなさんの注目選手も教えてくださいね。サッカーのワールドカップに匹敵するメジャーな大会になることを祈って、今回はWBCで戦うすべての選手にエールを送りたいと思います。がんばれ、みんな!

それではまた来週。

★山本萩子(やまもと・しゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。
2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

★山本萩子の「6-4-3を待ちわびて」は、毎週土曜日朝更新!