新次元のエンタメ体験ができることで話題のVR。それに対応した人気ガジェット『Gear VR』のスペックとは?

ゴーグルを頭にセットして、ゲームや各種映像などで仮想現実空間を体験できる!とメディアで紹介されることも多くなったVR(Virtual Reality)。

最近では人気ゲームマシン、プレステの新機種『PlayStation VR』の発売が今年10月に決定! また、3月にアメリカのポルノ動画共有サイト『Pornhub』が1万個のVRゴーグルのプレゼントキャンペーンを実施したところ、ほぼ一瞬で応募が終了してしまうなど、何かと話題になっている。

では現在、国内でVRはどのようなガジェットを使い、エンタメで活用されているのか? サムスン電子ジャパンのPR担当である後藤友宣(とものり)氏に伺ってみた。

後藤 弊社のVR対応製品となるのが、こちらの『Gear VR』です。VRゴーグルの最大手であるoculus社と、弊社が共同開発した製品になります。

本体の重量は約318グラム。加速度センサー、ジャイロセンサー、近接センサーが搭載され、首を動かすことで視点を変更できる

【左】操作は右にある十字型のタッチパットを使用する【右】各種コンテンツを楽しむときは、スマホを本体に装着する。対応するのはGalaxy S6/S6 edgeと今後発売される「Galaxy S7 edge」

―おお! これってメディアでよく見るヤツじゃないですか。サイバーなビジュアルがカッコイイ!! さっそく装着してみますと…。軽ッ! 結構、重量あるかと思ったら、意外と軽量だし、全体的に圧迫感がなく自然と顔にフィットしますね。これは装着して首を振ってもストレスを感じないレベルです。

後藤 没入感を出すためには、まず装着した時に違和感をなくすこと。なので、重量やフィット感はこだわっています。

―では、実際にどのような用途で使用されているのでしょうか?

後藤 最近ですと、4月に入学式を行ないました。

―入学式って学校行事のアレですか?

後藤 はい。本校が沖縄にある学校法人角川ドワンゴ学園「N高等学校」の入学式を東京の会場である六本木のニコファーレでも同時に行ないまして、新入生たちは沖縄から中継される映像を『Gear VR』で視聴したのですが、校旗掲揚の時は皆さんゴーグルを着けたまま上を向くという不思議な光景でしたね。

六本木ニコファーレで行なわれた「N高等学校」入学式の風景。新入生たちは全員『Gear VR』を装着して参加した

プロ野球の練習でグラウンドの隣にあの…!

横浜スタジアムには「360ベイスターズ」を体験できるスポットが設置された。また球場内のショップではベイスターズモデルの『Gear VR』も販売中だ

―その他、どのように活用されているのでしょうか?

後藤 「横浜DeNAベイスターズ」と共同で、「360(サンロクマル)ベイスターズ」というコンテンツをスタートしました。早速、視聴してみますか?

―ぜひ! これ、ベイスターズの4番、筒香(つつごう、嘉智)選手の打撃練習の隣に自分が立ってるほどの臨場感! 映像だけでなく“コンッ!”という乾いた打撃音も臨場感をアップさせています。

後藤 このような体験をできるのが『Gear VR』なんです。

―そして、球場で行なわれるキャンプ動画は、まるで自分が選手になっているような体験ですね。ノックの音や選手のかけ声とか、これは野球ファンにはたまりません! これってアーティストのライブなんかでも応用できるのでは?

後藤 現在専用アプリの『VR Cruise』では、「初音ミク」、「ももいろクローバーZ」などのVR Liveも体験することができます。

―ももクロライブ、すごいっす!! 自分がいちメンバーになったような視点で、その他のメンバーを眺めることができる。それだけでなく観客の盛り上がりを含めて、会場を360度マルっと見渡せますね。野球もそうでしたが、これはイベントの楽しみ方が変わるかと! 一般的な認識ですとVRって、ゲームが中心なのかなと思ってましたが、スポーツやイベントも大アリですね。

後藤 はい。今後はイベントでのVRの活用が増えていくと思います。ゲームも世界で1億人以上のユーザー数がいる『マインクラフト』が『Gear VR』に対応しましたので、これも起爆材となって今年は“VR元年”として盛り上がるのではないでしょうか。

専用アプリ『VR Cruise』で楽しむことができるコンテンツ

“VR合コン”やパーティーもアリっ!

今年2月に海外で発表された『Gear 360』。直径約6.5cmの球形のカメラ。これはベイスターズの選手に投球させると面白いVR映像が撮れるかも!?

―VRの活用シーンが飛躍的に増えているワケですが、ユーザー自身が“VR映像を作る”というのはどうなんでしょうか?

後藤 今年2月に360度の撮影に対応したカメラ『Gear 360』を海外で発表しました。例えば、これを自転車のハンドルや車のダッシュボードへ設置し、走行しているだけでも、レースのサイドバイサイドのような迫力のある360度映像を手軽に撮影することができます。

―そうなると、YouTubeや各種SNSでユーザーが盛り上がりそうですね。

後藤 その部分に一番期待していますね。やはりユーザーが、我々メーカーにも思いつかなかった“VRの楽しみ方”を発見してくれますから。YouTubeやニコニコ動画、FacebookなどVR動画の配信を始めていますし、今後の展開はメーカーとしても楽しみです。

―例えば、『Gear VR』と『Gear 360』を使って、結婚式のパーティーに仮想参加したりもできまよね?

後藤 できます。

―だったら“VR合コン”とかもアリですねっ!

後藤 それもできますね(笑)。例えば、卒業式などは参加者の表情をすべて撮影することができますので、5年、10年後に見てタイムスリップしたかのような“グッ”とくる映像が撮れるはずです。なので、SNSとVRの親和性がとても高いと思っています。

―では映画などはどうでしょうか?

後藤 4月にサービスがスタートした「VR THEATER」では、『攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Diver』や『進撃の巨人展360° 体感シアター“哮”』が公開されてます。今後はこのように短編映画や予告編をVRで公開するのが増えていくでしょう。

―VRは実際に体験してこそ“マジか!”というオドロキがあるかと思います。現在、ユーザーがVRを体験できるスポットなどは?

後藤 大型家電店では展示販売されています。あと関東のネットカフェでは先に紹介した映画を視聴できるようになりました。今後はスポーツやライブなど、ユーザーが『Gear VR』を気軽に体験できるスポットを増やしていきたいと思っていますので、迫力ある新次元の映像を楽しんでほしいですね。よろしくお願いします。

Gear VR サムスン/オープン価格(実勢価格1万5千円前後)

(取材・文/直井裕太 撮影/下城英悟)