「ヤフーはよくある日本的なつまらない大企業にはなってほしくない」とホリエモン

「ヤフー」の新体制が始動したというが、いったい何が変わるのか?

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、前編に続き今後のヤフーの戦略について語る!

* * *

ホリ ひろゆき的には、具体的にどんなサービスに注目してんの?

ひろ 動画サイトの「GYAO!」とかまだ伸びる余地があると思います。海外ユーザー向けに提供している、日本のテレビコンテンツってあんまりないっすよね。

ホリ 日本のコンテンツを見たいと思う人は海外に多いのかね?

ひろ 例えば、フランスで開催される「ジャパンエキスポ」には毎年20万人以上の外国人が集まります。アニメとかのニッチな分野でも、世界中のユーザーを集めたらけっこうな人数になると思うんですよ。

アメリカでは毎週のようにどこかでアニメイベントが開催されていますし、アジアでは日本のアニメを見るために日本語を勉強する人もいる。海外の需要をちゃんと獲得していけば100万人規模の有料会員を獲得するポテンシャルはあるんではないかと。

ホリ 国内向けではなく?

ひろ 国内はスマホ向けに徐々に改善してく方向でいいと思います。んで、ヤフーって、優秀なスタッフとソフトバンクの資金力があるんですが、「ヤフー"ジャパン"」っていうだけあって、海外ではヤフーの名前が使えないんじゃないですかね? なので、GYAO!とか別のブランドで育っているやつで海外を狙ったほうがいいかなと。

ホリ んー、ソフトバンクグループとしては、ヤフーは基本的に日本国内でしか事業をやらないような位置づけかもね。たぶんだけど。

ひろ ってことは、まずそのカセを外すところからですかね。ソフトバンクのグループであることは実は海外進出では強いと思うんですよね。例えば、アメリカの大手携帯キャリアである「スプリント」もそうですし、ソフトバンクがつくったファンドは中東マネーがめっちゃ集まっているので、そういった資金力も使える可能性があるわけで。

ホリ そのカセ外せんのかな? 俺はソフトバンクグループでの位置づけは変わらない気もするけど。というのも、ソフトバンクグループが海外でもガンガンビジネスを進めていくためには資金が必要。んで、ソフトバンクモバイルやヤフーの利益なんかが、その軍資金になっていると思うんだ。そう考えるとヤフーも保守的にキャッシュカウな(利益率が高い)事業に集中するんじゃないかな。

ひろ そうなると残念ですね。日本アニメのパワーは強いですし、例えばこの前、是枝裕和監督の作品がパルムドールをとったように、実写映像でも質で評価される作品もある。そういった部分も強みになると思うんですけどね。

ホリ まあ、ソフトバンクグループの投資会社化の流れによってはどうなるかわからないけどね。例えば、ヤフーの株式売却が行なわれれば、そのカセが外れる可能性もなくはない。まあ、いずれにしてもヤフーはよくある日本的なつまらない大企業にはなってほしくないよね。積極的に攻めていくことを期待したい。

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『10年後の仕事図鑑』(SBクリエイティブ)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『働き方 完全無双』(大和書房)