ついに7代目が米国で世界初公開された。日本登場もカウントダウンが始まっている。つまり、現行モデルを購入するなら今しかない。てなわけで、自動車ジャーナリストの渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)氏が徹底解説する!
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■日本版の価格は430万~550万円を予想
――先月17日(現地時間)に新型フェアレディZがアメリカでご開帳されて大きな話題を呼んでいます。
渡辺 フェアレディZは、1969年の初代発売から独自のデザインと手頃な価格で人気を博し、世界累計販売は180万台以上を誇る後輪駆動のスポーツカーです。ちなみに今回お披露目された新型は2008年以来、14年ぶりのフルモデルチェンジで、初代から数えると7代目になります。
――新型のエンジンはどんな感じになったんスか?
渡辺 新型のエンジンはV型6気筒の3リットルツインターボです。スカイライン400Rに搭載されているエンジンと基本的には同じと考えていいと思います。
米国仕様の最高出力は405PSです。ただし、現行モデルのエンジンはV型6気筒3.7リットルでターボを装着しない自然吸気でしたから、エンジンの性格はガラリと変わります。動力性能は新型のツインターボのほうが高い。一方、吹け上がりの鋭さは現行モデルのほうが上です。
――気になるお値段はどうなりそうですか?
渡辺 6代目の最も安いグレードは400万円以下でしたが、新型は衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備も充実するため、日本版の価格は430万~550万円程度になるでしょう。
ちなみに同じエンジンを搭載したスカイライン400Rの価格は560万円を超えています。それを踏まえて考えると、7代目フェアレディZはかなり割安な価格設定だなと。
――割安のワケは?
渡辺 日産にとってこの7代目は経営再建のシンボル的な面があります。多くの人に乗ってほしいという気持ちが日産にはあると思いますね。
――そんな7代目の日本デビューはいつ頃になりそう?
渡辺 日本版は今冬に詳細が発表される予定です。
――6代目の見た目や走りに憧れていたファンは今が購入のラストチャンスですか? 7代目が日本で発売されたら6代目は買えませんよね。
渡辺 はい。特に新車で狙うならモタモタしている時間はありません。
――どういうことスか?
渡辺 販売店を取材したら、すでにメーカーへの発注は終了していると。
――マジか! つまり、6代目は在庫を狙うしかない?
渡辺 ええ。正直、グレードの選択は難しい状況だと思いますが、6代目の推しグレードは6速MT専用モデルのバージョンSです。4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキなどが装着されており、安心して走りを楽しめます。
――どうしても6代目を欲しい人は中古車も検討すべき?
渡辺 中古は狙い目ですね。実は走行距離が1万km以下の程度のいい中古車がけっこう流通しているんです。しかも、7代目の納車が開始されて1年ぐらいすれば、下取りに出された6代目の中古車が少しずつ増える。そうすると選択肢も多くなりますし、タマが増えれば中古車相場は下がる。中古車も注目ですね。
――6代目のリセールバリューはどうです?
渡辺 数年後の売却条件は期待を裏切らないでしょう。特にエンジン、サス、ボディを専用チューンしたニスモ仕様は人気が高く、好条件になる可能性がありますね。
日産が熟成に熟成を重ねた6代目フェアレディZは、08年デビューなので運転すると古さを感じる部分もあります。ただ、後輪駆動の古典的なスポーツカーの味わいが好きな6代目のファンは狙い目です!
●渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)
カーライフジャーナリスト。1989年に自動車購入ガイド誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長に。1997年に同社取締役を兼任。その後、フリーランスに。著書に『運転事故の定石』(講談社)など。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。