都内で最近増えているのが、おにぎり専門店の配達です都内で最近増えているのが、おにぎり専門店の配達です

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第28回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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ウーバーイーツはさまざまなジャンルの飲食店からいろいろなものを運ぶので、食べ物の流行をリアルに感じられます。また、都内のあらゆる場所へ自転車で向かうため、街の情報が常に目に入ってきます。

今回は都内を最近配達していて、この店からの注文が増えたな、逆に減ったと感じた食のトレンドについて書こうと思います。

まず、9月あたりから増えているのが、おにぎり専門店の配達。私が主に配達をやっている時間は朝6時から夕方4時。ガッツリした食べ物を注文する人が少ない時間帯です。だから、おにぎりの注文が多く入っている可能性もあります。ですが、以前は月に1回程度だったおにぎり専門店からの配達が、今は週に2、3回は確実にあります。多い時は1日に3、4回入ることもあります。

2015年頃の「おにぎらず」ブームの時は、海苔で巻かれたものがメインでしたが、最近配達しているものは塩にぎりの上に具材を載せたり、三角形のおにぎりの頂点にシャレた具材をトッピングするなど、見た目の色合いが大きく進化。そして、タピオカブームの時に個人経営のタピオカ屋が増えたのと同様、おにぎり専門店も個人経営が増加中です。

個人経営の喫茶店からの配達も増えました。これまで朝の注文は、ドトールや上島珈琲店などカフェチェーンの配達が多かったのですが、夏の終わり頃から個人店の配達が増加。朝6時台、7時台は喫茶店のバタートーストやオリジナルブレンドコーヒーなどを運ぶことが増えました。「8月より24時間営業を始めました」という運営の発表を受けて、個人経営の喫茶店もウーバーによる配達を始めたことが注文増加につながっているのでしょう。

ということで最近は、喫茶店からの注文で稼がせてもらっているのですが、注意すべきは包装のゆるい店があること。

長年ウーバーイーツによる配達サービスを行なっているチェーン店と違い、最近対応したばかりの個人店は、ドリンクのカップが倒れやすかったり、料理が斜めになってしまうような袋詰めをしている可能性があります(私が配達を始めた頃はチェーン店でも包装がゆるい店がたくさんありました)。そこで私は、商品を受け取ったあと、袋の外側を軽く触って中の状況を確認。倒れることがないよう商品を固定して慎重に運んでいます。

逆に減ったなと思うのはマクドナルドの配達。以前はマクドナルド周辺にウーバーイーツの配達員が溜まるほど多く、私も多い日は1日の半分がマクドナルドの配達ということもあったのですが、最近は朝から夕方までやってマクドナルドの配達が1、2回なんてこともしばしば。

おそらくこれは、マクドナルドの注文方法が多様化したことが原因かと思われます。私が始めた頃マクドナルドのデリバリーは、マックデリバリーかウーバーしかなかったのですが、現在は出前館も参入。さらにモバイルオーダーもスタート。自宅に帰る途中、電車の中でモバイルオーダーを使えば待ち時間なしで駅前のマックで受け取れる上、ウーバーよりも安い。となれば、これまでウーバーを使っていた利用者も当然減るでしょう。

店ではないのですが、日本橋・銀座エリアの朝のホテルからの注文も最近減ったなと感じています。以前、「ウーバーイーツの配達中、街に観光客が戻ってきたことを実感」で紹介した頃は外国人観光客と思われる方からの注文がたくさんありましたが、最近はホテルへの配達が皆無に。なぜだろうと思いながらも原因がわかりませんでした。

その理由が判明したのはつい先日、勝どきあたりへモーニングを運んでいる際に築地周辺を通りかかったとき。卸売市場があった頃から残る築地場外市場は、卸売市場が豊洲に移転したことで市場関係者の利用が減ったため、営業開始時間をこれまでの未明の時間から朝9時ごろへと繰り下げていました。ですが今は、朝7時30分に築地場外市場のあたりを通ると外国人観光客で大盛況。海鮮丼をおいしそうに頬張っていました。

上野や浅草あたりなら、まだモーニングの需要はありそうですが、築地に近いホテルからの注文は場外市場が休みの日以外は期待できないでしょう。

注文のトレンドは刻一刻と変わりますが、健康とネタ探し目的で配達しているので、今後も依頼が急に減ってもイライラせず、楽しみながら配達しようと思います。

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渡辺雅史

渡辺雅史わたなべ・まさし

フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

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