私は基本、店内にリュックを持って入りません。その理由は...... 私は基本、店内にリュックを持って入りません。その理由は......

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第43回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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新年度が始まり、新しい場所で生活を始めた学生の方、新しい職場で働き始めた方も多いでしょう。

そんな方にとって、ウーバーイーツ配達員の働き方はありがたい存在。学生の場合、アルバイトの求人を出しているところを探し、面接を受け採用が決まっても、最初のうちは長時間の勤務をさせてもらえず、ある程度まとまった金額を稼げるようになるまでは時間がかかりますが、ウーバーなら手の空いている時間にできますし、研修期間のようなものはなく、最初からガッツリ稼げます。社会人の場合も、新しい職場で初任給が手に入るまでのつなぎとして週払いのウーバーはピッタリです。最近は副業を認めているところも多いので、会社の人にバレないようコソコソやる必要もありません。

そんな理由から、毎年この時期になるとウーバーイーツの配達員をやってみようと検討する人も多いはず。そこで今回は、6年以上配達を続ける私が配達中に注意していることについて書こうと思います。

配達中のトラブルで一番恐れるのは、リュックの中の料理が容器からこぼれたり、中身が寄ったりしないかということ。これらを防ぐためには、料理が入った容器がリュックの中で動かないよう工夫する必要があります。

そこで大事になるのが「隙間を埋めるもの」と「仕切り」です。配達されている方の中には、ネット通販を利用した時、箱の中に入っていたエアークッションを流用してリュックの中に入れている方もいます。私の場合、2件、3件同時配達で運ぶものが多くなった際、エアークッションが邪魔になる可能性があるので、段ボールで作ったお手製の仕切り板と、中くらいサイズのレジ袋の中にタオルを何枚か入れたものを使って対応しています。

配達の際に持って行くものに関しては、「ウーバーイーツ配達員はどうやって料理を運んでいる? あのでかいリュックの気になる中身」に書いておりますので参考にしてください。

店に受け取りに行く際に起こりがちなトラブルが「店内にリュックを持ち込む」問題。リュックは4000円で購入するもので、盗まれたら配達できないことから、背負ったまま店内に入っていく配達員の姿をたまに目にします。ですが、私は基本、店内にリュックを持って入りません。

出入り口のすぐそばにレジがあり、そこで料理の受け渡しだったら問題ないのですが、奥にある厨房まで受け取りに行かなければならない店も結構あるからです。店内の通路は狭いところが多く、リュックを持って入ると邪魔になります。

比較的通路の広いファミレスでもドリンクバーを利用する方がたくさん通路を行き交いますし、最近は配膳ロボットが動き回っているので、配達用の大きなリュックを背負ったまま店内の通路を歩くと迷惑となります。受け取った後、通路で店のスタッフやお客さんとリュックがぶつかってしまうと、料理が容器からこぼれてしまうリスクもあります。

そのため私は、店の入り口脇、出入りするお客さんが誤って蹴ってしまうことのない路面にリュックを置いてから店に入ります。2件、3件同時配達の際は、リュックの中に料理が入った状態となりますが、盗まれるリスクとこぼしてしまうリスクを天秤にかけた場合、外に置いておく方が私の経験上安全です。

店に入る前に自転車の後部にリュックを固定されている方も時折見かけますが、この季節は突風が吹き付ける日もあり、商品を受け取って店から出てきたら自転車が風で倒されていたなんてこともよくあります。なので、この時期には風向きや壁の位置なども考慮しつつ路面に置くのがいいと思います。リュックを外に置くのがどうしても不安な場合は目が届く位置に、それでも不安ならリュックを背負わず、前に持つ形で入ることをオススメします。

ただ、店内にリュックを持って行くケースもあります。ひとつは、配達員用アプリに表示される店からの指示に「リュックを持って店内に来ること」と指示されている場合。そしてもうひとつは、運ぶ料理の量が多い場合です。

オフィスへの配達では、リュックの中に料理をビッチリ入れなければならないケースがあります。その際、店と外を何度も往復する方が邪魔なので、背負っているリュックを前に持つ感じで店内に入り、店内で料理をリュックに入れ、再び手前に持つ感じで移動。店を出てからリュックを背負っています。

目的地に到着したらリュックを背負ったまま配達先へ。エレベーターでリュックを背負っていると住民の方の「邪魔!」という視線が飛んでくることがありますが、エレベーターの床に置くと混雑している時に間違えて蹴られたり、ベビーカーとぶつかってリュックが倒れる可能性があります。そういったリスクを避けるために私はリュックを背負ったままエレベーターに乗ります。

置き配の場合、家のドアの前のインターホンは基本鳴らしません。都内のマンションの場合、建物の中に入る前に一度インターホンを鳴らすので、何度も鳴らすと「しつこい」と思われる可能性があります。インターホンを押すことで赤ちゃんが起きてしまうことや、ペットが騒ぎ出すことがあります。このようなことが起こるとBAD評価をつけられる可能性があります。配達員用アプリに「インターホンを鳴らしてください」と指示があれば鳴らしますが、私は基本、部屋のドアの前、最後のインターホンは鳴らさないようにしています。

商品を直接受け渡す場合は、なるべく相手の顔を見ないようにしています。これは私個人の考え方なので、正解かどうかはわかりませんが、外食ではなくデリバリーを頼む方は、外出するための準備をしていないことが多いと思われます。特に女性の方はすっぴんで部屋着という方もいるでしょう。そんな方の顔を50歳近いおじさんがガッツリ見るとBAD評価がつく可能性があります。女性でなくても、自転車を漕いで疲れた顔の汗かきおじさんが商品を渡す際にジロジロ見てきたらゾワッとする方も多いでしょう。なので私は、注文された方の足を見ながら商品を渡しています。

最後の受け渡しに関しては、配達される方の見た目や年齢で変化すると思うので臨機応変にご対応いただけたらと思いますが、他の点に関しては料理をこぼさないことにつながるものなので、配達の際の参考にしてみてください。

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渡辺雅史

渡辺雅史わたなべ・まさし

フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

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