衝撃の暴露話から胸アツの豪華コラボまで――。YouTubeでレジェンド・プロレスラーたちがやたら元気だ。

前回の"義足レスラー"谷津嘉章(やつ・よしあき)選手に続き、意外な一面が注目を集める元祖"格闘王"前田日明(まえだ・あきら)さんを直撃インタビュー!

■「零戦発掘企画やりません?」

――YouTubeを始めたきっかけはなんですか?

前田 最初は朝倉未来(みくる/ジ・アウトサイダー出身の格闘家)ですよ。彼がRIZINに出るとき、宣伝になればと(プロレス誌の)『KAMINOGE』につないだんですが、その後、自分が取材を受けるたびに「未来は今、YouTubeで月収何百万ですよ」と聞かされて、しかもそれがどんどん増えていった。

ほぼ同時期に、(アウトサイダー出身の)シバターが1億円の札束を見せつける動画をアップしてて、なんだこれはと。広告収入で稼いでいるんだと知ったんです。そのとき思い出したことがあって、今、中学2年のうちの息子が小学2年のとき「将来は何になりたい?」って聞いたら「YouTuber」って。「そんなんダメだ」と言ったんですけど。

――それが今や、ご自身がチャンネル登録者数約18万のYouTuberですよ。

前田 最初はもっと一気に伸びるかと思ったんですけどね。未来は街のケンカ自慢とスパーリングする動画でブレイクしたでしょ。ああいう独自路線が大事なんだなと思って、常に試行錯誤しています。

――(未来の弟の)朝倉海(かい)選手のチャンネルでは、オタクの格好をしてメイド喫茶に。あれは衝撃的でした。

前田 海はオチャラケ路線もあるから、ノリを合わせてやらなきゃなと思って。けっこう話題になったんで、こういうのも必要なんだな、と思いましたね。 

――亀田史郎さんとのコラボ企画『西成放浪記』では、飲み屋で酔っぱらいの若者たちにしつこく絡まれるドッキリを仕掛けられました。一触即発で、最後キレてました?

前田 キレたっていうより、半信半疑でしたね。昔、アウトサイダーの選手たちが大阪で地下格闘技の連中に仕掛けられるっていう事件が何度かあってね。その流れかなって思ったんですよ。

――そっちの半信半疑ですか(汗)。都市伝説を解説する動画も面白いですね。リングスが公安にマークされてたとか。

前田 オウム真理教が使っていたロシア語通訳と、リングスが使っていた通訳が同じ人間だった関係でマークされてたっていうね。都市伝説といえばね、陸上自衛隊の美幌(びほろ)駐屯地(北海道)ですよ。もともと旧海軍の基地で、終戦時に封鎖された巨大地下壕(ごう)に、零(ゼロ)戦一個中隊が手つかずのまま隠匿されているという話です。

1995年くらいにロサンゼルスの航空博物館に行ったとき、無傷の零戦があったんですよ。「なんぼだったら売ってくれる?」って聞いたら、150万ドルだと。今なら3億円くらいするでしょうね。零戦発掘企画、週プレでやりません?

終始、上機嫌で今後の展望を語った。格闘技の世界で道を切り開いてきたように、YouTubeでも独自路線を模索しているという

――話が壮大すぎます! 前田さんはコワモテなイメージがあるじゃないですか。一緒に動画をつくる若いスタッフの方々が物おじすることは?

前田 俺、基本的に毎日怒ってるような人間じゃないですよ。この前、スタッフのひとりに怒ったことはあったけど、それだって1年間ためにためてから怒ったからね(笑)。

――意外とためるタイプなんですね(笑)。

前田 話は変わりますけどね、俺、25年間くらい、ずっと猫を飼ってたんですよ。多いときは3、4匹。で、一番最後のコが一昨年の暮れに23歳で死んだんです。またそろそろ飼おうかなと思っていたときに、猫の動画ばかり上げている人を見つけて。なんの変哲もない動画なのに、毎回100万~200万再生なんですよ。

見ていたら、最初は安アパートみたいなところに住んでたのに、そのうちマンションになって、生活がえらいグレードアップしている。猫だったら自分も長いこと飼ってきたので、(元格闘家でマネジャーの渡部)謙吾と猫のサブチャンネルをつくって、ひと儲けしようかとたくらんでいるんですけどね(笑)。

――前田さんと猫の取り合わせはギャップ萌えしますね!前田 自宅のひと部屋を猫部屋にして、トイレとかキャットタワーとか全部そろえましたからね。準備万全で、あとは猫を迎え入れるだけです。

■『前田日明チャンネル』
チャンネル登録者数 18.1万人(9月14日時点)
大物プロレスラーや格闘家との対談から、都市伝説、クッキング、ダイエット企画までバリエーションは豊富。今年5月にアップした動画では、その翌月の朝倉未来vsクレベル・コイケの試合展開を予想。朝倉の敗北を予言していたと話題に

●前田日明(まえだ・あきら)
1959年生まれ、大阪市出身。78年、新日本プロレスでデビューし、UWFではエースとして一世を風靡。91年設立のリングスでは海外の強豪格闘家を数多く招聘した。2008年、ジ・アウトサイダーを旗揚げし、同イベントからは朝倉未来らのスターを輩出