強権派のトランプを突き動かすものとは? 鈴木宗男氏(左)と佐藤優氏が解説する!

鈴木宗男・新党大地代表と、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による対談講演会「東京大地塾」

今回のテーマは、新大統領トランプ。メキシコ国境での壁建設や核戦力の増強の宣言など、就任早々、強大な権力を行使しているが、彼がそもそも過激な行動・発言を繰り返す理由はなんなのか? 

就任演説で引用した旧約聖書のフレーズに、そのヒントはあった!(前編記事⇒『トランプはなぜ就任演説で、新訳聖書でなく旧訳聖書を引用したか? 佐藤優が解読!』

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佐藤 トランプ大統領からの敵対派への攻撃は確実に過激なものになると考えられます。その理由はトランプの宗教にある。トランプはもちろんキリスト教徒ですが、なかでもプレスビデリアン(長老派)に属しています。

この派の特徴であるカルヴァン主義では、人間は生まれる前から神に選ばれ救われて天国に行く人と、選ばれずに地獄の火にくべられる人の二種類に分けられることが決まっているという考え方に立っています。

そしてカルヴァン主義の人の特徴はものすごく試練に強いということ。どんなひどい目に遭っても負けない。なぜか? それは、自分は神に選ばれた人間で、最後に勝利するのは決まっていると考えているから。

たとえ困難に遭っても、それは神様が自分に一時的に与えた試練であり、それを乗り越えるために最も正しいやり方で対処すれば最終的には絶対にうまくいくと信じているんです。

私もカルヴァン主義者だからわかるんですが、外務省時代に国策捜査で逮捕されて檻(おり)に入れられたときに「もっとやつらの息の根を止めてしまうほど徹底的にやっていればあんなことにならなかった」と反省しました(笑)。

トランプの思考回路もそうで、何かしらの障害にぶつかるたびに「俺は抑えすぎているな、もう少し強く出なくてはいけないな」と反省する。それは、選挙や戦争であってもそう考えるでしょう。次々と強く過激な主張を重ねていくことで大統領にまで上り詰めた男ですからね。このやり方を変えるはずがない。

むしろトランプは今、「俺が問題発言を重ねても大統領になれたのは、神様に選ばれたからに決まっている」という確信をますます深めていると思いますよ。

続編⇒このままでは第5次中東戦争が現実に? 神に選ばれしトランプの世界を理屈では理解できない

●鈴木宗男(すずき・むねお)1948年生まれ、北海道出身。新党大地代表。衆議院議員時代から長年北方領土問題の解決を目指し奔走している。現在は今年4月の公民権停止満了後の立候補、議員復活に向け、全国行脚中!

●佐藤優(さとう・まさる)1960年生まれ、東京都出身。外交官時代は、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。外務省退職後は大宅壮一ノンフィクション賞を受賞するなど、作家・評論家として活動中

■「東京大地塾」とは?毎月1回、衆議院第二議員会館の会議室を使って行なわれる新党大地主催の国政・国際情勢などの分析・講演会。鈴木・佐藤両氏の鋭い解説が無料で聞けるとあって、毎回100人ほどの人が集まる大盛況ぶりを見せる。次回の開催は2月23日(木)。詳しくは新党大地のホームページへ

(取材・文/小峯隆生 撮影/五十嵐和博)