もともと 要領がいい人にとっては、 別に制度が変わろうが関係ない?

「ワーク・ライフ・バランス」を目標とする「働き方改革」。残業時間月平均60時間上限という案も発表されたが、本当に日本人の働き方は変わるのだろうか。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が考える、これからの時代の働き方とは?

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ホリ 「週休3日制」を導入する企業が増えたり、政府が「残業時間に上限(年間720時間)」を設ける動きに入ったり、日本でも働き方を変える動きが出てるね。

ひろ いまだに「上司より先に帰れない」というサラリーマンも多いみたいですけど、そういう文化もようやく終わるんですかね? 残業時間が上限を超えた場合には罰則がつくという話ですけど、なんかヘンなやり方でごまかし続けるような気がするんですよ。

ホリ なんで?

ひろ 日本って「サービス残業」という「お金をもらわないで働く謎の習慣」が存在しちゃうような国だからです。ちなみに日本では過労死も珍しくないですけど、ほかの国ではほとんどないですよね。

ホリ 「KAROSHI」という言葉が海外に伝わっているくらいだからね……。

ひろ 多くの日本人は、仕事に「お金をもらう以上の意味」を持っていると思うんです。例えば、細部にまでこだわる職人さんなんかそうですよね。そんな感じで、日本は「法律よりも習慣を優先する」文化が強いので、働き方を改革するにはかなり深くまで切り込む必要があると思うんです。それに社会の許容量も重要になってきますし。

ホリ ん? どういうこと?

ひろ 例えば、電車が大幅に遅れたときの駅員さんの対応って、日本と海外では反対なんですよ。アメリカとかヨーロッパの駅員さんって、めちゃくちゃクレームを受けている最中でも、退社時間が来たらサクッと帰っちゃうんです。

ホリ まあ、海外だとそういうのは珍しくないよね。交通機関も普通にストをするし。

ひろ そうなんですよね。でも日本の場合は、駅員さんが休みそっちのけで対応してくれたりもします。仮にそういう対応がなくなったとして、果たして日本の社会が許容できるのか、と。

ホリ んー、それはちょっと極端な例のような気もするけど……。でもさ、もともと要領がいい人にとっては、別に制度が変わろうが関係ないと思うんだよね。

ひろ 確かに。要領のいい人は時間内できちんと作業を終えますからね。逆に要領がいいとはいえないけど、まじめだからって評価されてた人は、時間内に仕事が終わらないから「使えない」という評価に変わりますよね。

ホリ うん。でも、それは仕方ないと思う。

★後編⇒日本人の働き方をホリエモン×ひろゆきが本音で指摘 「やりがいや生きがいを求めず、稼ぐための手段と割り切るほうがいい」

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき)1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)