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歴史社会学者・小熊英二が語る“在日”とは? 「日本の周辺に位置した彼らの歴史は『日本社会の鏡』」

[2017年02月24日]

持論を展開する歴史社会学者の小熊英二氏(慶応義塾大学教授)

“戦後と解放後”を生き抜いた52人の在日一世の証言集『在日一世の記憶』の刊行から9年、その続編として、 在日一世の子に生まれ、その後の時代を生き抜いた在日二世たち50人の生き様を描いた『在日二世の記憶』が発売された。

前作にも劣らない768ページという、一般的な新書なら3、4冊分に相当する圧巻のボリュームで描かれているのは、プロ野球で3千本以上のヒットを量産した安打製造機、哲学者、社会運動家、実業家、医師、ミュージシャン、僧侶、伝統工芸家、劇団員、マジシャン、映画人etc…といった「在日二世」たちの逞しい生き様である。

その刊行イベントで足掛け13年のプロジェクトに携わる3氏――歴史社会学者の小熊英二氏、ノンフィクション作家の木村元彦氏、在日朝鮮人の記録を残す仕事に携わるライター・編集者の高秀美氏による記念トークショーがジュンク堂書店池袋本店で催された。

前編記事に続き、そのトークショーの一部を紹介しよう。

* * *

本書に登場する、日本で生まれ、喋る言語は日本語の方が得意な50人は職業も生育環境も千差万別である。戦後生まれの彼らが青春時代を過ごしたのが高度経済成長期を挟んだ50年代から80年代。戦後復興という御旗の下、日本が大きな変革を遂げた頃だ。

学校生活、就職、結婚などにおいて多様性を認めない日本社会の閉鎖性を前にしながらも、日本社会で生きてきた彼らの生き方や悩み、その行動について「在日二世は日本社会を映す鏡でもある」と小熊は持論を展開する。

「在日一世、在日二世の記録はどちらかというと日本の周辺に位置した人たちの歴史です。その記録を文字で書き残す人は少なく、その姿が見えるという意味において『日本社会の鏡』になっています。例えば、東京大学を出て官僚になった、大会社に入ったといった人生を歩んだ人たちとは対局に位置する日本社会の姿がよく見えてきます。日本社会の中のいろんな部分との関係の中で過ごしてこられた方々の歴史ですから。

それに在日一世は朝鮮人ですから、鏡として映っても日本社会ではなく朝鮮人としての特性が見えてしまう。もちろん、“日本社会の鏡”という表現が、言われる側からは違和感を覚えるのは理解しています。ただ、そういう立場は在日と呼ばれる人たちだけではなく、たとえばLGBTと呼ばれる人たちであったり、難病の人たちだったり、リストラに遭った人たちだったり、非正規雇用の人たちだったり、それこそ女性であったり。特定の立場に立てば“社会の鏡”にされてしまうし、いつでも誰でもそうなる可能性はあります」

在日一世がほぼ同時代を生きる人たちであったのに対し、在日二世の年齢層は幅広い。そのため1932年生まれから1960年生まれの50人のインタビューは、巻頭から年齢順に並ぶ。年代ごとに読んでいくことで、二世たちの置かれた1950年~1980年代にかけての社会的、国家、教育などの状況を通して、歴史の側面を知ることができる。

「在日一世というのは、どの人に話を聞いても過酷な経験をされていて、それなりに読めてしまうんです。半面、その経験はある程度共通している。でも、在日二世の場合、最初の出発点が飲んだくれの親を持っているところから始まっても、その先は成功した人もいれば、そうではない人もいる。だからこそ、どういう人に話しを聞くかは気を配りました。

日本社会の、あるいは東アジア社会の戦後の証人としての証言集という色彩も兼ねたものにならないようにと。あくまでも、いち在日二世への聞き取りという証言集なので芸能やスポーツ、科学といった分野で成功した人だけではなく、民族団体で活動する人や実業の成功者など、いろいろな人を意識的に入れるようにしました」


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