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「日本が国のあり方を見直さないことに大きな失望を感じる」 外国人記者が見た震災後6年の歩み

[2017年03月17日]

─震災に関する、日本や海外のメディアの報道のあり方については、どんな風に感じていますか?

マクニール まずひとつ言っておきたいのは、あの震災の報道に関して、海外メディアにも国内メディアにも真剣に反省すべき点があるということです。海外メディアの多くは事態を過大に誇張して報道する傾向があったし、逆に日本国内の大手メディアは「大丈夫、大丈夫」と状況を鎮静化することばかり考えて、結果的に重要な情報を隠してしまっていた。これはどちらも問題だったと思います。

「情報を隠した」という意味で最も象徴的だったのは、福島第一原発の「メルトダウン」でしょう。原子炉の温度が下がらず、水蒸気爆発を起こして大量の放射性物質が大気中に放出された。原子力の専門家たちがメルトダウンを疑う状況でもなお、東京電力は「メルトダウン」という言葉を避け続けた。東電の会見で一度だけメルトダウンに言及した時も、それをすぐに撤回した。その後はメディアも横並びでメルトダウンの可能性を無視し続けていました。

その後の大手メディアは、ただ単に政府や東京電力の公式発表を垂れ流すだけで、自分たちから事実を検証することすらせず、いわゆる「発表報道」ばかりになってしまった。元「ニューヨークタイムズ」東京支局長のマーティン・ファクラーさんは「あの時、日本の大手メディアがメルトダウンしたのだ」と語っていましたが、まさにその通りだと思います。

もうひとつ驚いたのは、原発事故で立ち入り禁止となったエリアなどを日本の大手メディアが一種の「協定」を結んで、誰も取材しようとしなかったことです。そういう危険な地域で取材していたのは、日本人のフリージャーナリストか外国人記者だけでした。

─基本的に危ないところには行かないという形で、ライバル他社とも一種の協定を結んでいた、と。危ない仕事はフリーランスに任せるという姿勢は、戦場や紛争地の報道でも近いものがありそうですね。ところで、この本の英語版が海外で出版されたのは2012年。そこから4年以上の時が経っているわけですが、その後の日本の状況をどう見ていますか?

バーミンガム 未だに困難に直面する人たちが大勢残されているのに、震災の記憶が薄れ、被災者たちに関する報道が徐々に減っていることはとても残念だと思います。

もっと残念なのは、あれだけの大地震に加え、原発事故という未曾有の悲劇を経験しながら、今の日本が震災前と同じようなエネルギー戦略の下で原発再稼働を進めていることです。私は、あの原発事故を経験したことによって、日本でももっと代替エネルギー、再生可能エネルギーへのシフトが進むと思っていたのですが、現実にはそうならなかった。これは大きな驚きでした。他の国が同じような事故を経験したら、少なくとも今後のエネルギー政策について、抜本的な見直しをするのは当然のことだと思います。

マクニール 津波への対策も、海岸沿いに巨大なコンクリートの防潮堤を建設するという残念な方向に進んでいて、もはや津波の対策と大型の建設工事需要、どちらが真の目的なのかもわからなくなりかけている気がします。原発再稼働に向けた動きが象徴しているように、3.11という悲劇を経験しながら、日本がこれまでの歩みを振り返り、この国のあり方を見直すことのないまま、むしろ逆の方向に押し戻されているのは残念なことですね。


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