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異端児・辻 仁成が今、語る過去と未来「波風はあるし、敵もいるけど“自分に対して嘘がない”人生が大事」

[2017年05月20日]

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音楽と映画、小説の3つを死ぬまで捨てないと語る辻 仁成

芥川賞作家、ミュージシャン、映画監督、演出家…など様々な顔を持つ辻 仁成――。その新作小説『父 Mon Pere』(集英社)はフランス・パリに住む日本人の父子の物語を息子視点で描いた作品だ。

パリで生まれた「ぼく」は、「パパ」の男手ひとつで育てられた。大人になり語学学校の教師として働いているが、70歳を過ぎたパパに健忘症の症状が出はじめ、街で迷子になった場所から「すまないが迎えに来てくれないか?」と電話が入る日々…。

異国で暮らし続ける老いた父と、その面倒を見る息子の間には複雑な過去のドラマがある。ぼくの中国系の彼女とその家族、やはり移民のメイド一家までを運命は巻き込み…。

「パリで息子とふたり暮らし」という自身の境遇とも重なり、必然的に紡がれた大切な一作。5月20日には原作小説を監督として映画化した『TOKYOデシベル』も公開されるが、前編に続き、創作者・辻 仁成の“今”と生き様にロングインタビューで迫った。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)。

* * *

―今回の『父 Mon Pere』は私小説的に材を得ながらも息子さんとパリで生活されている自身の20年後を想定して描かれたということで。実際、息子さんと未来のお話をされることはあるんですか?

 ずっとパリで暮らすか、いつか日本に帰るかという話はたびたび日常の話題に上ることがあって。実は3年前、真剣に「日本に帰ろうか」っていう話になって、ふたりでずっと話し合ったんです。その中で僕は「まあ、ここで生まれたのも何かの縁だし、神様が『おまえ、ここで生きろ』って言ったんだよ。せっかくだから、パパもここにいるから」って。それで最近は、墓の話もするんですよ。「おまえが望むなら、俺、ここで死んでもいいからさ」みたいな。

―日本で生まれて、パリに移住されて、現在はご自身が主宰のウェブマガジン『デザインストーリーズ』の取材でも世界中を飛び回ったり。そういう意味では、ずっと旅行者というか。

 デザインストーリーズでは毎月世界中へ旅して、記事を書いています。すでに創刊から半年で20ヵ国ほど旅をして、毎回、息子が一緒なんです。僕は小説家ですけど、映画とか音楽とかいろんなことをやって、いろんなところに行って、生きていることを楽しみたいんですよ。

そもそも最初から映画と音楽と小説を全部やるつもりだったから、そこにジャンルの垣根を持ったことがない。60歳近くになっても未だにこれらを全て平等に続けている。よく仲間たちに「ひとつだけ選んで真剣にやってたら、もっと成功したのにね」って、からかわれるんだけど(笑)。

これまでにものすごく批判もされましたよ。20代の頃、ミュージシャンのくせに芥川賞かよって、文壇の人たちからボロクソ言われて。又吉(直樹)さんはどうしてそんなにいじめられないんだろう?(笑) それで映画撮ったら、映画界から「なんでこっちにくるんだよ」みたいなことを露骨に言われることもあって。

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