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左官職人にもボーナスを支給? 有名施設を続々受注する「原田左官」の“食える”経営とは

[2017年06月04日]

女性職人や男性職人、若手もベテランも共存して左官業界に新風をもたらす原田左官工業所

原田左官工業所(以下、原田左官)の職人を育てる方法が注目されている。

「今の若者に“見て覚えろ”は通用しない」

原田宗亮(むねあき)社長(43歳)の考えのもと、同社では新人を4年で一人前の左官職人にする育成法を確立させ、かつて50%近かった離職率を5%台に抑えることに成功した。その現場では若者が生き生きと働き、それに引っ張られるのか、60歳超のベテラン職人も楽しそうに壁塗りしているのが印象的だった(前回記事「職人の世界に“モデリング”を導入した原田左官の非常識」参照)。

だが、業界全体に目を向けると、建物の壁にパネルやクロスといった工業製品を張り付ける工法が主流になる中、手作業による左官仕上げは「非効率」とされ、仕事も職人の数も激減しているのが現状だ。原田社長がこう話す。

「最盛期に30万人いた職人は5万人まで減り、そのうち60歳以上が全体の6割を占めているのが現状。今後5年、10年のスパンで見れば、6割のベテラン職人が引退し、4割の職人しか残らない時代がやってくるということです」

原田社長はそうなることを予見していたからこそ、若者を育てるプログラムを作り上げた。ちなみに現在、原田左官で働く職人の平均年齢は34歳という若さだ。さらに、その職人を正社員として雇っている点も若者の定着率を高める理由になっている。

建設業界では、左官仕上げが必要となれば一人親方(個人事業主)として働く職人に外注するのが一般的。「左官仕事は波が大きい」ため、社員として雇えば仕事がなくなった時に人件費ばかりが増える。経営者からすれば、そんなリスクは背負いたくないのだ。

だが、原田左官は社員数46人のうち38人が左官職人。そこには「職人を守りたい」という強い信念がある。

「職人の“社員化”は2代目の父から引き継いだ考え方です。そこには祖父への思いがありました。初代社長の祖父は根っからの職人でしたが、50歳半ばで肺を悪くし、現場の仕事ができなくなりました。左官一筋で身を削って働いてきた分、趣味もなく、お酒もやらなかったので、引退後は寂しい晩年を過ごすことに…。

父はそんな祖父の姿を見て、現場を引退した後も金銭的に保障され、ケガをしても厚生年金や雇用保険を受けられるように職人の社員化を進めたのです。私はその父の考えを引き継ぎました。職人を社員化すると若者が入ってきやすく、先輩から後輩への指導もいきわたり、結果として息の長い職人生活が送れると考えたからです」

原田左官の見習い期間(入社から4年間)の月給は約20万円で、2年目、3年目とキャリアを重ねれば緩やかに上昇していく。ボーナスはどうか。

「職人の世界に賞与という考え方はあまりなく、会社の景気がいい時に道具代という名目で3~5万円をもらうことはあっても、まとまったお金をもらうようなことはありません。でも、ウチでは年2回のボーナスを支給します。1回分の平均支給額は30万円程度。賞与が出れば職人は喜びますし、仕事のモチベーションにも反映されます」


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