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日本だけが批判されるクジラ・イルカ問題――その向こうに今、世界で何が起きているか

[2017年09月09日]

書籍『おクジラさま ふたつの正義の物語』も手がけた佐々木芽生さん

和歌山県太地町は、イルカやクジラの追い込み漁を糾弾した映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞して以来、活動家の攻撃ターゲットとなった。その太地町を舞台にした長編ドキュメンタリー映画『おクジラさま ふたつの正義の物語』9月9日から公開される。

カメラが映し出すのは、“残酷な”漁を撮影してはSNSで発信するシーシェパードと、古式捕鯨発祥の地として400年以上続く伝統を守ろうとする太地の漁業組合。そしてたった一度だけ両者が同席した“対話集会”。さらに、太地町在住の米国人ジャーナリストや街宣車で呼びかける政治団体会長など様々な視点を捉えている。

監督はNY在住の映像作家・佐々木芽生(めぐみ)。映画だけにとどまらず、書籍版『おクジラさま ふたつの正義の物語』(集英社刊)も手がけるというエネルギッシュな活動ぶりだが、一体どんなジャンヌ・ダルクなのかとお話を伺うと、普段の素顔はよく笑いよく喋るオネーサマ!

20代でNYに渡るなど、さすがバブル世代という勢いのよさだが、制作の根底には長年のアメリカ生活で感じた違和感も。「捕鯨を守る日本人と許さない外国人」という二項対立にとどまらない新たな視点を提供する今作について、前編記事に続き、制作の動機からグローバルな日本の立ち位置まで幅広く伺った!

* * *

―その『おクジラさま』の書籍について伺いたいのですが、参考文献の多さにまず驚きました! 日本語が35冊、英語も7冊もあります…。

佐々木 そんなにありました? まぁ編集者に叱咤激励されつつ(笑)。でも6年間、撮影を続けるうちに、知れば知るほど自分はまだ全然わかってなかったなっていうことがたくさん出てきて、自然に知りたくなりましたね。

―クジラの肉に水銀が多いのは食物連鎖の上位にいるからとか、水銀を無害化するセレンを体内に持つことなど細かいところまで書いてあります。それはドキュメンタリーとして必要なことだとお考えだから?

佐々木 いえ、それは正直、書籍にするというので改めて調べたところもあるんですよ。映像のドキュメンタリーではそこまで細かく情報は必要ないので。

―映像は説明抜きで解釈を観客に委ねることになる、その行間を書籍で埋めたいという心境でしょうか。伝えるためには別の形で読んでもらう意味もあると?

佐々木 それは感じましたね。でも最初は書籍なんてムリだと思ってたし、映画だけで精一杯なのに…って断る気満々だったんですが、なぜか編集者に説得されて(笑)。文章と映像は全く違う表現方法なので使う脳の部分が違うし、そこはとっても苦しかったです、もう泣きそうに(笑)!

―大変だったとはいえ、映画の視点では自己主張ができない部分である意味、開放・解消できたというか、整理できた部分も?

佐々木 あるライターの方が言ってくださったんですが、「映画はぐしゃぐしゃに絡まった糸を一本ずつ丁寧にほぐしていく作業だったんじゃないか。そして本を書くことによって、その糸をもう一度編み直した」って。そうかもなと思いましたね。


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