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サブカル評論の原点に返った宇野常寛が挑んだ“ふたつの宿題”ーー思春期体験の中心にいた富野由悠季とは…

[2017年12月09日]

久しぶりに本格的なサブカルチャー評論『母性のディストピア』を上梓した宇野常寛氏

宇野常寛という評論家について、近年はTVコメンテーターという印象を持っている人も多いかもしれない。しかし、本来は『ゼロ年代の想像力』や『リトル・ピープルの時代』といった著作に代表されるようにアニメや特撮、ドラマなどの分析から現在の社会を考察するカルチャー系の論客として知られた人物である。

そんな宇野氏が久しぶりに本格的なサブカルチャー評論『母性のディストピア』を上梓した。宮﨑駿、富野由悠季、押井守といった日本のアニメーションを彩ってきた巨匠たちの作品を通じて、戦後日本の課題を批判的にあぶり出した意欲作だ。

「虚構について語ることでしか表せない真実がある」と信じる彼が本書を通じて今の日本に問いかけたかったものとは何か? インタビューで直撃した。

■やり残したふたつの「宿題」

―『母性のディストピア』は宮﨑駿、富野由悠季、押井守というアニメーション作家たちの作家論が中心になっています。なぜ、今のタイミングでこの3人について論じようと?

宇野 『母性のディストピア』は僕にとってふたつの宿題に取り組んだ本なんです。ひとつは個人的な動機です。僕は富野由悠季について書くために物書きになった人間で、一番影響を受けてきました。しかし、その作家としての偉大さがあまり論じられてないという不満を持っていて。いつか本格的に取り上げたいと思っていました。

それから、「母性」というテーマで戦後史を振り返るという構想もずっと持っていました。デビュー作の『ゼロ年代の想像力』には、すでに「肥大する母性のディストピア」という章がありました。戦後のアニメや漫画に中心的に出てくる母権的な排除の論理に注目することで、戦後そのものを論じることができるのではないかというアイデアが10年前からあったんです。

―そのふたつの宿題にようやく取り組むことができたのが今作というわけですね。では、長年のテーマとして批判的に論じてきた「母性」の問題とは?

宇野 ひとことで言えば、「悪しき戦後性」ですね。大人になれない少年が、母性が生み出した箱庭の中で見守られながら「矮小な父」として振る舞う。そんなモチーフが戦後のアニメには何度も登場しています。それがアメリカの影に怯えながら経済発展を遂げてきた日本の姿と重なるのです。

決して本当の「父」にはなれない男たちに「母」がかりそめの楽園を与えることで依存させる。それこそが「母性のディストピア」であり、戦後日本の姿そのものでした。

しかも、そうした構図はインターネットの歪(いびつ)な進化によって強化されました。10年前には悪しき戦後性を内側から緩やかに解体する力だと僕らは信じていたのに、気がつけばTVのワイドショー的なものばかりがもてはやされるようになってしまった。戦後を解体するどころか、戦後的なものを補完するものにネットはなってしまったのです。

―宇野さんはそれを「下からの全体主義」と呼んでいますね。

宇野 情報環境の変化によって人々の価値観は多様になるどころか、ますます画一化されてしまいました。この本は戦後の日本を覆ってきた「母性のディストピア」について論じることで、現在の閉塞感からの突破口を探す試みでもあるのです。

宇野常寛7701


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