週プレNEWS TOP 連載コラム こんな会社で働きたい! 10億の負債で瀕死の有名老舗旅館を劇的に再生させた“素人女将”の決断ーー従業員が楽しく仕事をする経営とは

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10億の負債で瀕死の有名老舗旅館を劇的に再生させた“素人女将”の決断ーー従業員が楽しく仕事をする経営とは

[2018年04月08日]

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09年以前は連ストランだった『陣屋』のブライダル施設、『源氏館』。

09年以前はレストランだった『陣屋』のブライダル施設、『源氏館』。

実際、この崖っぷちの状況に「内心ワクワク感があったかもしれません」と話す富夫さんは当時、燃料電池開発のプロジェクトに携わっていたそうが、数日後に辞表を提出。上司に引きとめられたが、「ホンダには1千人の技術者がいるからいいじゃないですか。『陣屋』には自分しかいないんです!」と押し切り、会社を去ったという。

この肝っ玉のデカさで『陣屋』を継いだ富夫さんと知子さんだが、瀕死の旅館を具体的にどう立て直そうとしたのか?

「資金がショートするまで“あと半年”というカウントダウンが始まっているのはわかっていたので、やるべきことは明確でした。とにかく売上げを上げて経費を下げることです」

ふたりには会社経営の経験も知識もないが、当時の『陣屋』で何が問題なのかは明らかだったという。

「入社して1ヵ月くらいは何も手出しできなかったのでスタッフの動きをじっと見ていたのですが、コミュニケーションの希薄さと人の多さが問題だと感じました。特に本館と別館の2ヵ所にあるレストラン。それぞれに接客チームがついていて、人員的にも余裕があるのにどちらかが忙しくてもフォローし合う関係になっていない。連携不足というより、お互いに関心がないといった印象で、これをひとつにまとめなきゃと考えたんです」

そこで先述した陣屋の“聖域”である炭火焼レストラン『源氏館』をなくす決断をした。

「『源氏館』は採算が厳しい状況にあり、もちろんここをなくすことに従業員から反感があることは想定できたので、主人と2年間分の台帳を自宅に持ち帰り、予約の稼働率を算出したんです。結果は2割にも届いていない状況で『だから閉めざるをえないんです』と数字を見せながら説得して回りました」

その後、『源氏館』はブライダル会場となり、今では年間1億を売り上げる『陣屋』の主力事業に育っている。

また、客を出迎える係、部屋に案内する係、夕食を出す係、布団を用意する係と専任が多く、20室の宿にあって従業員数は120人に膨れ上がっていた。そこで、単体タスクではなくマルチタスクで働いてもらおうと、知子さんは「ひとりですべての接客業務をできるようにしませんか?」と説得して回った。

これをいきなり20部屋でやるのも酷(こく)だから、その“練習場”として将棋や囲碁の対局と接待にしか使っていなかった個室『松風の間』を宿泊室に変更。接客係をつけ、客の出迎えから部屋への案内、夕食、布団の準備、朝食、見送りまでオールラウンドでこなせる技量を身につけてもらう。すると、ひとり、またひとりとマルチタスクで働ける人材が増え、「接客スタッフのボトムアップにつながった」という。

富夫さんも知子さんも「リストラはしない」と決めていたが、高齢の従業員を中心に改革についていけない人は辞めていった。一方、パートの採用は抑え、20~30代の人材は細々と採り続けた。「当時、主人と私が最年少の31歳で、上の世代とは10歳ほどの開きがありました。組織上、年代が万遍なく在籍していないとバランスが悪い」と感じていたためだ。その結果、社員の平均年齢は09年の45歳から現在の33歳まで若返り、50%にも達していた人件費比率は23%まで下がった。

さらに、復活に欠かせなかったのが『陣屋コネクト』の存在だ。これは予約から経理まで一元管理できるシステムで、富夫さんと新しく雇い入れたシステムエンジニアの社員を中心に自社で開発。外資系の大手IT企業・セールスフォース・ドットコム社のプラットフォームを活用してのものだったが、その初期投資は同社へのライセンス料1万5千円と、新たに購入したパソコン1台分を合わせて10万円程度で済んだという。


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