『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ 『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ
ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『街裏ぴんく』について語った。

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★今週のひと言「『R-1グランプリ』優勝者・街裏ぴんくと呂布カルマの縁」

今回は、3月に開催された『R-1グランプリ』(カンテレ/フジテレビ系)で、見事優勝した街裏ぴんくさんについて話していきたい。

何を隠そう、俺とぴんくさんは4、5年前から交流がある。俺と同い年で今はちょっとお休み中の晋平太(しんぺいた)というラッパーと、最近ハマっている芸人について話していたときのことだ。当時、俺は守谷日和(もりやびより)だったかトム・ブラウンだったかを推していて、そのとき逆に晋平太から教わったのが街裏ぴんくだった。

晋平太がそんなマニアックにお笑いをディグしている印象はないので、なぜあの時点でぴんくさんを認知していたのかは不明だが、俺は一発で夢中になった。

それがホラ話だと気づくまで多少の時間を要したが、呼ばれてもいない『アッコにおまかせ!』でX-JAPANのYOSHIKIに変なキレ方をされるネタだった。

読者の中には街裏ぴんくの芸風をいまいち理解していない人もいるかもしれないから一応説明しておくと、ホラ漫談だ。実在の人物や事象を交えてはいるが、よく考えるまでもなくウソ丸出しのホラだらけで構成されたなんでもありというスタイル。

俺はお笑いを見るとき、ネタの面白さと同じぐらいその芸人のビジュアルと声質も重視する。やっぱりいい顔のヤツがいい声でやるネタが好きなのだ。悪いけどルッキズムバキバキだ俺は。

その点、ぴんくさんはそのふたつを兼ね備えている(ちなみに顔と声質だけなら麒麟[きりん]の田村裕[ひろし]さんが俺の中ではナンバーワンなのだが)。

俺はそのときハマっているお笑いを会話の糸口として多用するタイプなので、その頃会った友達に街裏ぴんくを勧めまくった。その結果、俺の周りでは5年ほど前にプチ街裏ぴんくブームが到来していた。

そして当時、俺のレーベル「JET CITY PEOPLE」が仕切っていた日本最大のMCバトル大会「UMB」の愛知予選のアフターパーティに、ぴんくさんをゲストで呼ばせてもらった。

HIP-HOPのライブはDJのバックトラックがあればマイク1本で成立する、バンドなどと比べたらものすごくコスパのいい形態なのだが、ぴんくさんのホラ漫談は音さえ必要ない。

カラダひとつで深夜のクラブのステージに立ち、マイクに向かってホラ話だけでその場をロックする姿にネタどうこう以上の感動を覚えた。

逆に、東京で開催されたぴんくさんの独演会に呼んでもらって1曲歌ったりもした。『夜行性の夢』という曲に自分を重ねてくれたようだ。

そのときの様子はYouTubeにも上がっているので、興味があったら探してみてほしい。

実はぴんくさんがコンビで漫才をしていた時代の相方は、今は芸人を辞めて有名なラッパーになっている。彼は、その話を聞くまで元芸人だなんてつゆほどにも思わないような芸風なのだが。

そういった縁もあって、今年の『R-1グランプリ』決勝進出者に街裏ぴんくの名前を見つけたときはうれしかった。ただ、お世辞にもわかりやすい芸ではないので、失礼ながらまさか優勝するとは正直言って思っていなかった。

そんな俺の失礼な予想に反して見事に優勝したぴんくさんは、見た目も声もいいし、これまで苦労もしてきただろうし、何しろホラ吹きなのでエピソードトークにも事欠かないはずだ。

テレビでの活躍を見るだけにとどまらず、きっと共演できる日も来るだろう。

そのときを俺は楽しみにしている。

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