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“国内最安”初乗り300円タクシーの誕生秘話「トヨタを口説けなければ生まれていなかった」

[2017年04月09日]

エコタクシーを運営するエコシステムの中村秀樹社長

1月30日、東京都内のタクシー会社が一斉に初乗り運賃を730円から410円に引き下げた。だが、同じタイミングで初乗りを300円に値下げした会社がある。それがエコタクシーだ。

迎車料290円(他社は430円)、深夜・早朝割り増しナシ(他社の多くは2割増し)など、タクシー業界の中では突出して安い料金設定で知られるタクシー会社の人気ぶりは前回記事「エコタクシーの“利益はお客様に還元する”精神とは」でまず伝えた。

運営するのは東京・江東区に本社を構えるエコシステム株式会社。2004年3月に中村秀樹社長が立ちあげた。当時のドライバー数は約10人、保有車両は10台だった。02年に小泉政権が推し進めたタクシー業界の規制緩和で、新会社の参入条件が許可制から届け出制へ、最低保持台数は60台から10台に緩和された2年後に産声をあげたわけだ。

中村社長は千葉市の市立小学校の元教員。『わんちゃん先生』で思い出す人もいるだろうが、担任を受け持つ生徒と教室内で犬を飼ったり、運動場に耕した畑で栽培した野菜を給食にしたり、生徒全員の成績をオール5にする…といった独自の学習を実践し、良くも悪くも“教育界の異端児”として当時から注目を集めていた。

「企業の業績のように、目標値に対する到達度によって『3』や『4』などと個人を評価すること自体は否定しません。でも、教育はそうじゃない。教室で犬を飼うために犬小屋を作り、生徒が手分けして廃品回収をし、それで集めたお金をクラス内に作った“大蔵省”で管理し、自分たちでエサ代と予防接種代を工面する…。そんな優しい子供たちの評価が『5』でないわけがないでしょう。教育の本質は生徒の心を育てることなんです」

しかし、中村さんは分限免職となる。91年のことだった。自身の教育が「学習指導要領からはみ出た、生徒に悪影響を与える教育」と地元教育委員会から問題視されたのだ。

その後、映像ジャーナリストに転身。映画も撮った。例えば、第二次世界大戦中の日本軍によるビルマ(現ミャンマー)侵攻を題材にしたもの。

当時、イギリスの支配下にあったビルマの独立を支援するため、日本軍はタイとビルマの国境付近で諜報活動を敢行。作戦の一環として諜報員の中には村の女性と結婚する者もいたが、情報を集め終わると村を去り、女性は取り残された。それだけではない。この工作活動に続いてビルマに進軍していった日本軍人たちも、我先にとビルマ人女性たちと結婚していった。結婚した女性の数は6千人とも8千人とも言われる。

映像に収めたのは、そんな悲劇のビルマ人女性たちの証言の数々。今も夫の帰りを待ち続ける彼女たちの言葉が胸を打つこの作品は、1996年から一部の映画館で上映された。

さらに、中村社長は自動車部品を販売する貿易会社をミャンマーに設立。日本とミャンマーを行き来しながら、収益の一部をビルマ人女性に寄付する活動も行なった。そんな異色の経歴を持って、タクシー業界への参入を決断するわけだが…

「当時、タクシーのことは何も知らなかったんです。二種免がいることすら知らなかった(苦笑)。なんとか取得して、まずは勉強だ!と大手タクシー会社に入社しました。1ヵ月目に約100人のドライバーがいる営業所で売上げが3番目になり、2ヵ月目は5番目に落ちたけど、もう大手のやり方はわかったということで、今度は小さなタクシー会社に転職しました」


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