パワートレーンやヒップポイントを低く配置して先代よりも重心が低くなった4代目。快適な乗り心地と優れた操縦安定性を追求している パワートレーンやヒップポイントを低く配置して先代よりも重心が低くなった4代目。快適な乗り心地と優れた操縦安定性を追求している

昨年12月9日に発売された新型プリウス(4代目)が大人気だ。注目度の高い最新エコカーの気になる中身だが…。

●初期受注で 10万台はスゴイ!

1月18日の報道で、新型プリウスの発売1ヵ月時点での受注台数が発表された…その数なんと10万台!

ちなみに、発売1ヵ月で10万台を超えた例としては、トヨタ・アクアの12万台、さらに先代の3代目プリウスの18万台などがある。それらに比べれば今回の10万台は絶対数としては下回るが、新型プリウスを取り巻く環境を考えれば、予想以上の快挙といっていい。

先代プリウスがバカ売れしたのは、当時のリーマン・ショックで落ち込んだ景気テコ入れのための「エコカー減税&補助金」の影響が絶大だったからだ。「地球環境のため」という言い訳で、ハイブリッド車(以下、ハイブリ)を特別優遇したおかげでプリウスが売れまくった。何せ当時は、まともなハイブリがプリウスとホンダ・インサイトくらいしかなかったのだ。

しかし、当時と今では状況が全く異なる。ハイブリも今や普通の存在となって、それ以外のエコカーも増えた。維持費を加えたトータルコストで、プリウスより安くて便利なクルマはアクアに限らず、ごまんとある。

それでも初期受注で10万台というのだから、プリウスはやっぱりスゴイ。日本ではプリウスはもはや空気のような存在だが、何かが起これば日本中が大騒ぎ。まるでSMAPの解散騒動みたい…と思ったのは週プレだけか。

それはともかく、SMAP解散回避で多くの人が思うところがありつつも、なぜか安堵(あんど)したように、新型プリウスがバカ売れしている…と聞いて、週プレもなぜか安心したのはホントである。

プリウスはメジャー中の超メジャー商品なので、何をどうしたところでアンチがいるのは当然。しかし、新型プリウスを実際に見て触って、乗ってみると「いいクルマ」だと認めざるを得ない。イイモノがきちんと売れるのは、正しい世の中の姿だ。だから安心する。

もっとも、「いいクルマ」とは週プレが勝手に言っているのでなく、現在のトヨタが、そして新型プリウスの開発陣が、ことあるごとに実際に口にするキーワードなのだ。

これは元々、トヨタ社長の豊田(とよだ)章男氏が掲げる「もっといいクルマづくり」という社是から来ている。章男社長が生まれた1956年にはトヨタはすでにクラウンを造っていた。そんな日本一の自動車会社の御曹司である章男社長は、ピュアなクルマ好きだ。トヨタがいろいろと批判されても「トヨタがいいクルマを造っていないから」と受け取り、クルマで世界を幸せにしようと本気で思っている。

お世辞ではない。まあ、まともな自動車メーカーのトップはたいてい同じメンタリティを持っているが、章男社長の思いはマジ強烈…。本人に会ってそう感じた。

新型プリウスの開発責任者は、「歴代プリウスは低燃費車としては優秀だったが、純粋な意味でいいクルマだったかというとそうとは言えない」と、あえて明言する。さらに、「世界にはディーゼルもあるし電気自動車もある。世界的にはハイブリッドはニッチな存在。いいクルマだと気に入って買ったら、それがたまたまハイブリッドだった…というクルマに新型プリウスをしたかった」とも語る。

●試乗レビューや車内の写真など、新型プリウスを徹底解剖する記事の続きは『週刊プレイボーイ』6号』(1月25日発売号)にてお読みいだだきます。

(取材・文/佐野弘宗 撮影/池之平昌信)