いいクルマだから売れる…とは限らない。今年上半期にも、数々の名車が生産中止となった。
例えば今年4月1日に、ひっそりとホームページから消え去ったトヨタのiQ。前代未聞の「全長3m4人乗りマイクロカー」を普及させることで都市部の渋滞や排ガスを減らすことを目的とした「究極のエコカー」だった。
さらに今年、トヨタは05年発売の2代目bB、3代目RAV4、07年発売の2代目イスト、カローラルミオン、10年発売の2代目ラクティスの生産終了も発表した。
iQは理想こそ素晴らしかったが、実用性が足りなかった。専用ボディや専用パワートレインを開発し、インパネをエグって4人乗りにしたはいいが、荷室はほぼナシでリア席は狭く、乗り心地もバタバタ。せめて軽自動車税が適用されるなら納得できるが、現実は1リッター5ナンバー車扱い…。
ある種の早すぎた理想論に押しつぶされたクルマは、他のメーカーにもある。それが年内の生産終了と最終仕様登場がリリースされたホンダCR-Zだ。80年代のFFコンパクトスポーツ、“CR-Xの再来”ともいわれ、他に先駆けて10年に登場したCR-Zのキモは史上初「ハイブリッドカースポーツ」という部分だった。
確かに、発売直後の半年は月3000台レベルで初年度は2万台以上と爆発的に売れた。が、その後は月販数百台レベルで推移。14年からは月2桁台に…。こちらも理念は素晴らしかったが、市場の変化についていけなかった一例だろう。
このように、今年も続々と過去の名車・話題車が生産を終了した。7月16日発売の『週刊プレイボーイ』31号では、この他にも「今年上半期に逝ったクルマたち」を紹介しているので、ぜひご覧いただきたい。
(取材・文/小沢コージ)