長期低迷していた国内バイク市場にあって、メーカー各社が軽二輪クラス、特に250㏄クラスに新モデルを精力的に投入し、売れ行き好調だ。
かつて1980年代に空前のブームを巻き起こしたバイクが、再び人気に火をつける!?
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1980年代の大ブームを頂点に、国内のバイク販売台数は減少の一途をたどっている。世界に冠たる四大メーカーの母国なのに、少子化、娯楽の多様化、排ガス規制によるモデル数の減少、駐輪取り締まり強化などが原因となって、現在ではピーク時の7分の1、8分の1の規模にまで数字が落ち込んでいるのだ。
だがそんななか、ある排気量カテゴリーに異変が起きている。今年上半期の軽二輪車(126~250cc)の新車販売台数が、前年同期比19.9%増の2万8602台と、3年ぶりに前年同期実績を上回ったのだ。なかでも今年6月は、前年同月比42.9%増(!)という好調な売れ行きを記録(いずれも全国軽自動車協会連合会調べ)。まさに今、軽二輪カテゴリーのバイク市場が熱く盛り上がっているのである。
なぜこのような現象が起きているのか? ビギナーライダー向けのバイク雑誌『タンデムスタイル』(クレタパブリッシング)の谷田貝洋暁(やたがい・ひろあき)編集長が解説してくれた。
「今年に入り、250ccクラスに魅力的な新型モデルが続々と登場していることが大きいですね。なかでも牽引(けんいん)役となっているのが、5月に発売されたCBR250RR(ホンダ)。
ここ数年、Ninja 250(カワサキ)が先鞭(せんべん)をつけ、YZF-R25(ヤマハ)が続いたフルカウルのスーパースポーツ(SS)カテゴリーが人気を博し、250ccバイク市場が活況を取り戻しつつあったのですが、そこへホンダが究極の“後出しジャンケン”で投入した、渾身(こんしん)の力作です。
250ccモデルでは異例の性能や装備にユーザーも敏感に反応し、発表後わずか3日で年間販売計画台数の3500台を上回る受注を得る大ヒットとなりました」
一説にはエヴァンゲリオンを意識したとされる先鋭的なデザイン、パワフルなエンジン、電子制御スロットルがもたらした走行モード切り換えシステム、倒立フロントフォーク、LEDライトなど、ライバル車にない数々の特徴を持ち、大型のリッターバイクと比べても遜色ない作り込みと質感。その分車両価格も跳ね上がり、250ccクラスでは異例の税込み75万6千円~となっている。
さらに現在の250㏄クラスには、もうひとつの潮流がある。CRF250RALLY(ホンダ)、ヴェルシス-X 250 ABS ツアラー(カワサキ)、Vストローム250(スズキ)といったタフなイメージのツーリングモデルが、各メーカーから相次いで発売されたのだ。
専門メディアの間で『250ccアドベンチャー』とカテゴライズされているが…。
◆今、250ccが20代・30代にウケている理由、ブームの動向、最大の障害は?『週刊プレイボーイ』33号(7月31日発売)「国産250ccバイク逆襲のワケ」にてお読みください!
※価格はメーカー希望小売価格。保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれていません