エコカーが幅を利かせている昨今、肩身の狭い思いをしているスポーツカー。明るい未来はあるのだろうか? 自動車ジャーナリストの小沢コージがマツダのトップに聞いた。
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ブラボーニッポン。スゴいぜマツダ・ロードスター! オザワがひそかにニッポン自動車界の鉄人であり、かけがえのないお宝だと思っているのがこの小さなスポーツカーだ。
1989年、バブル真っただ中に初代ユーノスロードスターとして生まれ、以来29年の長きにわたって世界で愛され、16年4月にはついに累計生産100万台を突破!
これはふたり乗り小型オープンスポーツカーとして世界最多であり、今もギネスブック記録を更新し続けているだけでなく、スポーツカー全体を見渡してもロードスターを超えるクルマはない。ある意味、世界で最も多くの人に愛され続けているスポーツカーなのだ。
ということで、9月1日に開催された「メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」の前夜祭にて、今年6月に社長に就任したマツダの丸本明氏を直撃。ロードスターの未来や、気になるあのクルマの復活を聞いた!
■RX-7は出したい
──社長、スゴいですね。ロードスターとメディア4耐が来年で30周年ですよ!
丸本 まぁ、バカなんですよね、ウチはみんな(笑)。だって「ロードスターをやめたらどう?」なんて話は一切出ませんから。フォード傘下時代はアチラでそう言う人はいたかもしれませんけど、日本人役員で「やめよう!」って話をする人はいません。
──メディア4耐はもちろん、エコカー全盛期でもロードスターの開発はやめない?
丸本 そうです。というか私はここ4年、米国の事業を担当していましたが、アッチでロードスターをやめるなんて口にしたら、ディーラーのおっちゃん連中は「マツダの販売をやめるぞ!」となる。みんなロードスターが大好きすぎるんです。
──でも、ビジネスとしては日本で月販500台、米国でその倍ぐらい。正直、あまり儲からないですよね?
丸本 グローバルでは年間3万から4万台を売っています。
──日本で一番売れるジャンルなのにミニバンからマツダは撤退しました。スポーツカーであるロードスターを続けるのは会社としてのフィロソフィーであり、気持ち?
丸本 そうです。私たちは「どうやってロードスターを続けるか?」ということは考えますけど、やめるっていう発想は今の役員にありません。
──それはスゴい。もしや社長ご自身、メディア4耐に出たいのでは?
丸本 もちろんですよ。マツダのデザイン担当の前田常務に、彼が監修したレーシングスーツと靴をいきなり買わされて持っていますから。ただ、残念ながら自分には運転のセンスがないんです。
──最後の質問です。ロータリースポーツのRX‐7、コイツの復活はありえない?
丸本 出したいんですが、その前に会社全体としてもっと稼げるようにならないと(笑)。
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『週刊プレイボーイ』39&40合併号(9月10日発売)では、今年6月に副社長に就任したマツダの開発部門トップの藤原清志氏に、小さく軽く原点回帰した4代目ロードスターについて、スポーツカーと自動運転の関係など、さらに突っ込んで聞いている。