ま、またもやマツダがCX-5の商品改良を行なった! 10月11日から新型が発売となったが、前回の商品改良は2018年の2月だ......オイオイ! まだ8ヵ月前の話だよ!
いや、商品として常に新鮮な状態を保っていつも魅力的かつ最先端で......という気持ちはわかるけど、これ2月に買ったユーザーの中には怒ってる人も少なくないのでは!?
それはさておき、今回の商品改良、もう、クルマ好きにとっては盆と正月が一緒にやって来たような大騒ぎな内容である。
なぜならば、ついにウワサの2.5リットルターボエンジンを国内向けとしては初投入したからだ。さらにマツダは追撃の手を緩めない。この2.5リットルガソリンターボに加えて、ディーゼルエンジン搭載モデルに6速MTまで用意したのである!
いやぁ~、エコカー全盛の昨今にかっ飛びターボを搭載し、さらには絶滅寸前のMTを投入。しかも、大トルクで楽しい走りが期待できるディーゼルとMTの組み合わせ。マツダは本当にマニアの心を忘れない自動車メーカーだ!
ということで早速、2.5リットルターボに試乗してみたのだが、なんだか通常のCX-5よりも高品質じゃないか?と思ったら、これまた同時に「エクスクルーシブ モード」という特別仕様車を用意しており、これは上級モデルのCX-8に用意された装備をスライドした仕様だ。
フレームレスのバックミラーやレザーシートなどCX-8譲りの装備がズラリ。さらにシートにはヒーターだけでなく、高級車の証であるベンチレーションも用意された! だからCX-5を買うならエクスクルーシブ モードを選ぶのがいい。
気になる2.5リットルターボは、走りだすとガソリンエンジンらしい回転の軽やかさに加え、直噴ターボエンジンらしい力強さでCX-5を気持ちよく加速させてくれる。
そして回転が高まってくると、ガソリンエンジンだけに高回転まで一気に......とはならないのが残念なところ。最近の直噴ターボエンジンは、高回転まで回るものは少なく、このCX-5も6000回転がいっぱいいっぱいだ。
とはいえ最高出力230馬力、最大トルク42.8kgmで力強く加速してくれる気持ちよさがある。それに少しとはいえ4000回転から上は、キレイにエンジンが回る。
乗った印象は思ったより落ち着きがあって大人っぽい印象。2.5リットルターボというとスポーティなイメージを抱くけど、そこまでキビキビした感じではないかな、というのが実際のところである。
次に、ディーゼルに加わった6速MTに乗ってみる。最近はマニュアルが少ないだけに、まずは6速MTを操作するだけでスポーティな印象を覚える。しかも、いったん停止してからゼロ発進で全開加速を試してみると......おおっ! なんだこの強烈な加速は! そしてシフトアップすると、さらに力強い加速の波が!
考えてみれば搭載される2.2リットルのディーゼルエンジンは、最高出力190馬力、最大トルクは45.9kgm。45.9kgmって、さっきの2.5リットルターボよりも最大トルクが大きいのだ! だから力強く加速していくわけだ。
しかも、マツダのディーゼルエンジンはほかのメーカーのディーゼルエンジンと比べてもガソリンエンジン並みにキレイに吹け上がっていく。おそらくこれよりも気持ちいいディーゼルエンジンは、BMWくらいだろう。それほどに気持ちいいフィーリングだ。
2.5リットルターボはATとの組み合わせのため、全開加速しても6000回転の手前でシフトアップしてしまうので、実はディーゼルエンジン+6速MTのほうがスポーティという事実に気がつく。多くのクルマ好きが注目していた2.5リットルターボはATのみの設定で、ディーゼルに6速MTを設定するという確信犯的な、ある意味でドSなラインナップになっているのだ。
さらに、さらに悩ましさを増長するのが、この2台の車両価格はほぼ同じということ。僕はひそかにマツダ、次のCX-5の商品改良で、2.5リットルターボの6速MTを用意するつもりでは、とにらんでいる。今のマツダの頻繁な商品改良なら、ありえなくない。かなりありえる話だ。
となると、いつまでたっても買い時がわからん!というオチである。この両モデルを僕のYouTubeチャンネル『LOVECARS!TV!』でがっつり比較しているのでCX-5を検討している方は、ぜひチェックしてほしい。
●河口まなぶ
1970年生まれ、茨城県出身。日本大学藝術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌(モーターマガジン社)アルバイトを経て自動車ジャーナリスト。毎週金曜22時からYouTube LIVEにて司会を務める『LOVECARS!TV!』がオンエア中。02年から日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員