実は今、国産のコンパクトハッチは魅力的なクルマがズラリと並び、超激アツ状態なのである。いったいどれを狙うべきなのか?
■ノートに最強スポーツモデルが登場!
日産のノートが今年上半期の国内新車販売(軽自動車除く)で、それまで絶対王者として君臨してきたプリウスやアクアをかわしてトップに立った。日産車がトップに輝くのは1970年のサニー以来の快挙。ちなみにトヨタ車が上半期トップを譲り渡すのは9年ぶりである。
ノート躍進の原動力は16年11月に投入されたe-POWERだ。コイツはエンジンを発電だけに使うハイブリッド車(HV)で、モーター駆動のためアクセルを踏むと電気自動車(EV)的な強烈な加速が味わえ、アクセルペダルひとつで加減速できる新感覚な乗り味も魅力だ。それが証拠に今やノートの販売の約7割がe-POWERである。
そして9月25日、そんなノートe-POWERにハイパワーバージョン「ノートe-POWER NISMO S」が追加された。イカつい大型ルーフスポイラーや専用マフラーなどが装着され、やんちゃな空気がビンビンだ! ノートe-POWER NISMO Sに最速試乗した自動車ジャーナリストの河口まなぶ氏はこう語る。
「コンパクトなボディに最大トルク320Nmを発生するモーターの組み合わせだから、つまらないはずがない! しかもモーターはアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクが出るからめっちゃ力強い加速を堪能できる! 久々に楽しいホットハッチです」
気になるのはベースモデルのノートe-POWER NISMOとの違いだ。
「Sはセレナe-POWERや新型リーフに採用した最新技術をスライドさせています。それによって最高出力は25%向上。モーターによる圧倒的なトルクはレスポンスの良さを持っているので、アクセル操作に対する反応は実に素早く驚かされる。
コレを一度でも味わうと通常のエンジンがタルいと思えてしまう。ズバリ言って、新時代のスポーティを味わうならSで決まり。モーターの感覚は乗れば乗るほど病みつきになりますよ!」(河口氏)
ちなみに現行モデルは12年登場の超熟成カーでもある。
■400万円のヴィッツが即完売ってマジか?
注目の国産コンパクトハッチはまだまだある! その筆頭が1999年に初代が登場し、現在は約80の国や地域で販売。世界累計台数は約781万台を誇るトヨタの世界戦略車、ヴィッツ(現地名=ヤリス)だ。そんなヴィッツの究極といえるのが、今年4月に150台限定で販売されたGRMNだ。
エンジンは1.8リットル直列4気筒DOHCにスーパーチャージャーを搭載し、212馬力を誇る。フロントタワーバー、専用チューニングされたアブソーバー(ザックス製)、トルセンLSDも装備。価格は400万円と超高価だったが、応募が殺到したというから驚く。
「3000人以上から応募があり、抽選となりました。もちろん、すでに完売しています」(トヨタ広報部)
ちなみに10月14日に閉幕したパリモーターショーで、トヨタはヤリスのGRスポーツをお披露目している。ザックス製のパフォーマンスダンパー、専用スタビライザーを採用。車高は11mm下げられていた。しかも、このクルマのパワートレインは1.5リットルのHV「THSⅡ」。日本投入はあるのか? 今後に注目だ。
続いては80の国と地域で販売され、世界累計台数は約311万台のデミオだ。実はデミオにも男がギンギンになるスポーツモデルがある。デミオ15MB(モータースポーツ・ベースモデル)だ。デミオシリーズで唯一の1.5リットルエンジン「SKYACTIV-G 1.5」を搭載。
トランスミッションは6速MTのみというド硬派すぎるモデルである。派手なエアロパーツやチューニングパーツなどは一切装着されていない。正直、内装もラジオとマニュアル式エアコンという簡素さであるが、安っぽさは皆無だ。
マツダ広報部はデミオ15MBについてこう話す。
「ビギナーから上級者まで、デミオのポテンシャルを最大限に引き出し、ラリーやジムカーナ、ダートトライアルなどのモータースポーツを楽しむためのベースモデルです」
外観は通常の「デミオ」となんら変わりない。最高出力も116馬力/6000回転と正直大したことはないが、乗れば走る楽しさを堪能できる一台だ! 燃料はハイオクだが、燃費はJC08モードでは19.2km/リットルと超優秀!
■フィットにはゴツ顔モデルが登場!
コンパクトハッチで忘れちゃいけないのが、158の国と地域で販売し、世界累計台数は約637万台を誇るスズキのスイフトである。絶滅寸前のMTを6割が選んでいる超男グルマだ。
昨年登場した現行モデルのスイフトスポーツは、超軽量高剛性な新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用。テールゲート開口部下などには12点のスポット溶接打点を追加。
初の3ナンバーボディだが、車両重量は6MTで970kg、6ATで990kgと、1t切りを達成。この軽量ボディに140馬力の新開発1.4リットル直列4気筒ターボを搭載している。
いざ走らせると、そのフットワークの素晴らしさにしびれる。1t切りのボディの軽さを感じるが、安定感も抜群で、小さいクルマに乗っている感が全然ないのだ。足回りもスポーツ走行での性能に定評のあるモンロー製で、実にしなやかに動く。そして上質感もハンパない。男なら一度は乗るべし!
最後は来年フルモデルチェンジのウワサもあるホンダのフィットだ。現行モデルは112の国と地域で販売され、世界累計台数は約660万台。そんなホンダの顔ともいえるフィットに今年7月、新ドレスアップコンプリートカー「フィット Modulo style」が登場して話題を集めている。
コイツはホンダの純正アクセサリーメーカーであるホンダアクセスのカスタマイズパーツがぶっ込まれており、ベース車両の特徴を生かしながらも、個性的に仕上げている。
専用デザインのゴツいフロントグリルにフロントバンパーを採用。5連ラインタイプの専用LEDフォグライトに専用の15インチアルミホイールも目を引く。また、内装はシートや本革巻きステアリングなどがブラックに。ステンレス製スポーツペダルも与えられている。
「お客さまからは『カッコいい』『フロントデザインの押しが強い』などデザインに関しての高い評価をいただいております」(ホンダ広報部)
キミも激アツのコンパクトハッチに乗ってみないか?