12月6日、千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイで、新型トヨタ・スープラのプロトタイプ試乗会が行なわれた。
スープラといえば、1978年に欧米で発売された初代(日本では「セリカXX」として発売)から4代に渡って製造され、日本のスポーツカー市場はもちろん、スーパーGTや世界ラリー選手権などの国際モータースポーツも賑わせてきたトヨタの超傑作だ。
そして、5代目となる新型は、なんとトヨタ史上初となるBMWとの共同開発車! 日独のスポーツカーDNAを持ったスープラは、モータージャーナリストの小沢コージと河口まなぶの目にどう映ったのか? 最速試乗直後のホヤホヤ対談をお届けするぞ!
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河口 待ちに待った新型スープラのサーキット試乗。印象はどうでした?
小沢 今日があいにくの雨だったというのもあるけど、開発責任者の多田哲哉さんも言っていたように、まさしくレーシングカートみたいだなって。素性がめちゃくちゃピュアなスポーツカーを目指している感じがする。
河口 確かに、走りは攻めるとピーキーでしたね。新型の特徴でもある「ショートホイールベース&ワイドトレッド」というのが結構効いているみたいで、回頭性もかなり鋭くて驚きました。
小沢 でも乗り心地はかなり良い。ステアリングフィールとか走り味にはBMWのテイストが強く入っていて、「あれ?」って驚くような大人っぽさもある。
河口 BMWのZ4と比べるとどうでした?
小沢 Z4はもっと軽かったかな。ハンドリングも軽くて常にニュートラルなんだよね。スープラもドライで乗ったらそうかもしれないけど、アンダーが出たりもしないし、変に奇をてらった感じもしない。乗り心地はどっちも良かったな。
河口 このクルマには二面性がありますよね。今回はサーキット試乗だけど、公道で乗ったら「快適性は高いけどスポーティ」というBMWらしい部分がもっと感じられそう。
小沢 だから、今までのスープラを古典的なスポーツカーだと思っている人からすると、今回はちょっとイメージと違うかもしれないよね。思い返すと、先代のA80はもっとボディが大きかったし、直6エンジンもドロドロとしたフィーリングでもっと大味だったわけで。
河口 今回のエンジンは、BMWの新世代3リットル直列6気筒をベースにヘッドチューンを施していますけど、やっぱり気持ち良いですね。振動も少ないし。
小沢 スタイリングについてはどう思った? バッドモービルっぽいデザインは北米市場でもウケるんじゃないかと思うんだけど。
河口 今までのトヨタのスポーツカーとは違った雰囲気があって良いなと思いましたね。新世代のデザインだし、全長はコンパクトだけどかなりマッチョに造ってある。細かい部分を見てみると、レーシングカーとしても使いやすいようにと、フェンダーの上やドアの後ろなど色々な箇所に冷却ダクト装着用の穴が開いていたりする。そういう形跡があるだけでちょっとしたアクセントになるし、面白いですよね。
小沢 トヨタはスープラを幅広いスポーツカーにしようとしてるんだろうね。今は大人っぽさもあるけど、もっとガチガチに固めていけば、今までにないほどよく曲がって速いクルマにもなるだろうし、逆にもっと大人向けのテイストにもできるだろうし。
河口 将来的に、Z4にMが過激なチューンをしたモデルが追加されたら、トヨタはどんなものを出してくるのか楽しみですね。さらに直4の廉価グレードも投入されれば、価格帯の幅も広がりそう。
小沢 「BMWが持つホンモノ指向の味をトヨタのブランドと安心感で」というのが、このコラボレーションの面白いところだよね。
河口 スペックが近い他社のスポーツカーよりかなり売れる気がします。来年春の市販までに、各部をどういう風に調整してくるのかとても楽しみです。
■河口まなぶYouTubeチャンネル「LOVECARS! TV!」新型スープラ試乗動画
https://youtu.be/EbNv4m3h5AQ