1月11~13日に開催されたカスタムカーの祭典「東京オートサロン」。平成最後となった今回は426社が参戦し、906台が展示された。
徹底取材した自動車ジャーナリストの塩見(シオミ)サトシが最強の改造車を選んだ!
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■軽自動車、人気四駆にEVレーシングカー!
クルマ業界の新年会「東京オートサロン」が今年も1月11~13日、千葉・幕張メッセで開催された。クルマ取材もさることながらコンパニオンの最新傾向を研究すべく毎年自らに現地取材を義務づけているシオミは当然初日のプレスデイに参加、場内をつぶさに見て歩いた。
1983年、チューニングカー雑誌『OPTION』が改造車を集めて展示した「東京エキサイティングカーショー」を起源にもつ東京オートサロンは、年々規模を拡大し、近頃ではチューニングやカスタマイズのショップのみならず自動車メーカーもこぞって参入するようになった。
ある時期まではコンパニオンのコスチュームが年々過激化し、ぎりぎりビーチク隠してるだけじゃん!というレベルまで達したこともあったが、自動車メーカーが深く関わるようになるにつれ、コスチュームも節度あるものになった。このあたりは大企業参入の功罪といえよう。
というわけで、今年の自動車メーカー系出展車両のベスト3を独断で選んでみた。
1位はスズキ・ジムニーシエラのリア半分をぶった切って荷台を取りつけたジムニーシエラピックアップスタイル。妖しげに輝くカラシ色、早い話がスケベ椅子カラーをベースに、ルーフとホイールにオフホワイトを差し込んだカラーリングがワイルドで、ひと際目立っていた。
全長はシエラより約30cm延長されたが、車高も上がってチョロQ感満点。モノコックではなくフレームシャシーを採用するジムニーベースだから縦横伸縮自在というわけだ。さらに大径タイヤが装着され、車高もアップしているため、シエラがもつ高い悪路走破性はさらに向上しているはず。
ボディと荷台の境目を見ると、少し荷台がはみ出ている。聞けば同社の軽トラックのキャリイの荷台を短く切って流用したそう。この"えーい、やってしまえ感"がいいじゃないか。サイズぴったりの荷台を新たに作って高価になったのではジムニーとはいえないっ!
「市販予定は?」との問いに「シエラの納車をお待たせしているお客さまが多く、そちらの生産が優先ですが、将来いろいろやれたらいいですね」と広報氏。かつて初代エスクードを2シーターオープン化したX-90という悪ノリグルマを市販した実績をもつスズキなら......可能性もなくはない。
2位はダイハツの2シーターオープンスポーツのコペン。ただしこのコペンのフロントグリルに見たことのあるバッジが装着されていた。「GR」ってガズーレーシング? あれは確かトヨタのモータースポーツ部門......そういえば、ダイハツはトヨタの完全子会社だった。
オーナーやファンからの要望が少なくないスポーティバージョンの開発を、ル・マン24時間レース総合優勝やWRCマニュファクチャラーズチャンピオン獲得の実績をもつ親方トヨタと一緒にやってしまおうというコラボ企画だ。お堅い両社にしては珍しく華やいだ取り組みじゃないか。ボディ剛性や足回りが強化されたほか、専用レカロシートやGR各モデル風フロントグリルが採用された。近い将来市販の可能性は高い。
3位は日産ブースのレーシングカー。このマシンにエンジンは搭載されず、代わりに54kWhのバッテリーと電気モーターが搭載されている。電気自動車版F1のフォーミュラEに参戦中のマシンだ。
過去4年間、世界各地の市街地サーキットで行なわれてきたフォーミュラE。今シーズン、日産が日本メーカーとして初めて参戦、先月の開幕戦では6位、7位と健闘した。
ダイハツにあった軽トラ、ハイゼットトラックジャンボのカリフォルニア工務店バージョンが次点。実在するおしゃれ工務店とダイハツが手を組み、軽トラを仕事ではなく趣味の仕様にしてしまった。荷台に組んだ櫓(やぐら)のようなロールバーはモノをつるしたり立てかけたりできて便利。十人十色の使い方ができそうだ。