3月19日に発売された日産ルークスが早くも人気だ。昨年発売されたデイズも売れに売れている。
ということで、話題の軽自動車2台をガッツリ試乗。自動車ジャーナリストの小沢コージがその人気と実力にガツンと迫った!
■日産がぶっ込んだ新型軽の実力とは!?
ニッポンの軽は戦国時代に突入。今、日産はマジで下克上を狙えるポジションにいる! なぜなら昨年日産で一番売れたクルマは、3年連続コンパクトカー販売王で年販11万台強のノートではなく、15万台強のデイズなのだ。
ちなみにデイズは昨年の乗用車全体の販売ランキングでも4位に入り、プリウスやカローラはもちろん、売れ筋のムーヴやワゴンRまでもブチ抜いて話題を呼んだ。つまり、日産がガチでいい軽自動車を造れば売れるのだ。もともとブランド力は高く、さらに全国には2000店舗以上の販売網がある。
驚くのは日産が本気で軽を造り始めたのはほんの4年前ということ。それ以前は当時トップだったゴーンの英断で、プライドを捨てて他メーカーの力を借りていた。日産最初の量販軽自動車は2002年発売のトールワゴン、モコで、中身はなんとスズキのMRワゴンだった。
開発から関わった最初の軽は13年発売の初代デイズだが、開発主導は三菱。つまり日産主導で造った初めての軽は、昨年発売の2代目デイズからなのだ。
昔から「軽には特殊なコスト感覚が必要でグローバルメーカーが造るのは無理!」といわれたなかで生まれた新型デイズは絶妙だ。根本的な軽さや燃費性能ではホンダやスズキやダイハツに負ける。
デイズの最良WLTCモード燃費は21㎞/L台でライバルのホンダNワゴンは23㎞/L台。スズキのワゴンRになると25㎞/L台だ。けど、実燃費になるとライバルとの差は縮まる。
何より日産の軽は、乗用車で培った質感とパワーで欠点をうまいこと補っている。例えばデイズに乗ってみて驚くのは内外装のクオリティの高さだ。シートにも本革風マテリアルが使われ、樹脂パネルやメタル調パーツも妙にツヤツヤしすぎてなく自然。
エクステリアもシンプルな箱型で、顔もスッキリの日産流Vモーショングリル。静粛性も日産乗用コンパクトのキューブレベルだ。
一方でパワーはスペック的にはライバルに少し負ける。過給器付きのターボはどのメーカーも規制枠の64PSだが、ノンターボはデイズが52PSと少し低め。
しかし、デイズはこれまたミニバンのセレナ譲りの技術をぶっ込み、約2.7PSのマイルドハイブリッドを標準装備。結果、乗ると加速感はライバルとほぼ同等である。
そして、ライバルとの差を縮めるどころか凌駕(りょうが)したともいわれているのが、同じプラットフォームを使った新型スーパーハイトワゴンのルークスだ。こちらは全高1.7m台のスペックを生かし、ライバルがやっていないスペース活用に挑戦し、収納力はクラストップ級。
具体的にはフロントシートを他車より高く、前に設定。ロフト付きワンルームマンションのごとく、広い室内の頭上を有効活用した新パッケージである。結果、リアシート&ラゲッジスペースはクラストップレベル。事実、身長176㎝のオザワがフロントに座ったポジションのままリアシートに座っても膝を思いきり伸ばせる。
同時にリアシートスライドが最大32㎝と段トツ長いので、リアシートを前に動かすとラゲッジはどのライバルよりも広い。見た目にも広いし、48Lトランクが4つとチャイルドシートも載ってしまう。
さらにデイズ、ルークスにはライバルにはない、絶対的アドバンテージがある。それがハイテク運転支援の「プロパイロット」だ。高速で車線中央をガンガントレースするレーンキープアシスト機能だけでなく、前走車を追従するオートクルーズは自動で完全停止するからスゴい!
今回は従来カメラだけだった検知システムにミリ波レーダーが加わってるから、高速で2台前のクルマの動きまで感知! 無駄にブレーキを踏むことなく、流れるように自動追従できてしまう。
ただし欠点もあって、プロパイロット付きだとデイズが159万円超、ルークスが184万円超というけっこうなお値段に。
価格はともかく、質感、広さ、先進性でライバルに並んだ新型デイズ&ルークス。特にルークスは4月後半時点で受注1万7000台超と絶好調。王者N-BOXからの買い替えもアリかもしれん!