ダイハツが昨年11月に放ったコンパクトSUVのロッキーの販売がすこぶる好調だ。
その人気の秘密を探るべく、気鋭のジャーナリスト・藤島知子(ふじしま・ともこ)が、フルタイム4WDモデルを箱根に引っ張り出して徹底チェック!
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■箱根の峠道で、本領を発揮!
――ロッキーの販売が絶好調らしいじゃないスか?
藤島 最近は日常からレジャーまで活躍してくれるSUVがブームになっていますが、そのなかで注目されてる一台が、ダイハツが主導で開発・生産を行なった「ロッキー」。実はトヨタでは「ライズ」という名で販売されていますが、両方の台数を合計すると、新車販売ランキング上位に入ってしまう。それほど売れに売れているクルマです。
――人気の理由は?
藤島 最近、世の中のクルマが大型化して「扱いづらい」と嘆いている人たちも少なくありませんが、ロッキーはそうした5ナンバーサイズのコンパクトなクルマを切望する人たちにドンピシャの扱いやすいサイズに設計されました。
街の路地では小回りが利くし、狭い駐車場では乗り降りがしやすい上に隣のクルマにドアをぶつける心配も少ない。オマケに荷室は床下収納が広い前輪駆動の仕様も用意されているから、キャンプ道具も相当な量が積めて大活躍なんですよ。
――まさに、日本の生活環境にピッタリのクルマだと。
藤島 つけ加えると軽自動車を得意としてきたダイハツは、生活のなかでうれしい装備をさりげなく取り入れるのが上手だし、インテリアはドライブをワクワクさせる工夫も抜群。LEDと液晶を組み合わせたメーターなんて4種類のデザインからチョイスできるところも遊びゴコロを感じさせる。さらに注目は、ライバルをリードする先進安全機能を充実させたところ。
――具体的には?
藤島 安全装備ってひと言で言っても、衝突してしまったときにカラダを守る衝突安全機能のほかに、事故のリスクを未然に減らしたり、衝突被害を軽減する予防安全装備も存在する。
今、世の中では進化が著しい予防安全機能に注目されているけど、ダイハツは「安全装備は普及させてこそ、世の中の事故が減らせる」いう志(こころざし)から、手頃な価格で衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い事故などの低減に効果が見込める「スマアシ」を私たちにとって身近な軽自動車から導入してきました。
――確かに安全装備は手が届いてナンボだと思います。
藤島 ちなみにロッキーは、車載カメラで標識を認識してメーター内に表示したり、高速道路では車線内を維持しながら前を走るクルマとの車間を一定に保って追従するアダプティブクルーズコントロールも搭載。安全・安心・快適にドライブが楽しめる先進装備が充実しているのに価格はお手頃。そこも人気の秘密ではないでしょうか。
――なるほど。で、肝心の走りですが、率直にどうでした?
藤島 最近、各自動車メーカーのクルマづくりを見ると、先進装備の採用、低燃費に効果的な軽量化、走りに影響をもたらす車体の高剛性化などを狙って、クルマの基本骨格となるプラットフォームの刷新が行なわれています。
ダイハツでは、背高系の軽自動車のタントから「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバルアーキテクチャー)」と呼ばれる最新世代のプラットフォームを採用して定評を得ているんですが、ロッキーはその第2弾。実際に箱根の峠で走らせてみたら、その実力はいい意味で私の想像を裏切ってくれました。
――というと?
藤島 ロッキーは小柄で重心が高いSUVです。本来はフラツキやすいハズなんだけど、なかなか頼もしい走りをみせてくれました。高速道路では見晴らしが良くて快適に移動できるし、車線変更した後、ハンドルは修正操作が少なくて、走りに安定感がある。
――峠道を走った感想は?
藤島 箱根の峠はアップダウンやカーブが連続しているんだけど、車体が浮つくような不安もなくて、むしろタイヤがしっかりと路面をとらえて走る感じ。「足回りが最適な仕事をできるように」というDNGAの設計思想の本領を発揮しているなと。
――プラットフォームを刷新した影響は大きい?
藤島 もちろん! プラットフォームの刷新は、人のカラダでいえば体幹を鍛えまくったようなもの。タイヤの状態をドライバーに伝えるハンドルの手応えもしっかりしているし、運転席に座ると1リットルエンジンながらもっと遠くに行きたくなる。
――ロッキーのエンジンは1リットルの3気筒ターボですが、ぶっちゃけ、力不足では?
藤島 と思うでしょ? でも、新機構のCVTが優れていて、ゆったり走るときも力強さが欲しいときも、エンジンの力を無駄なく引き出す。出足は軽快だし、走りはなかなか爽快ですよ!