6月17日に販売を開始するトヨタのSUV、新型ハリアー。歴代モデルが男をギンギンにさせてきただけに、早くも話題沸騰中だ。ジャーナリストの渡辺陽一郎が濃厚解説する。
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■早くも大人気の新型ハリアー!
――そもそも歴代ハリアーはどんなクルマなんスか?
渡辺 初代ハリアーは1997年にレクサスRXの国内仕様として登場し、2003年に2代目に刷新されています。この後05年に国内でもレクサスが開業し、09年には海外版ハリアーであるRXが国内で発売されるのですが、2代目ハリアーは継続して販売されました。
――継続販売されたワケは?
渡辺 国内でのハリアー人気が高く、トヨペット店の旗艦車種に成長していたのが大きい。そして13年には、国内向けの現行ハリアーを発売。国内市場を大切にするトヨタらしい取り組み方です。
――販売台数は?
渡辺 97年からの国内累計登録台数は67万1000台。単純計算すると月平均2500台の販売なので、高価格車としては好調です。19年の月平均も3021台で、SUVの人気車である日産エクストレイルと同等でした。
――人気の理由は?
渡辺 まず、半透明グリルを備えたフロントマスク、合成皮革を使いながら本革のように見せる内装など、見栄えの良さですね。最近のトヨタ車には以前と違って造りの粗い車種もありますが、ハリアーには昔ながらの上質感がしっかりあります。
――新型はぶっちゃけどんな進化を?
渡辺 新型ハリアーの正式発売は6月17日ですが、販売店では5月15日くらいから価格も公表して予約受注を行なっています。プラットフォームなどの基本部分はRAV4と共通で、エンジンは直列4気筒2リットル自然吸気と2.5リットルハイブリッドです。従来の2リットルターボは廃止されています。ボディサイズや室内の広さは従来型とほぼ同じです。
――注目点は?
渡辺 プラットフォームがRAV4と同じタイプに刷新され、走行安定性と乗り心地が向上します。主力グレードのWLTCモード燃費は、2WDの場合、ノーマルエンジンが15km/リットル、ハイブリッドは19km/リットル。従来型のJC08モード燃費を補正すると、新型は燃費を15~20%改善しています。
安全装備も進化しており衝突被害軽減ブレーキは車両と歩行者に加えて自転車にも対応。後方の並走車両を知らせ、後退時のブレーキ制御も行ないます。内外装の質も高まり、突出した特長はないものの、より魅力が高まった印象です。
――価格はどうスか?
渡辺 最も安価な2リットルエンジンの2WD・Sは299万円に抑えています。ただしこれは輸入車に多い安さを訴求するグレードで、アダプティブハイビーム(ハイビーム状態を保ちながら、遮光を行なって対向車や先行車の眩惑(げんわく)を抑える装備。今は軽自動車も採用する)などが装着されず、正直、モニターの表示機能のレベルも下がる。オプションの選択肢も限られます。
――なるほど。
渡辺 売れ筋になるのは中級のGグレードです。2WD・Gの価格はノーマルエンジンが341万円、ハイブリッドは400万円。4WDの価格はノーマルエンジンでは2WDに比べて20万円高く、ハイブリッドは後輪がモーター駆動になって22万円上乗せされています。
――ユーザーの反応は?
渡辺 販売店によると、先代ハリアーからの乗り換えに加え、VW(フォルクスワーゲン)ゴルフなど輸入車ユーザーも多いとのこと。また、クラウンが新型になってからトランクスペースにゴルフバッグを積みにくくなり、ハリアーが注目されているという話も聞きました。
以前のハリアーはトヨペット店、クラウンはトヨタ店の扱い車種でしたが、5月1日からトヨタは全系列全車種併売を開始したので、今後はクラウンのユーザーがハリアーに乗り換えるパターンも増えるはずです。
――納期と値引きは?
渡辺 納期は長いです。5月中旬の注文でも、納車は8月上旬とか。仮に試乗が可能な6月下旬に契約すると、納車は10月頃になる可能性もあります。値引きは新型車なので少額ですが、下取り車があるなら売却額の上乗せを商談で詰めるべき。
地域によっては、販売系列の異なるディーラー間で、ハリアー同士の条件を競わせることも可能です。ローンの金利も店によって異なるので同じ条件で見積もりを取り、月々の返済額を比べて販売店を選ぶべきです。