ネオレトロなデザインで人気のヤマハのネイキッドモデルXSR700。5月28日に発売となった2020年モデルに伝説カラー「ラジカルホワイト」が登場して話題だ。伝説のマシン「RZ250」をオマージュした、白をベースに赤と黒のラインがあしらわれた往年のヤマハ色。新型XSR700を、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオが濃厚解説する。
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■往年の名車RZをオマージュ!
――ヤマハが5月28日に発売したXSR700にバイクファンがビンビンだとか?
青木 はい。80年代のバイクブームの頃、"ナナハンキラー"と呼ばれたRZ250、その伝説カラーが大復活しました。ファン垂涎(すいぜん)です!
――250ccでナナハンより速かった?
青木 小排気量でも高回転のパワーがある2ストエンジンを積み、しかも当時まだ珍しかった水冷式を採用。車体は2本サスが当たり前の時代に、レーサー直系のリア・モノショックで、ナナハンを超える最高速とゼロヨン性能を誇りました。
RZの登場がきっかけでレーサーレプリカブームが起きたといわれるほどセンセーショナルなモデルで、今も中古車市場では高値で取引されています。
――カワサキのZ900RSみたいに、ヤマハも往年の名車カラーを再現したんスね! それにしても、700ccってなじみのない排気量です。
青木 免許を排気量ではなく出力で区分する欧州では600cc~700ccがガチでよく売れるクラスで、各二輪メーカーは力を注いでいます。
――XSR700はグローバルモデルであると。
青木 日本にもジャストフィットし、大人気のセグメントに成長しました。現在、各社がしのぎを削る大激戦区です。
――大型バイク初心者や、リターンライダーにちょうどいい感じのサイズっぽい。
青木 そのとおり。特に軽量コンパクトな車体に、スロットルレスポンスに優れる688ccの並列2気筒エンジンを搭載するXSR700は、自在に操れるコントロール性が大きな魅力です。
ハンドルポジションが高く、リラックスした乗車姿勢のまま軽快にコーナーを駆け抜けられる。オーバースペックではなく"人車一体感"があって、しっかり乗りこなすがことができます。
――ちなみにXSR700はどんな歴史のバイクなんスか?
青木 2016年に欧州で先行発売され、17年秋に国内仕様が登場。先月発売となった20年式でヘッドライトにポジションランプを追加しています。
ベテランライダーもうならせる走りに加え、車体各部に用いられたアルミパーツも上質ですし、シートも3種類のレザーを使い分け、ステッチのカラーにも徹底的にこだわっている。大人向けのバイクといえるでしょう。
――ライバル車は?
青木 スズキSV650はスリムさとライトウエイトで定評のあるロングセラーです。路面を蹴り出すように力強いVツインエンジンが扱いやすく、ハンドリングもクセがないから意のままに操れる。
401cc以上クラス販売台数でも、着実にベスト10入りするいぶし銀のモデルで、操作性重視なら間違いなく一番手のオススメモデルです。
――とてもいい相棒になりそうですが、SV650は優等生すぎるイメージがあります。
青木 そういう人には"漢(おとこ)カワサキ"が誇るZ650があります。軽量なシャーシに、低中回転域で力強いトルクを生み出すパラレルツインエンジンを搭載!
獲物に飛びかかる寸前の猛獣のようなクラウチングフォームは、シリーズ共通のすごみのあるスタイルで、見るからに凶暴そうですが、乗るとロクハンらしくユーザーフレンドリーです。
――ほほぉー。
青木 そしてこのクラスで売れに売れているのがホンダCB650Rです。コンパクトでスリムという、このクラスの持ち味をそのままに、高回転まで官能的に吹け上がる直列4気筒エンジンを搭載。サウンドもライダーを刺激するよう開発陣がチューニングしており、ブン回してアグレッシブに乗ると本当に痛快です!
――XSR700含めて、どのバイクも魅力的で迷います。
青木 購入を迷う場合はぜひ販売店で試乗してください。実際に乗るって大事ですから。
――なるほど。
青木 このセグメントはエンジンもさまざまで、個性派がそろった超激戦区になっています。ビギナーからエキスパートまでライダーの技量を問いませんし、体格も求められません。大型二輪免許さえあればみんなウエルカム!
価格も100万切りとリーズナブルなので、給付金を頭金にして購入を考えているなら、このクラスはマジで見逃せないですよぉぉぉ!