昨年末に累計250万台を突破したホンダのNシリーズの勢いがマジでスゴい。もはや軽自動車界を完全制圧するレベル。しかも男が楽しめる新型もスタンバイ。自動車ジャーナリストの小沢コージが人気の秘密を熱烈解説する!
* * *
■早くも話題沸騰。ホンダの新型軽
この手があったか! そう、今秋フルモデルチェンジ予定のホンダNシリーズ第4弾となるN-ONEのことだ。
モデル末期の現在も月販1500台を誇るギンギンのオシャレ軽ハイトワゴンで、初代モデルは8年前の2012年に登場。1960年代生まれの昭和の名車ホンダN360をモチーフにしたレトロデザインが根強い人気の秘密だ。
新型の詳細はまだ明らかになっていないが写真から推察できるのはビックリするほど変わってない外観。ヘッドライトに軽初のLEDデイタイムランニングランプこそ採用しているがパッと見、丸目2灯マスクや丸形フォルムは不変。世代ごとにデザインを変える兄弟車とは戦略が明らかに異なっている。
同時にクルマ好きをくすぐるのは現行の軽FFターボモデルでは唯一となる6速MTが選べること。おそらくN-VANで新規開発したギアボックスを使ってくるはずだし、新世代プラットフォームの採用もあり走りは間違いなくいいと思う。
2011年から始まったホンダNシリーズもココにきてますますブランド戦略が固まってきたようにオザワの目には映る。
それもそのはず、今や3年連続国内販売トップを誇る新国民車N-BOXの人気はとどまることを知らない。
今年に入ってからもその猛威は衰えず月販新車販売は9ヵ月連続で首位。さらに今年上半期の販売台数も唯一10万台の大台を突破。直近8月の月販を見ても約1万5000台で、2位のトヨタヤリスを3000台近く引き離す無双ぶり。
この人気はマジでホンモノ。先日、地方で27歳の女性N-BOXユーザーに話を聞いて驚いた。
「だって顔がイケメンじゃないですか! 私の中ではN-BOXと(トヨタ)ハリアーが憧れのクルマですね」
もうひとつ地方取材で驚いたのはN-BOXユーザーのあまりの客層の広さ。年配男女、ファミリー、それから意外に若い女性ユーザーが多いのだ。
コイツはオザワの勝手な思い込みであると最初に断っておきたいが、若い女性ユーザーはたいていブラックカラーのN-BOXカスタムを好み、言い方はなんだが少々ヤンキーっぽい女性が多い。要はワイルド好みの客がカスタムを選ぶ。
一方、ノーマルは普通の男女や年配の方が乗るという図式である。
これは一時期のプリウスにも近い現象で、国民車と呼ばれるほど売れる車種はビックリするほど幅広いユーザーの心をとらえる。それは国民的アイドルグループにも近い感覚だ。ホンダNシリーズは、もはやその領域に突入したように思う。
実際、昨年2代目がデビューした軽ハイトワゴンのN-WGNは明らかに、現行N-BOX譲りの上質化方向にシフトして乗り心地やインテリアクオリティを大幅に向上させた。フロントマスクもN-BOX似の丸目LEDランプになった。
一昨年デビューのシリーズ初の商用バン、ホンダN-VANも同様だ。見た目は明らかにN-BOXの簡素版で、助手席もリアシートも人の長距離移動に耐えられる仕様ではないが、N-BOXならではの広さをさらに向上させている。
そして年内デビューが見込まれるNシリーズ第4弾となる2代目N-ONEがヤバい。コチラはN-BOXにさほど似てはいないが評判の高い初代のデザインをガチ踏襲。それでいて骨格には現行N-BOXで採用した上質な走りを実現する新世代プラットフォームを採用するのだ。
要するに一番人気のN-BOXを核とした親近感ある仲間たちで構成し、グループ全体の魅力で訴求する。
それは個性派ぞろいの国民的アイドルグループ嵐にも似ている。彼らの仕事に対する真摯(しんし)な姿勢が幅広い層からの人気に結びついていると思うが、Nシリーズの人気も同じ。シンプルな丸目デザインと使える室内、ホンダセンシングに代表されるクラストップの安全性がキモだ。
昨年末にわずか8年で累計250万台を軽く突破したNシリーズ。N-BOXを中心にブランド化され、今、さらに強化している真っ最中だ。正直言うと、2番手人気のN-WGNはもう少し売れてもおかしくない出来のクルマだと思うのだが......。
いずれにしてもホンダNシリーズは存在感を増している。それを新型N-ONEがさらに強めるはず。この勢いがどこまで続くのか注目だ!