4年ぶりに復活したCBR600RRが9月25日に発売され、早くも話題を呼んでいる。そんな注目のマシンをモーターサイクルジャーナリストの青木タカオがサーキットで最速試乗。人気の秘密と実力に迫ってきた!
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■全日本王者とサーキット試乗!
――ホンダがガチすぎるスーパースポーツを出して話題を呼んでますね?
青木(真顔で)新型CBR600RRはマジでスゴいです。
――そもそもどんなバイク?
青木 先代は2003年に初期型が登場して国内外の600ccクラスのレースで勝ちまくり。ワンメイクで競うモト2に2010年から8年間エンジンを供給するなど、性能の高さは誰もが認めるところ。そんな激アツのマシンがフルモデルチェンジしたワケですから、そりゃバイクファンはもうビンビンですよぉぉぉ!
――もう乗った?
青木(自慢げに)ええ、まぁ。しかも開発ライダーである全日本ST600チャンピオンの小山知良選手と一緒に菅生サーキットでガチ試乗! ホンダのエンジニア陣も勢ぞろいしていたので超濃厚取材ですよぉぉぉ!
――ホンダが現役のチャンピオンを開発ライダーに指名した意図は?
青木 当然、レースで勝つマシンに仕上げるためです。キモは「ストレスフリー」と「扱いやすさ」。小山選手も「安定したタイムを出せるマシンこそレースでも勝てる」と断言していました。
――開発陣はどんな話を?
青木 プロジェクトリーダーは「レースで勝つためならエンジンはV4でも2気筒でもよかった」と話していましたが、最も馬力を出せるということで「やっぱり直4しかなかった」と。
――実際乗ってみた感想は?
青木 まず感じるのが、直4の圧倒的な気持ちよさ!
――もうちょい言うと?
青木 高強度材をバルブスプリング、カムシャフト、クランクなどに用いた結果、最高出力は121PS/1万4000rpmを発揮。回転フィーリングは非常にスムーズだし、菅生サーキットの10%勾配を駆け上がるメインストレートでのエキゾーストノートは快感というか、もはや絶頂モンでした!
――ちなみにマフラーは先代から引き継ぐセンターアップですね?
青木 LED4眼マスクやセンターラムエア、ウイングレットも小ぶりになりつつもCBR1000RR-Rから受け継ぎました。センターアップマフラーは600のアイデンティティであり右出しのCBR1000RR-Rとの差別化を図る意味も。先代からコレに憧れるライダーも少なくありませんしね。
――ところで全日本王者の走りはやっぱしハンパない?
青木 最速のベストラインを目の前で見られたのは収穫でしたが......当たり前ですけど走りの次元が全然違ってて。
――具体的に言うと?
青木 走行後に小山選手に聞いたらリアブレーキのみでマシンをコントロールしていたと。つまり、フロントブレーキは未使用(笑)。さすが全日本チャンピオンですよ。
――スゲー!
青木 レーサー上がりでない青木的にはコーナー進入前の減速で失敗するのが何よりも怖かった。でも、エンジンブレーキ制御やアシストスリッパークラッチ、さらにオプションのオートシフターまで備わっているので安心でした。
――なるほど。
青木 パワーセレクター、トラクションコントロール、ウイリー制御もあるから直線でアクセルをより大きく開くこともできるし、レーストラックを走るのが楽しくて仕方なかった。さらに電子制御が介入するのでキレイにコーナーを立ち上がってくれるのもいい。
小山選手も「乗りやすいことを実感した」と語っていました。車体サイズを含めてビギナーにもとっつきやすいマシンに仕上がっています。
――ちなみにウワサのウイングレットの効果は味わえた?
青木 小山選手でも乗り比べない限りはわからないそうですが、ウイング付きはダウンフォースによってフロントタイヤの接地感が増して旋回力が高まるとのこと。自分が乗っても前輪がビタッと路面に張りついて高いグリップ力を感じました。
また、どのくらいスムーズに空気が流れるかという空気抵抗係数を表すCD値はレーシングポジション時にクラス最小をマークしています。
――先代と比較すると?
青木 先代モデルは直線で目いっぱいカラダを伏せても風が当たって頭がフラれました。首がかなり疲れたし、エンジン音が聞こえないほど風切り音も強かった。でも、新型はカラダが肩も含めてすっぽりスクリーンに入るので、「新型なら直線で休める」と小山選手も話していました。
――最後に売れ行きは?
青木 9月25日に発売され、すでに600台の受注が。しかも購入者の年齢は20、30代がメイン。(絶叫気味に)若いライダーにも刺さる最高のマシンですよぉぉぉ!