大人の男も刺激するグラマラスなボディになった2代目BRZのエクステリア。ヘッドライトの形状もかなり変わった 大人の男も刺激するグラマラスなボディになった2代目BRZのエクステリア。ヘッドライトの形状もかなり変わった

トヨタとスバルがコラボしたコンパクトFRスポーツとして根強い人気を誇るBRZが満を持して、フルモデルチェンジ。おなじみ自動車ジャーナリストの小沢コージが新型の全貌に迫る。

■新型の価格予想は300万円切り!

おお、なんだよ! 超カッケェーじゃん、2代目スバルBRZ。しかもズバリ、ポルシェ似! 11月18日に米国スバルの公式サイトでご開帳された写真と動画を見る限りだが、基本フォルムは初代同様のコンパクトFR。

ただし大人っぽいツリ目ヘッドライトや厚みとソリッド感を併せ持つバンパーやサイドシルもあり、その質感は初代よりワンランク、いやツーランクアップだ!

今回発表されたのは米国仕様だ。実はスバルは北米で年間70万台以上も売る。要はドル箱市場の顔を立てたというわけ。ちなみにオザワが耳にした情報だと、日本の発売は来年秋頃らしく期待大だ!

そもそも初代BRZは2012年3月にデビュー。コイツはトヨタとの共同開発車。つけ加えると4WD技術が自慢であるスバルが初のFR(後輪駆動)を採用し、大きな話題を呼んだ。

当初、自動車業界では「スバルの思想チェンジは困難だ」と予想する声が多かった。だが、デザインや商品企画を主にトヨタが、開発と製造をスバルが担当することで見事に役割分担ができた。

結果、燃料噴射にトヨタのD-4S技術をブチ込んだFR専用の直噴2Lフラット4エンジンを新規開発! 重心高はインプレッサ比で12㎝ダウン。200万円台スタートでありながら800万円超のポルシェに迫るピュアスポーツが出来上がった。

BRZに乗るとその楽しさは格別。今までのスポーツカーが水道水だとすると、BRZは「富士山の天然水かよ!」と叫びたくなるほど澄み切った味わいが広がる。ステアリングフィールは路面をじかに触っているようなナチュラルさだし、ノーズの重さをまったく感じさせない回頭性もハンパない。

従来のスバル4WDはもちろん、トヨタ製FRとも違う味で「こんないいとこ取りのジャパンコラボありえんのか!」と感嘆した記憶がオザワの頭に残っている。

初代BRZは2012年デビュー。今年8月に生産終了。走りもエンジンも磨き続け最終モデルは超完熟! 初代BRZは2012年デビュー。今年8月に生産終了。走りもエンジンも磨き続け最終モデルは超完熟!

しかも毎年丁寧な改良もありグローバル販売累計はBRZが9万台超、兄弟車のトヨタ86(ハチロク)が20万台超と大成功! 合計30万台超えは27年間で100万台を達成した日本が誇るマツダの大衆スポーツ・ロードスターを凌駕(りょうが)するペースである。

だが、オザワが聞いたところによると、2代目BRZと86の誕生はそれほど順風満帆ではなかったもよう。

「現場レベルでは86、BRZの2代目開発は最初から決まっていたと思う。そうでなかったらこのタイミングはない。ただ、経営サイドの認識は違っていた可能性も。実は正式に共同開発が発表されたのは昨年9月の資本強化のタイミング。そこで新しい役割分担が明確になったのかなと」(トヨタ関係者)

そもそもスポーツカーの開発はプリウスやカローラとは全然違う。まさにイバラの道だ。トヨタ86でも良くて国内で月販3000台程度。月間2万台売るプリウスとはビジネスのスケールが違う。スバルとのコラボを実現させた初代86のチーフエンジニアであるトヨタの多田哲哉氏は以前こう話していた。

「スポーツカーを長く造り続けるなら赤字は絶対に許されない。大儲けはともかく、ちゃんと売れ続けないといけません」
 
よって今回も練りに練られたバリューアップ計画のようで、少ない公開情報からも予想はつく。最大のキモは最もお金がかかるボディ骨格で2代目は全長4265×全幅1775×全高1310㎜と長さは微妙に伸びているが、ホイールベースを見る限りプラットフォームは旧型譲りだろう。

だが、骨格を2世代使うのはポルシェでも当たり前だし、その範囲内で見事にブラッシュアップ。聞けば新型レヴォーグで使われたフルインナーフレーム構造や構造用接着剤をブチ込んでいるので剛性アップがスゴそうだ。

2代目BRZはスバルのアイコンであるヘキサゴングリルを低い位置に配置。スポーツカーならではの低重心を主張する 2代目BRZはスバルのアイコンであるヘキサゴングリルを低い位置に配置。スポーツカーならではの低重心を主張する

最大の朗報はエンジン高が低すぎてターボがつけづらく、トルク不足だったフラット4を排気量アップで大幅に強化したこと。採用したエンジンはスバルの2Lユニットをベースに2.4Lに拡大。コイツでパワーもトルクも1割以上アップした。

先進安全装備もAT車だけだが、スバル自慢のアイサイトが装着されている。インフォテインメントシステムもスバルのスターリンクを採用。少々、ガキっぽかった初代のインテリアは7インチTFT液晶パネルやデジタルメーターも加わり、モダンになった。

左右に大口径のマフラーエンドを備える。スポイラーは内蔵タイプ 左右に大口径のマフラーエンドを備える。スポイラーは内蔵タイプ

フィット感とホールド性がスゴそうなスポーツシートを採用する フィット感とホールド性がスゴそうなスポーツシートを採用する
メーターはデジタル。2タイプの表示を用意しているという メーターはデジタル。2タイプの表示を用意しているという

直すべきところはしっかり直すフルモデルチェンジで、コイツなら初代からの買い換えも見込めるはず。残る最大のキモは価格設定だ。オザワ的にはBRZも86も初代同様に300万円を切ると勝手に予想したい。この価格とカッコよさなら欲しいと思う人間はけっこういると思うぞ!

今や500万円以下で買える大衆スポーツカーは日本が誇る日産フェアレディZとマツダロードスターの2台しかない。残りはお金持ち専用のクルマばかり。スポーツカーはまさに分断の一途で、この状況を激変できるのは庶民の味方であるスバル&トヨタのスポーツカーだ。頼むぜ、新型BRZ&86!

●小沢コージ
自動車ジャーナリスト。TBSラジオ『週刊自動車批評~小沢コージのCARグルメ』(毎週土曜17時50分~)。YouTube『KozziTV』。著書に共著『最高の顧客が集まるブランド戦略』(幻冬舎)など。連載媒体多数。日本&世界カー・オブ・ザ・イヤー選考委員