記念すべき世界グランプリ参戦60周年の昨シーズン、ライダーとチームのダブルタイトルを獲得した絶好調のスズキ 記念すべき世界グランプリ参戦60周年の昨シーズン、ライダーとチームのダブルタイトルを獲得した絶好調のスズキ

昨年、新型コロナを蹴散らし、世界最高峰の二輪レースでチャンピオンに輝いたスズキ。そんな注目メーカーのマシンで、買って損ナシの刺激的なバイクはどれか? モーターサイクルジャーナリストの青木タカオが独断と偏見のみで勝手に選んだ。

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■スズキらしい節約技術で世界を制した

スズキ史上10人目の世界チャンピオンは、23歳のスペイン人ライダー、ジョアン・ミルだ スズキ史上10人目の世界チャンピオンは、23歳のスペイン人ライダー、ジョアン・ミルだ

――スズキのバイクが絶好調らしいスね!

青木 はい。カタナやガンマなど個性的にも程がある名車を数多く世に送り出し、昔から熱狂的すぎるファンが多いことで知られていますが、今、新規のファンが急増しています。

実は昨年、創業100周年&世界グランプリ参戦60周年の節目に世界最高峰のロードレース「MotoGP」で20年ぶりにチャンピオンに輝いたからなんです!

――強さの秘密はなんスか?

青木 サーキットでアクセルを全開にするのは、トップライダーでも10%程度だという事実をスズキの開発陣は突き止めまして。で、ワークスレーサーGSX-RRは徹底的に乗りやすさを追求し、低中回転域を重視した開発が行なわれました。

現在、二輪のレースではコーナーでのヒザ擦り&ヒジ擦りが当たり前で、かなり車体を深く寝かせます。当然、コーナーを思いきり攻めるには繊細なアクセル操作が必要不可欠になります。これが高回転域を重視したジャジャ馬だと、ギリギリのバランスを保ちつつ、コーナー出口の加速に向けてアクセルを開くのは難しい。

――なるほど。ちなみにスズキはレースの予算が少ないというウワサもありますが、実際どうなんスか?

青木 シャシーも新作を開発することはせず、アルミフレームにカーボンを巻いて試すなど、大きく変えずに少しだけ変更してトライ&エラーを繰り返しています。

また、ホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、KTMがマシン4台で参戦するなか、スズキとアプリリアは2台だけ。冗談抜きに、あらゆる面で不利でしたが、ジョアン・ミル選手が7度も表彰台を獲得。コツコツとポイントを稼ぎ、シーズン優勝を手にしました。

【絶頂バイク 第1位】スズキ3代目ハヤブサ 価格:215万6000~222万2000円 発売:2021年4月7日 排気量は先代と同じだが、実用トルクを重視した最高出力190馬力のエンジンを、新搭載の電子制御システムでコントロールする。試乗するのが楽しみだ 【絶頂バイク 第1位】スズキ3代目ハヤブサ 価格:215万6000~222万2000円 発売:2021年4月7日 排気量は先代と同じだが、実用トルクを重視した最高出力190馬力のエンジンを、新搭載の電子制御システムでコントロールする。試乗するのが楽しみだ

――最速の世界を制したスズキで今買うべきバイクは?

青木 1位は、4月7日に日本発売が決定した3代目ハヤブサしかありません! 2年前に販売が終了してファンをヤキモキさせましたが、新型となって帰ってきました!

生物界最速の猛禽(もうきん)類の名を冠した伝説のメガスポーツは、1999年の初代がバイクファンの度肝を抜く時速300キロ超を市販車で達成。2008年には排気量を1300ccから1340ccに変更して2代目にチェンジ。その超高性能ぶりで人気大爆発! これまで国内外の累計販売は19万台以上を誇ります。

13年ぶりにフルモデルチェンジしたが、誰が見てもイッパツでハヤブサだとわかるデザインになっている 13年ぶりにフルモデルチェンジしたが、誰が見てもイッパツでハヤブサだとわかるデザインになっている

――3代目の注目はどこ?

青木 流麗かつ猛禽類じみたド迫力のスタイリングは歴代ゆずり。時速300キロを実現するエアロダイナミクスを追求したボディワークは、ヌメッとしたモンスターイメージから、シャープな直線とカーブを組み合わせたより軽快でスポーティなスタイルに刷新されました。

誰が見てもハヤブサだとわかりますが、新しさに満ちあふれたスタイルに仕上がっています。

左右に大型のタコメーターとスピードメーター。中央部はギアやモードをデジタル表示する 左右に大型のタコメーターとスピードメーター。中央部はギアやモードをデジタル表示する

先代モデルと比較すると、かなりスッキリ&スマートになったリア。マフラーもかなりスリム化された 先代モデルと比較すると、かなりスッキリ&スマートになったリア。マフラーもかなりスリム化された

――走りは?

青木 ハヤブサは大人気シリーズだけに、次はどうするか開発陣は悩みに悩み、排気量アップはもちろん、6気筒やターボチャージャーも試作し、テストを繰り返しました。

結局、トータルバランスで「これに勝てるものがなかった」ということで、排気量を含め熟成進化。スズキの鈴木俊宏社長はテストコースで試乗し、「普段使わない時速180キロの領域でも安定し、前モデルよりも確実に良くなった。スズキの最高傑作だ」と太鼓判。今から試乗が楽しみです。

■カタナの限定モデルは即完売!

【絶頂バイク 第2位】スズキ カタナ 価格:154万円 発売:2019年5月 1982年に登場し大ヒットを記録した「GSX1100S KATANA」の現代版として登場。軽量なアルミフレームの車体に刺激的なエンジンを搭載し、高い人気を誇る 【絶頂バイク 第2位】スズキ カタナ 価格:154万円 発売:2019年5月 1982年に登場し大ヒットを記録した「GSX1100S KATANA」の現代版として登場。軽量なアルミフレームの車体に刺激的なエンジンを搭載し、高い人気を誇る

――続いて2位は?

青木 カタナです! 軽量アルミフレームに、スーパースポーツGSX-R1000譲りの直列4気筒エンジンを搭載。駆動力を効率良く路面に伝えるトラクションコントロールを搭載し、走りも切れ味抜群。五感を刺激するサウンドも魅力ですし、シャープで流れるようなスタイルは、初代を想起させるもの。現代風にアレンジを加え、伝統と先進性がうまく融合しています。

1月には100台限定色の「赤」を先着順でウェブ販売して即完売しました!

【絶頂バイク 第3位】スズキ SV650 ABS 価格:78万5400円 発売:2021年1月 197kgという軽量ボディにより、ツーリングはもちろん、街中でも取り回しはラクチン。飽きのこないシンプルなデザインが多くの人を魅了 【絶頂バイク 第3位】スズキ SV650 ABS 価格:78万5400円 発売:2021年1月 197kgという軽量ボディにより、ツーリングはもちろん、街中でも取り回しはラクチン。飽きのこないシンプルなデザインが多くの人を魅了

――スゴ! で、3位は?

青木 大型ばかりになりますが、正統派ネイキッドのSV650を推します。スリムなトラスフレームを骨格とした400cc級の軽量ボディに、Vツインエンジンを搭載。大排気量でなければ4発でもなく、見た目も地味ですが、軽快なハンドリングでマシンを自在に操れ、シンプルなスタイルも飽きがきません。

【絶頂バイク 第4位】スズキ GSX-R125 価格:41万5800円 発売:2021年1月 スクーターが中心を占める125ccクラスで、前後17インチホイールを装着するド硬派なスーパースポーツ。初心者にも安心のコンパクトさだ 【絶頂バイク 第4位】スズキ GSX-R125 価格:41万5800円 発売:2021年1月 スクーターが中心を占める125ccクラスで、前後17インチホイールを装着するド硬派なスーパースポーツ。初心者にも安心のコンパクトさだ

――4位は?

青木 スズキスポーツブランドGSX-Rシリーズの末弟GSX-R125です。兄貴譲りの縦2灯LEDヘッドライトや空力特性に優れたフルカウルを身にまとい、水冷DOHC4バルブ単気筒の心臓部もメッキシリンダーやデュアルスプレー式4穴フューエルインジェクション、大容量エアボックス、大型ラジエーター、6速トランスミッションを採用。

バンク角を稼ぐカチ上げたマフラーもヤル気満々で、クラスを超えた存在感があります。「エクスターカラー」を選べば、気分はもう世界チャンピオンです!

●青木タカオ 
モーターサイクルジャーナリスト。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。現役の二輪専門誌編集長だ