【第1位】世界初となる自動運転レベル3搭載で大きな注目を集めたが、残念ながら今年で生産終了が決定してしまったホンダのフラグシップセダン「レジェンド」。写真はアイズオフ中の小沢氏

コロナに負けず、自動車業界は今年上半期も熱かった。そこで緊急座談会を開催し、上半期のニュースを総括。司会はおなじみ自動車ジャーナリストの小沢コージ氏。出席者はクルマ系YouTuberの河口まなぶ氏とウナ丼氏の人気ツートップだ。

* * *

■メキシコ産ビートルの再生回数は64万回!

小沢 (敬礼しながら)本日は、クルマ系YouTuberのツートップである河口まなぶさん、ウナ丼さんと一緒に今年上半期の自動車業界のニュースを総括し、ベスト10を決めていきたいなと。

河口ウナ丼 よろしくお願いします。

小沢 1位は今年3月にホンダがレジェンドにぶっ込んだ世界初の自動運転レベル3の技術かなと。ぶっちゃけ、YouTubeでの反応はどう?

河口 レジェンドの再生回数は約8万6000回。正直、動画を出すタイミングが微妙だったこともあり、いつもより回っていない印象です。

小沢 やっぱ、車両価格1100万円で、100台限定のリース販売だからクルマ好きにも刺さらないのかね?

河口 自分の愛車にしようと考える人は多くない気はします。ただ、世界的なニュースであることは確かです。

小沢 ホンダに続いてトヨタも、高度運転支援技術「トヨタチームメイト」を年内にアップデートして自動運転レベル3に対応させるらしいね。

河口 ニッポンの自動運転は下半期も注目だと思いますよ。

【第2位】ホンダ・シビック ホンダは6月24日に新型シビックのワールドプレミアを行なった。1.5リットル直4ターボを搭載し、6速MTも用意。ちなみに初代は1972年に誕生。価格や発売日は未発表だ

小沢 2位もホンダで、11代目シビック! なんか意外に好評らしいってマジ?

ウナ丼 意外って(笑)。そもそもシビックは累計2700万台以上を売るホンダの顔ですから。

小沢 確かに海外でシビックはドル箱だけど、日本だと市場の反応が鈍いじゃない?

河口 僕はシビックの動画を速攻でやりましたが、再生回数は数日で約23万回でした。

ウナ丼 あ、回ってますね。

河口 シビックは日本車のビッグネームだし、身近なクルマだからフルチェンの中身を知りたいのかなと。ただ、僕は自分のYouTubeチャンネルでシビックのアンケート調査をしまして。

ウナ丼 ほおほお。

河口 視聴者の皆さんに、「カッコいい」「欲しい」「買いたい」「欲しくはない」「カッコよくない」という5択の質問をしたら回答数は約1万2000!

ウナ丼 スゲー!

河口 でも、回答は微妙でした。カッコいいが33%、カッコよくないが21%でデザインに対する評価が多かったんですが......欲しいは6%で買いたいは2%でしたね。

小沢 日本にホンダファンは多いが、それが販売に結びついていない。その現状がモロに出たアンケート結果だね。

【第3位】スバル・フォレスター 6月14日に大改良モデルが初公開された。スバルファンの間でその巨大化した顔面が話題を呼んでいる。価格を含めた正式発表は8月を予定

ウナ丼 3位は6月にマイチェンしたスバル・フォレスターを推したいです。動画再生は初速からとてもいいんですが、コメントが特濃で。

小沢 どんな内容なの?

ウナ丼 そのほとんどが「顔が好みでない」と(笑)。

河口 新型フォレスターもアンケートを取りましたが、回答数は約1万5000でシビックより反応が多かった。選択肢を「好き」「嫌い」「どっちでもない」の3択にしたら、嫌いが42%で断トツでした。

小沢 フォレスターがそんな熱い議論を生むクルマとは!

【第4位】今年、ポルシェとメルセデスベンツGクラスをお買い上げした河口まなぶ氏

ウナ丼 4位はなんですか?

小沢 進撃のクルマ系YouTuberで決まりでしょ! 特にクルマ系YouTuberのトップを独走する河口まなぶさんは、上半期にポルシェ911とメルセデス・ベンツGクラスの2台をお買い上げ。(しみじみと)儲かってんなぁ~。視聴者の反応はどうなの?

河口 911の納車はライブで行ない、再生回数は約41万4000回でしたね。

小沢 41万回突破! 一方、Gクラスの購入動画はどう?

河口 Gクラスの納車は録画でやりましたが、再生回数は約26万回です。正直、ヘタな新車より回りました。

ウナ丼氏もメキシコ産のVWビートルを購入し、注目を集めている

小沢 片やウナ丼さんはどうです? 今年、お買い上げした中古のメキシコ製VW(フォルクスワーゲン)ビートルの購入動画が大好評だと耳にしていますが実際のとこは?

ウナ丼 (淡々と)再生回数は約64万回ですね。

小沢 マジか! スゲー!

ウナ丼 おかげさまで、メキシコ製VWビートルの動画は本当に好評で、自分的にも満足しています。走行シーンを流すだけで、「いいね」をいただけますし。それに空冷エンジンの音が強烈なので、動画にBGMを入れる必要がないのもうれしい。

小沢 メキシコ産ビートルの中古相場に変化が出たってウワサもありますが?

ウナ丼 自分で言うのもアレなんですけど、視聴者さんからよく言われるんですが、僕が動画で紹介してからどうも値段がどんどん上がっているみたいですね。

小沢 ぶっちゃけ、ウナ丼さんが購入する前までメキシコ製ビートルって評価が低かった。やっぱしドイツ製と比べるとコピー商品っぽいから。

ウナ丼 そのイメージを僕が払拭(ふっしょく)できてよかったと思っています。実際、モノとしては本当にイイので。

【第5位】4月5日、トヨタとスバルはコラボ開発のスポーツカー「86」と「BRZ」の新型を世界初公開。実に9年ぶりのフルモデルチェンジだ。BRZは今夏、86は今秋発売予定

小沢 5位は2代目が登場した本格FRスポーツのトヨタ86とスバルBRZでどう?

河口 異議ナシ! ちなみに86とBRZのサーキット試乗の再生回数は約56万回と大人気です。まぁ、この試乗動画は僕のチャンネルの独占なので、当然の結果かなと。

小沢 2代目となる86とBRZの骨格は先代から変わっていないが、デザイン、走り、クオリティは激変。86とBRZは日産フェアレディZ、マツダ・ロードスターに続く日本が世界に誇るスポーツカーだと思う。販売台数はスゴくないけどね。

河口 いやいや、このご時世に2代目を誕生させたことは本当にスゴいですよ。

■動画やSNSでバズる要素があるSクラス

【第6位】4月に発売開始されたコンパクトSUVの大本命「ヴェゼル」が爆売れ中。初代の人気に迫れるか!? 2代目の価格は227万9200~329万8900円

小沢 そして6位はホンダの新型ヴェゼル。4月に発売したコンパクトSUVの2代目だが発売1ヵ月で受注は3万2000台を突破! この数字は月間目標台数の6倍よ。

ちなみに初代ヴェゼルは2014年から3年連続、オマケに19年も国内SUV販売でトップに立っている。世界累計は384万台以上! まさにホンダの世界戦略車だ。

河口 ヴェゼルの世界初披露会見の取材動画は約59万回再生されています。注目度の高いクルマだと思いますね。

【第7位】1974年のデビューから累計3500万台以上を売るのがVWのゴルフ。8代目へと進化した新型は、6月15日に日本で販売開始となった。価格291万6000~375万5000円

小沢 7位は世界の"ベンチマーク"こと、8代目VWゴルフかなと。日本で一番売れる輸入車として有名で、27年連続で輸入車販売トップという記録も持っている。

河口 新型ゴルフは意外に再生回数は伸びませんでしたね。クルマの出来はもちろんいいんですが、すでに海外試乗の動画も多く、購入したオーナーさんの動画も出回っているのが影響したのかなと。

小沢 コロナの影響で、本国の発売から1年半も遅れて日本登場だからねぇ。ただ、今後ハイパワーなゴルフGTIとか出てくるから注目だ! 続く8位は何だろう?

【第8位】日産・新型EVアリア 昨年7月に世界初公開された日産の新型EV「アリア」。今年6月、ついに受注を開始。価格は660万~790万200円

河口 日産の電気自動車(EV)「アリア」の注目度は高くて、昨年の世界初公開時の取材動画が約68万回、6月の予約開始動画が約25万回と相当回っています。しかも、予約開始から10日で4000台を受注していますからね。

小沢 気になるのはスタート価格660万円というお値段だよね。今後、どう評価されるか注目したいところ。

河口 ちなみにアリアの正式な発売は今冬。本当の勝負はそこからかなと。

【第9位】日産・オーラ 6月15日の発表会見で日産の星野朝子副社長と並ぶ3ナンバーのプチ高級車「ノート オーラ」。価格261万300~295万7900円

小沢 9位は同じ日産のノート オーラ。人気のハイブリッドコンパクトの豪華ワイドボディ版だが、そんな大胆な名前つけて大丈夫なのかという理由でランクイン!

河口ウナ丼 最速試乗しましたが、いいクルマですよ!

【第10位】新型メルセデス・ベンツSクラス メルセデス・ベンツのフラグシップがこのSクラス。初代のデビューは1972年。世界の高級車の先頭を突っ走てきたモデルだ。世界累計は400万台以上。価格1293万~2040万円

室内がとにかく鮮やかに光りまくる「アンビエントライト」は動画やSNS映えすると評判。照明色は64色から選べる

小沢 そして10位は高級車の"メートル原器"、メルセデス・ベンツのSクラス! 8年ぶりに7代目モデルが登場。ウナ丼さんの推しはどこ?

ウナ丼 Sクラスは高級車としての完成度や最新鋭のデジタル化に目がいくんですが、室内の光り物が本当にスゴい。

しかも、車線変更時に死角の並走車を感知すると死角側のドアパネルの一部が赤く光り警告するなど、YouTubeやSNSでバズる要素が多い。欧州の自動車メーカーはそれを意図的にやっている気がしますね。この点に関して日本の自動車メーカーは後塵(こうじん)を拝しているなと。

トヨタは4月19日、「上海モーターショー」で、新EVシリーズ第1弾となる「bZ4X」を世界初公開。スバルとのコラボ車である

小沢 要するにSクラスは、"走るエレクトリカルパレード"であると! ちなみに次点に入れたいのが、トヨタが本気でぶっ込んできたピュアEVのbZ4X。マジで試乗が待ち遠しい一台だ!

河口 すでにいろいろと僕の耳に情報が入っていますが、下半期の自動車業界も盛り上がりそうですよ。

小沢 自動運転もEVも活発化しそうだし、魅力的な新型も続々登場予定! 下半期も週プレのクルマ記事をお見逃しなく!

●小沢コージ 
自動車ジャーナリスト。大学卒業後、本田技研工業に就職。半年で退社。二玄社『NAVI』編集部を経て独立。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのCARグルメ』(毎週木曜17時50分~)。連載多数。日本&世界カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeチャンネル『KozziTV』を運営。

●河口まなぶ 
YouTuber&動画自動車ジャーナリスト。YouTubeで日本最大の自動車動画専門チャンネル『LOVECARS!TV!』を運営。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。愛車はポルシェ911、メルセデス・ベンツGクラス、スバルBRZ。

●ウナ丼 
自動車YouTuber。クルマ&バイク誌の編集長を経て独立し、コアな自動車書籍&DVDの出版社「エンスーCARガイド」を立ち上げる。2011年、そのDVD告知のためYouTubeチャンネル開設。2017年からYouTube単独で車両紹介を開始。愛車は中古で購入したフォルクスワーゲンの空冷ビートル(メキシコ産)。

★『インプレ!』は毎週水曜日更新!★