7月29日に発表された2代目BRZが予約受注を開始した。そこで、自動車専門誌の元編集長で、カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)氏に価格や装備などを徹底解説してもらった!!
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■BRZは、MTが7割以上!
――ついにスバルから待望のスポーツカー「BRZ」が発表されました。実に9年ぶりのフルモデルチェンジです。
渡辺 国産のスポーツカーがどんどん減っているので、BRZと姉妹車であるトヨタのGR86は非常に貴重な存在だと思いますね。ちなみにGR86は後輪の横滑りを楽しませる傾向が強く、運転感覚がやや子供っぽい。
一方、BRZはバランスのいいクルマです。危険回避の性能も優れ、スバルの安全に対する考え方を貫いているなと。
――具体的に新型は何がどう進化したんスか?
渡辺 排気量が従来の2リットルから2.4リットルになり、動力性能に余裕ができました。その関係で、2000~4000回転の実用域はとても運転がしやすい。ボディや足回りの見直しで、走行安定性と乗り心地も大きく向上しています。
――安全装備も進化?
渡辺 衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能のアイサイトコアテクノロジーが新たに採用されました。ただしAT仕様に限定されます。
スバルは以前から「MTは少数派なので、アイサイトを設定していない」と説明するんですが、BRZはスポーツカーだからMT率が70%以上を占めている。スバルの安全思想を考えても、アイサイトはMT車にこそ必要だとは感じますね。
――販売店の反応は?
渡辺 BRZは確実に売れる商品なので販売店もかなり期待していました。ちなみにスバルが誇る4WDスポーツセダン「WRX」から、BRZに乗り替えるユーザーもいるそうです。
――価格は先代と比べてどうです?
渡辺 新型の6速MTの価格は、Rが308万円、上級のSは326万7000円です。Rは約35万円、Sは約24万円先代モデルから値上げされています。
――新型のお買い得度は?
渡辺 Sグレードを新旧で比較すると、新型はエンジンが2.4リットルに拡大され、ボディもインナーフレーム構造の採用で剛性を高めました。6速MTにはアイサイトが非装着ですが、後方の並走車両を知らせるリアビークルディテクションなどが追加されました。新型は先代型に比べて割安ではありませんが、納得できる範囲の値上げかなと。
――ATとMTの価格差に関しては?
渡辺 ATはMTより16万5000円高くなります。ただし、ATにはアイサイトに加えてハイビームアシストなども標準装備されるので、価格差は装備の違いで埋まります。つまり、MTとATは装備の違いを考慮したら、まぁ実質的には同額ですよ。
――グレードはRとSの2種類ありますが、推しは?
渡辺 Rのアルミホイールとタイヤは17インチですが、上級モデルとなるSは18インチに拡大されます。スピーカーもRは6個、Sは8個です。Sはシート表皮も上質なウルトラスエード+本革になり、前席シートヒーターも加わります。
そしてSの価格はRに比べると18万7000円高い。装備の違いを計算すると、価格差は約16万円が妥当で、上級のSモデルはやや割高な印象があります。しかし、BRZを買うなら、やはり18インチのアルミホイールとタイヤが欲しい。
――数年後に売却する際のリセールは?
渡辺 売却時もSが有利なのでズバリ、推奨グレードはSのMT車です。ちなみに残価設定ローンの3年後の残価は新車価格の48%です。スポーツカーは過酷に使われることも想定され、50%に達しませんが、40~45%の車種も多いので、売却額は悪くないと思います。
――納期の情報もある?
渡辺 販売店によると、7月29日に開始した先行予約受注の納車が10月頃から始まるそうです。試乗ができるのは10月から11月とのことです。つまり、試乗してから契約を考えている場合、納車は年末から来年になるかなと。
●渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)
カーライフジャーナリスト。1989年に自動車購入ガイド誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長に。1997年に同社取締役を兼任。その後、フリーランスに。著書に『運転事故の定石』(講談社)など。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。