新車販売の総合ランキングで5ヵ月ぶりにトップに立ったホンダ・N‐BOX。今月、一部改良を予定している

11月の新車販売の総合ランキングでホンダの軽自動車「N‐BOX」がトップに輝いた。10月の5位から見事に巻き返したが、2位に躍進したトヨタのカローラシリーズがピタリとマークしている。激アツの新車販売バトルのゆくえをカーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏に聞いた。

■"絶対王者"と"元祖絶対王者"がデッドヒート

――12月6日、日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した11月の新車販売の総合ランキングで、ホンダの軽自動車「N-BOX」が5ヵ月ぶりにトップに返り咲きました。

渡辺 N-BOXは10月の総合ランキングで5位、軽自動車部門では22ヵ月連続で守っていたトップの座をスズキのワゴンRに明け渡し、3位に後退していました。

――ちなみにN-BOXの10月の新車販売台数は?

渡辺 7442台でしたが、11月は1万5482台まで数字を伸ばしています。

――見事な巻き返しですが、数字の波が大きい印象があります。背景には何が?

渡辺 半導体や東南アジアからの部品不足による減産の影響で10月の販売台数は滞りました。決してN-BOXの人気が乱高下しているわけではありません。

――なるほど。そして11月の新車販売でもうひとつ話題を呼んだのが、総合ランキング2位に躍り出たトヨタのカローラシリーズです。

渡辺 カローラシリーズは、10月の6位から2位へ大きく順位を上げました。

――販売好調の理由は?

今年9月にデビューしたトヨタのコンパクトSUV・カローラクロス。販売数はカローラシリーズの半分以上を占めた

渡辺 9月に発売したコンパクトSUV「カローラクロス」の人気が爆発しています。カローラシリーズは11月に約1万3000台を販売しましたが、その半数以上を占めているのがカローラクロスで、実に7300台を売りました。

――スゲー!

渡辺 カローラクロスの好調に支えられ、カローラシリーズは10月より6300台以上販売を増やしています。ちなみにカローラクロスはハイブリッドに人気が集中しており、11月に売った7300台中、6460台がハイブリッドモデルです。

――カローラクロスは今後も売れそうですか?

渡辺 販売店を取材した感触だと、カローラクロスの人気はしばらく続きそうですね。まぁ、もともとカローラは2001年まで33年連続で国内新車販売トップに君臨した〝元祖絶対王者〟です。しかも先月、カローラは世界累計販売台数が5000万台を突破し、記念モデルを発売したばかり。その人気と底力は侮れません。

――話を新車販売の総合ランキング首位に立ったN-BOXに戻します。ズバリ、N-BOXに欠点はない?

渡辺 N-BOXは前輪駆動ベースの軽乗用車では最も車内が広いクルマです。内装の質感や乗り心地も高水準です。

ただし欠点もあります。まず走行安定性がそれほどよくない。具体的には背高のスーパーハイトワゴンの宿命ですが、カーブではボディが大きめに傾いてしまう。またボディが重いため、ノーマルエンジンは加速性能が芳しくない。それから後席は座面の柔軟性が乏しく、座り心地にも不満が残りますね。

――ふむふむ。

渡辺 ただし、その欠点を上回る魅力があるし、何よりホンダはN-BOXを磨き続けている。今月16日には一部改良モデルを発売予定です。ファン待望の電動パーキングブレーキとオートブレーキホールドなどが設定されます。この改良でN-BOXの人気はさらに加速するはず。

――つまり、今後の国内の新車販売バトルは絶対王者N-BOXと元祖絶対王者カローラシリーズが中心になりそうだと?

渡辺 そのとおりです。

●渡辺陽一郎 Yoichiro WATANABE
カーライフジャーナリスト。1989年に自動車購入ガイド誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長に。1997年に同社取締役を兼任。その後、フリーランスに。著書に『運転事故の定石』(講談社)など。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員