小沢コージが達人たちから教わったエコ運転術を伝授!

レギュラーガソリン価格の高騰が日本を直撃中だ。ついに全国平均で1L165円台、ハイオクは180円台を突破した地域も(号泣)。

しかし、この"省燃費術"さえ読めばもう大丈夫......かもしれない!? 自動車ジャーナリストの小沢コージが解説する。

■オザワの省燃費術は"ふわっとアクセル"

や、やられたぜ! 忘れた頃にやって来る恐怖のガソリン高騰のことよ! レギュラーガソリン価格が地域によっては1L165円台、ハイオクは180円台を突破! コロナ後の世界的景気回復から来る需要拡大や石油原産国の生産調整、円安などが影響しているようだが、そんな理屈なんぞはどうでもいい!

昨年、コロナによる需要低下時、レギュラーガソリンは約126円だった。今と1~40円も違うワケで、仮に50L入れたらその差は実に2000円! 昼メシどころか夜の立ち飲み代レベルの出費になってしまう。

ただでさえコロナで不景気なのにこのガソリン高騰はキツい! だが、われわれ庶民がガソリン高騰を乗り越える方法はひとつだけ。ガソリンを使わないこと。それしかないのだ。

そこで! オザワが達人たちから門外不出のエコ運転術をかき集めてきたワケだが、その前に伝えたいことがある。燃費は正しい運転の積み重ねだ。そこがしっかりしていないといくら達人たちのテクを学んでも全然意味がない。

例えば運転姿勢が崩れていると、走行中の判断や環境変化の把握が遅れる。ムダなストップ・アンド・ゴーを繰り返すし、急な車線変更などで燃費をどんどん悪化させてしまう。つまり、エコ運転の入り口は正しいドライビングポジションを心がけることだ。

正しいドラポジのキモはシートに深く座ること。そして腰と背中をシートにつける。両手でハンドル上部を握りヒジに余裕ができる角度に調整すべし

その次のキモがアクセルワークだ。ポイントは"ふわっとアクセル"にある。アクセルをベタ踏みして走れば、当然だが信号や渋滞で急ブレーキをかけ、ムダにガソリンを使う。アクセルのベタ踏みは絶対にダメ!

アクセルはふわっと優しくゆっくり踏み込むのがエコ運転の基本。最初の5秒で時速20キロを目安にする。アクセルを強く踏み込むと燃費は確実に悪化

それから荷物の積みっぱなしも厳禁だ。普段使わない重いゴルフバッグやキャンプ道具などはクルマから必ず降ろす。つけ加えると運転手のメタボもマズい! 仮に車重1.5t、ガソリン1Lで10㎞走るクルマなら100㎏の重さが加わると1㎞ほど燃費が悪くなる。家族全員メタボなら即ダイエットすべし!

運転前は、トランクの中にある重い荷物を降ろすべし。不要のゴルフバッグ、キャンプ道具などは必ず降ろし、とにかく車重を軽くする。エコ運転の基本

タイヤも重要だ。転がり抵抗が小さくなるようにタイヤの空気圧は高めに設定すること。タイヤのバランスやアライメント調整などの整備も定期的に行なう。こういうエコ運転の基本中の基本を身につけた上で、これから紹介するプロの秘伝を試してほしい!

空気圧が低いとタイヤと路面の接地面が拡大し、転がり抵抗が増して燃費が悪くなる。ガソリン給油時に空気圧をチェックしよう

■高速道路を走るなら、偏西風を利用せよ!

プロが教える究極のちまちまエコ運転術のトップバッターは、自動車専門誌『CAR and DRIVER』の竹内龍男編集長!

「ひとつは、高速道路を使わず、流れのいい一般道を選んで走る。実は国産車で一番燃費がいいのは時速60キロでの定速走行です。加速も減速もせず、淡々と走ることが燃費を伸ばすコツ。そしてふたつ目はタイヤを交換する。今のエコタイヤの性能はかなりスゴいので、1L当たり1㎞は軽く改善しますよ」

確かに最近のエコタイヤの性能はハンパないが、交換の出費が痛いんだよなぁ。

激安ガソリンを狙うのはどうです?」(自動車研究家・山本シンヤ氏)

そんなのあんの?

「コストコを筆頭に会員になると1L当たり10円ほど安くなる安売りチェーンのガソリンスタンドが全国にある。また、エネオス系のスタンドならTポイントが使えるので、買い物でためたポイントをガソリン代に使用できる」

ナイス、ちまちま! お次はBMWドライビング・エクスペリエンスでチーフインストラクターを務める日本自動車ジャーナリスト協会会長の菰田潔(こもだ・きよし)氏の秘伝、ご開帳おなしゃす!

「細かい話ですが、クルマに乗ってもすぐエンジンをかけない! 仮に2Lエンジンなら1分間で15~20㏄のガソリンを消耗します。つまり、クルマに乗ったら、まずドラポジを確認し、ミラーの位置を確かめ、シートベルトをしてからエンジンをかける。エンジンを止める際も同じ。シートベルトを外す前にエンジンを切ってしまう」

つい忘れてしまいそうな秘技ですが、習慣にします! 

「高速道路で使える秘技もありますよ」

おっ、その声はホンダ社員のAさんじゃありませんか! 高速の秘技って具体的には?

「レースでよく使われる省燃費テクですが、高速道路でデカいトラックの真後ろにつく。すると空気抵抗が少なくなり燃費は向上します」

いわゆるひとつのスリップストリーム! 確かに効果はありそうだが、このご時勢、あおり運転と間違われそうなのでオザワは推奨できん!

「なら、風はどうだい?」

そう話すのはレーサーにして、自動運転の政府専門家委員も務める清水和夫氏。えっと、風ってなんスか?

偏西風だよ、偏西風。年中西から東に吹く風で、特に冬場に強くなるアレ。某愛知県の自動車メーカーも非公式に言っているんだが、東名高速道路は東京から名古屋へ下るより、名古屋から東京へ上るほうが燃費がいい。つまり、偏西風で燃費は伸ばせる」

ヨットかよ! つう感じのスゴい話ですが、風が吹くタイミングを見極めるのが大変そうス(汗)。

ちなみにオザワの秘伝は高速道路を使うなら深夜を狙えである。深夜割引も利用でき、渋滞とも無縁。燃費は通常より2~3㎞は伸びるぞ! 

ただ、ガソリン価格の高騰はしばらく続きそうな情勢で、「いっそクルマを買い替えようかなぁ」と思う人もいるはず。実はイマドキのクルマの燃費はレベチ! てなわけで、オザワ推しの3台を紹介!

1位はズバリ、トヨタ・アクアだ。最新のトヨタ1.5Lハイブリッドは恐ろしい低燃費性能を誇る。実燃費30㎞突破は当たり前! 室内も広く、乗り心地もチョー快適。

トヨタ「アクア」WLTCモード:30.0~35.8㎞/L、価格:198万~259万8000円、発売:2021年7月、値引き:10万円。リセールバリュー:C+。ハイブリッド専用車の2代目。2013年~2015年の登録車の年間販売台数トップに輝いた。今年10月の新車販売総合ランキング4位と絶好調!

そして2位は日本が誇る電気自動車の日産リーフ。実は深夜電力を使えば電気代はガソリン代より全然安い! 3位は累計88万台突破のダイハツのミライース。実燃費20㎞超。コスパは国産最強だ!

日産「リーフ」WLTCモード:322~458㎞(一充電走行距離)、価格:332万~499万8400円、発売:2017年10月、値引き:25万円、リセールバリュー:C。日本が世界に誇る電気自動車。今年5月に一部仕様を変更するとともに新グレード「アーバンクロム」を追加設定、上質なスタイルに仕上げている

ダイハツ「ミライース」WLTCモード:23.2~25.0㎞/L、価格:86万200~137万2800円、発売:2017年5月、値引き:5万円、リセールバリュー:C。低燃費、低価格などを徹底追求した「第3のエコカー」。軽自動車の新ジャンルを確立。今年10月にはデビュー10周年を記念した特別仕様車を発売

●小沢コージ
自動車ジャーナリスト。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのCARグルメ』(毎週木曜17時50分~)。YouTubeチャンネル『KozziTV』