2022年のクルマ業界は男心を刺激する新車が続々とデビューする。自動車専門誌『月刊くるま選び』の元編集長で、カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)氏が注目の7台を選び、徹底解説する!!
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■エクストレイルの骨格は三菱と同じ
渡辺 今年は注目の新車がめじろ押しです! ということで、吟味に吟味を重ね、私の激推しを7台選びました。
――では、1位から発表!
渡辺 1位はSUVの日産エクストレイルです。新型の発売は今年の4~6月頃かと。
――エクストレイルってどんなクルマでしたっけ?
渡辺 初代は2000年にデビューし、累計販売台数はグローバルで626万台以上を誇ります。今年デビューの新型は4代目になります。
――ちなみに、プラットフォームが業務提携している三菱と共通ってマジですか?
渡辺 新型アウトランダーPHEVと骨格が同じです。ただし、走りのメカニズムは全然違います。アウトランダーPHEVは三菱独自のプラグインハイブリッドを搭載しますが、エクストレイルは日産自慢のe-POWERを搭載します。
――走りはどうスか?
渡辺 以前、エクストレイルの北米仕様「ローグ」に試乗しましたが、SUVながらコーナーでよく曲がる。アウトランダーPHEV同様に運転を楽しめるクルマだと思います。
――2位はスズキです。
渡辺 コンパクトカーの次期スイフトは注目ですね。現行モデルは4代目で、2016年に登場しました。世界累計は500万台を軽く突破している、まさにスズキの世界戦略車ですね。今年の中盤から後半にかけて5代目がデビューする予定です。
――新型のポイントは?
渡辺 スイフトの車内は広いとはいえず、全体的に機能はフツーですが、ボディが軽く運転感覚は実に軽快です。実用燃費も優れて基本性能が高い。新型も現行型の路線を踏襲しながら、マイルドハイブリッドを進化させ、燃費効率も向上させます。プラットフォームも熟成され、走行安定性と乗り心地をかなり向上。
――続いて3位は?
渡辺 ミドルサイズセダン&ワゴンの次期マツダ6(元アテンザ)です。今年の中盤から後半にかけて登場しそうな気配です。
――新型マツダ6の注目ポイントはどこ?
渡辺 現在の前輪駆動から後輪駆動に変わるというウワサがあり、異例のフルモデルチェンジになりそうです。マツダの目指す"人馬一体"の運転感覚は新型マツダ6で初めて完成の域に達するのではないかと予想します。
――4位は再びスズキです。
渡辺 昨年12月に発売された軽自動車の新型アルトです。初代アルトは1979年に誕生し、今回のモデルで9代目となります。アルトは国内の累計販売台数が526万台を突破しており、日本では名実共にスズキの顔です。
――新型のどこがスゴい?
渡辺 ズバリ、新型アルトは路線を変えました。先代型に比べてボディパネルに張りを持たせ、インパネなど内装の質が大きく向上しています。
――ほおほお。
渡辺 最上級グレードにはマイルドハイブリッドと併せて、後退時にも作動する衝突被害軽減ブレーキ、ヘッドアップディスプレイなども装着されます。
――5位はスポーツカー!
渡辺 日産のフェアレディZで、今年の半ば頃に詳細が発表されそうです。フェアレディZは1969年の発売以来、グローバルで累計180万台以上を販売する日産自慢のスポーツカーで、今年デビューする新型は7代目です。
――ボディスタイルなどはすでに披露されているとおり?
渡辺 ええ。エンジンは現行スカイライン400Rと同じV型6気筒の3リットルツインターボを搭載すると思います。
――日産の伝家の宝刀であるe‐POWERの搭載は?
渡辺 e-POWERの搭載はありませんが、逆にいえばフェアレディZの純ガソリンエンジン車はコイツが最後の世代かと。そういう意味ではファンは乗って損ナシです。
――6位はトヨタのミニバンがランクインです。
渡辺 新型ノア&ヴォクシーを推します。1月13日に発売開始となり、個性的な顔で話題を呼んでいます。トヨタはエスクァイアを廃止しますが、ノア&ヴォクシーの姉妹は残します。
――ノアとヴォクシーは売れているから?
渡辺 はい。現行モデルが発売された2014年当初、ノアとヴォクシーを合計すると1ヵ月平均で合計1万5000台を売っていたんですよね。この数字は当時販売絶好調だったプリウスに迫る勢いでした。現在もファンは多いです。
――7位にホンダが登場!
渡辺 2011年12月に初代がデビューし、昨年5月に累計販売台数が200万台を突破。販売絶好調の軽自動車N-BOXです。昨年12月に改良を実施し、ファン待望の電動パーキングブレーキなどをついに採用しました。
――今年も絶対王者N-BOXの勢いは衰えない?
渡辺 そのとおりです。
●渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)
自動車月刊誌の編集長を約10年務め、2001年にフリーランスのカーライフジャーナリストに。執筆媒体多数。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員