2020年に発売されたカワサキの「ニンジャZX-25R」が、100万円に迫る販売価格ながら売れに売れている。その背景には何が? 2022年モデルを公道試乗した、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が特濃解説する。

カワサキ「ニンジャZX‐25R」の価格は84万7000円。今回試乗した最上級モデルの価格は93万5000円。公道テストした青木氏いわく「サーキットも街乗りも楽しめますよ」

■発売と同時に爆売れのワケ

青木 ニンジャZX‐25Rの2022年モデルに試乗してきました。しかも、クラッチを切らなくてもシフト操作が可能なKQS(カワサキクイックシフター)などを標準で装備した上級グレードの「ニンジャZX‐25R SE KRTエディション」です。

ーーニンジャZX‐25Rは発売から品薄が続いているチョー人気マシンですよね?

青木 そのとおり。2019年の東京モーターショーでプロトタイプが公開されるや大騒ぎに。そして2020年9月に発売されると、わずか約3ヵ月で年間販売目標を超える5400台を受注、現在も爆売れが続き、〝漢〟カワサキの軽二輪のシェアは一気に倍増となりました。

ーー人気の理由は?

青木 13年ぶりに250㏄に4気筒エンジンを搭載したことが大きいですね。しかも、大型のバイクに搭載されるような機能を出し惜しみなくブチ込んだことで、幅広い層に訴求できました。

ーー250㏄の4気筒エンジンって貴重なんですか? 

青木 日本の二輪市場が激アツだった1980年~1990年代には国内メーカーはどこも250㏄の4気筒エンジンを搭載したマシンを売っていましたが、今ではカワサキのニンジャZX‐25Rのみです。現在、250㏄のメインになっているのは2気筒エンジンですね。

ーーなぜ国内メーカーは、250㏄の4気筒エンジンを造らなくなったんスか?

青木 4気筒エンジンというのは、単気筒や2気筒に比較すると部品点数が非常に多くなる。当然、車重も増えますし、製造時のコストも高くなる。そもそも250㏄クラスはバイク初心者の入り口なんです。値段が高いとライバルとの競争に勝てません。

ーーでも、カワサキはあえてクラス唯一となる直列4気筒エンジンを搭載する本格スーパースポーツを令和に復活させたと。それはなぜです?

青木 国内二輪車市場ではホンダが圧倒的に強い。自動車業界で例えるとトヨタみたいな存在です。一方、カワサキはヤマハ、スズキに次ぐシェア4位でした。

ーー要するに、他メーカーがやらない250㏄の4気筒エンジンを搭載し、反転攻勢に打って出たと?

青木 その結果、80万円台と決してお安くない価格ながら年間販売を約3ヵ月で売ってしまった。二輪市場というのは、3000台売れれば大ヒットです。ところが、ニンジャZX‐25Rは年間販売目標5400台を軽く上回る受注をマークしたワケです。

ーーそんな大人気マシンの最新モデルに今回試乗したと。ちなみにお値段は?

青木 93万5000円です。このクラスでは異次元的な高値ですが、それだけの魅力があります。

ーーそれはどこらへん?

青木 回転の上昇とともにジワジワと力があふれ出て、レッドゾーンのはじまる1万7000回転まで雄叫びを上げるようにして勢いよく回り、高周波サウンドとともに胸のすく加速が味わえるのは、250㏄の4気筒エンジンならでは。

ーーズバリ、どんな人が買うべきバイク?

青木 ベテランやリターンライダーは懐かしく、感涙すること間違いありませんし、若いライダーは未知なるフィーリングで昇天確実。ヤミツキになってしまうかも! そんな中毒性があるから高値にも関わらずバカ売れだったワケです。

ーー初心者が乗っても大丈夫?

青木 大排気量車のようにドカーンと加速せず、アクセルをガバッと開けても少しずつ力が出てくるのでビギナーも臆せず操れます。公道でビッグバイクを全開走行すると即座に速度超過となり現実的ではありませんが、250㏄なら常識的なスピードの範囲内でポテンシャルを引き出せるので街乗りやツーリングでの操っている感や、満足感は非常に高いと思いますね。

ーー車体の重さは?

青木 マシンの押し引きでも250㏄クラスは全然苦になりません。車体重量は184㎏と軽く、取り回しも楽です。

ーー腕を磨くのに最適?

青木 ニンジャZX‐25R購入を機にバイクの魅力にとことんハマってもらおうと、メーカー主催のサーキット体験会やワンメイクレースが昨年から開催されています。幅広い世代が安全設備の整ったサーキットで、皆さん〝習いごと〟感覚で腕を磨いています。実はカワサキモータースジャパンの桐野英子社長も「今年は出場するぞ!」と意気込んでいるので、全5戦どこかで一緒に走れるチャンスがあるかもしれません。

ーーズバリ、ニンジャZX‐25Rは買って損ナシ?

青木 エキサイティングに楽しめるマシンですよぉぉぉ!

★取材して解説してれた人 
青木タカオ takao AOKI
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』を運営