2月1日から発売開始となったZ900RS 50thアニバーサリー。価格は149万6000円
カワサキが誇る伝説のモデル「Zシリーズ」の50周年を記念した「Z900RS 50thアニバーサリー」と「Z650RS 50thアニバーサリー」が爆売れしているという。人気の秘密をモーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏に聞いた。

■大人気のワケは歴史?

青木 大変です! 1月6日、カワサキから伝説の名車「Zシリーズ」の誕生50周年を記念した特別仕様車が発表されたんですが、売れに売れています!

――具体的にはどんな特別仕様車なんスか?

青木 1972年に登場した「カワサキ900スーパー4」、通称〝Z1〟をモチーフにしたカラーリングが「Z650RS」と「Z900RS」に施されました。Z1の象徴とも言える伝説の「ファイヤーボール(火の玉)カラー」を採用しています。キャンディーカラーをカワサキ独自の技法で重ね塗りすることで、実に艶やかで深みのある質感を実現しています。激ヤバにも程があります。

――もう発売してんスか?

青木 Z900RSの特別仕様は2月1日、Z650RSの特別仕様は4月28日(木)に発売予定です。

――ファンの反応は?

青木 50周年の祝砲に泣いて喜んでいます。冗談抜きに予約殺到ですよぉぉぉ!

――なにゆえに、そんなに人気なんスか?

青木 単純にカッコイイのと、歴史が挙げられます。ホンダがドリームCB750FOURで海外進出に成功したのが1969年。負けじとカワサキは1972年、OHCのナナハンを凌ぐDOHC900㏄のZ1を発売し、これが世界市場を席巻! 国内には翌73年に「Z750RS」、通称〝Z2〟を発売し、CBと共に70年代のナナハンブームを牽引しました。

――ふむふむ。

青木 Z1、Z2の初代は火の玉カラーで中古車市場では現在もかなりの高値がついています。ちなみに両車とも日本自動車殿堂歴史遺産車に選定され、バイクファンにとっては国宝級のマシンなんですよ。

――Z900RSとZ1はどういう関係でしたっけ?

青木 2018年にZ1をオマージュしたZ900RSが登場して大ヒットを記録。以来、401㏄以上のカテゴリーで4年連続販売台数トップを快走し続けています。

――今回の特別仕様車はZ650RSも火の玉カラーでしたよね?

4月28日(木)に発売を予定しているZ650RS 50thアニバーサリー。価格は110万円

青木 正直、僕も驚きました。Z650RSのルーツは76年に誕生した「Z650」、通称〝ザッパー〟で、Z1やZ2とは異なりグリーンの印象が強い。今回限定車で火の玉カラーを設定したということは、Z650RSが現代版Z2の役目を意味しているのかなと。いずれにしても、2台揃い踏みの火の玉カラーはファン感涙のサプライズプレゼントですね。

――標準モデルとの違いは色だけスか?

青木 フューエルタンク上部には50周年のロゴ、専用エンブレムをサイドカバーに備え、グラブバーを標準装備し、シート表皮も専用です。極めつけは足まわりにゴールドホイールが輝きます。

――有名人も買ったとか?

青木 はい。火の玉ストレートで大活躍した元阪神タイガースの藤川球児さんがZ900RSの限定仕様を購入したというニュースを目にし、虎党の僕としては大喜びしています。ちなみにすでにいくつかのカワサキプラザ(正規店)では完売御礼となり予約受付を一旦止めています。

――ほしい人はどうすれば?

青木 知り合いの著名なモータージャーナリストも申し込みましたが、抽選に落ちました。キャンセル待ちを受け付けてくれる販売店を根気よく見つけるしかありませんね。

★取材して解説してれた人 
青木タカオ(takao AOKI)
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』を運営