2008年以来の全面改良を受けた日産自慢のスポーツカー「フェアレディZ」。1969年の初代から数えると今回の新型で7代目だ

ついに新型フェアレディZの日本仕様がデビューした。どんなクルマに仕上がっているのか? 発表イベントで司会を務め、至近距離で新型をチェックしたクルマ系YouTuberの河口まなぶ氏に聞いた。

■内田社長はZを自腹購入

――1月14日、千葉県千葉市にある幕張メッセで開催された世界最大級のカスタムカーの展示会「東京オートサロン2022」で、ついに新型フェアレディZの日本仕様が発表されました。その発表イベントで河口さんは司会を担当。

登壇者は日産の内田誠社長兼CEO、そしてレーシングチーム「KONDO RACING」の近藤真彦監督。河口さんはそのおふたりからフェアレディZに対する熱い思いを引き出していましたね?

河口 フェアレディZは1969年に初代が誕生し、今回登場した新型で7代目になります。世界累計販売台数は180万台以上を誇るスポーツカーで、クルマ好きはこちらが黙っていても熱く語りますよ。

左から発表会の司会を務めた河口まなぶ氏。中央が日産の内田誠社長兼CEO。右が「KONDO RACING」の近藤真彦監督

――新型は14年ぶりのフルモデルチェンジですが、最初にお披露目されたのは?

河口 2020年9月16日にプロトタイプが発表され、昨年8月にニューヨークでアメリカ仕様が公開されました。そして今回初めて日本仕様の詳細が明らかになりましたね。ボディサイズは全長4380㎜×全幅1845㎜×全高1315㎜です。

――気になるエンジンは?

河口 3リッターV6ツインターボのVR30DDTT。最高出力は405PS、最大トルクは475Nmです。トランスミッションは6速MTと9速ATの2種類が用意されています。

販売開始は今年6月下旬の予定で、最初に提供されるのは特別仕様車の「プロトスペック」。専用装備満載で販売台数は限定240台。価格はMT、AT共に696万6300円です。

ちなみにこの特別仕様車を購入する場合は『新型フェアレディZメールマガジン』へ登録し、オンラインでの申し込みが必要です。もし240台を超える応募があった場合は抽選になります。2月7日から申し込みを開始しています。

――一部ファンの間では696万円という価格について賛否が渦巻いています。

河口 696万円という価格だけを耳にすると、驚く人もいるかと思いますが、3リッターV6ツインターボで最高出力405PS、最大トルクは475Nmですからね。グローバルモデルとして価格を見ると、日産はかなり頑張っていると思います。

つけ加えると、世界的に環境規制が厳しくなっていますから、ガソリン車のフェアレディZを新車で手に入れるのはこの7代目がラストチャンスになるのかなと。正直、日産はよくこのご時世にスポーツカーを出しましたよ。

特別仕様車の価格は696万6300円!! 7代目フェアレディZ。最高出力は先代が336PSで、新型が405PS。実に2割以上もパワーアップしている。フェアレディZ史上最強のエンジンを積んだ、その走りに期待が膨らむ

7代目フェアレディZは歴代モデルをオマージュしたデザインが話題になっているが、実物を見ると、しっかり「令和風」に仕上がっている

12.3インチのフルデジタルメーターディスプレイのデザインは、日産のレーシングドライバーである松田次生選手がアドバイス。たぎるぅ!

――スペックを踏まえると、7代目はどんな走りになりそうですか?

河口 3リッターV6ツインターボの後輪駆動だとジャジャ馬的な走りのクルマを想像する人も多いと思いますが、僕は逆に大人が乗っても楽しめるクルマに磨き上げてくると予想しています。

――なるほど。河口さんが運営するYouTubeチャンネル『LOVECARS!TV!』の登録者数は39万人を軽く突破しています。ズバリ、新型フェアレディZの動画の反響は?

河口 わずか数日で50万回再生を記録しました。視聴者さんの反応もおおむね好意的でした。まぁ、新型のフロントマスクが「自分の趣味と違う」という声も一部にはありましたけどね。

――50万回再生ってけっこうスゴい数字なんスか?

河口 ええ。ただ、同時期にアップしたトヨタのミニバン(ノア&ヴォクシー)は数日で100万回再生を達成しています。注目度の高さに関してはミニバンに軍配が上がりましたが、スポーツカーとしては群を抜いた数字だと思います。

――ちなみに日産の内田社長は以前、『LOVECARS!TV!』に出演されていますよね?

河口 昨年の8月8日にアップした動画にご出演いただきました。内容的には内田社長がノートオーラを運転し、僕が助手席からインタビューしている感じですね。

――そのときの印象は?

河口 日産について熱く語ってくださいました。クルマが本当に大好きな方だなと。

――そんな内田社長は7代目フェアレディZについて何かお話をされています?

河口 7代目とアリアを自腹購入するそうですよ。

――マジか!

河口 余談ですが、内田社長が社会人になって初めて買ったクルマは1989年にデビューした4代目フェアレディZ(Z32)の新車です。しかも、内田社長が新卒で入った会社は日産ではありません。だからこそ、筋金入りのZ乗りなんだなと思いますね。

――ほかにはどんなお話を?

河口 内田社長はすでに新型フェアレディZに試乗しているそうで、「操縦安定性が高く運転がうまくなったみたいだ」と話していました。

――世界的な環境規制やガソリン高騰で、現在スポーツカーは肩身の狭い状況です。新型はスポーツカーの存在感を示すことができそうですか?

河口 僕はまだ試乗していませんが、新型フェアレディZはスポーツカー文化を盛り上げてくれるクルマですよ。

●河口まなぶ
クルマ系YouTuber&モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。YouTubeチャンネル『LOVECARS!TV!』(登録者数39万人超)