開幕優勝を決めたのは、ドゥカティのサテライトチーム「グレッシーニ・レーシング」のエネア・バスティアニーニ選手。喜びが爆発! 開幕優勝を決めたのは、ドゥカティのサテライトチーム「グレッシーニ・レーシング」のエネア・バスティアニーニ選手。喜びが爆発!

3月6日、2022年のMotoGP開幕戦カタールGP決勝がロサイル・インターナショナル・サーキットで開催された。開幕優勝を決めたのは、ドゥカティのサテライトチーム「グレッシーニ・レーシング」のエネア・バスティアニーニ選手。3月20日(日)に迫った第2戦を含め、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が特濃解説する!!

* * *

青木 F1に並ぶモータースポーツの最高峰MotoGPの2022年シーズンがカタールで開幕しました! 史上最多21戦の長丁場、まず勝ったのはドゥカティのサテライトチーム、グレッシーニ・レーシングのエネア・バスティアニーニです!

――サテライトチームってなんスか?

青木 サテライトチームとは、ホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、KTMの4社からそれぞれに車両供給を受けて活動するプライベートチームのことです。

――えっと、2軍みたいな感じ?

青木 いやいや、とんでもない。実力は肉薄していて、本命不在の今季はワークス、サテライトを問わず計24名のライダーは、それこそ誰にでも表彰台に立つチャンスがあると思います。それが証拠にバスティアニーニは昨季同戦の優勝タイムを約15秒も短縮する超ハイペースでの勝利でした! 2位には「マシンのコーナーリング性能が高まった」と、KTMのブラッド・ビンダーが食い込んで欧州メーカーの勢いを感じましたね!

2位はKTMのブラッド・ビンダー選手。青木氏も指摘するように開幕戦はとにかく欧州勢がチョー強かった! 2位はKTMのブラッド・ビンダー選手。青木氏も指摘するように開幕戦はとにかく欧州勢がチョー強かった!

――最高峰MotoGPに挑む唯一の日本人ライダーの中上貴晶選手の結果は?

青木 予選は16番手。「僕の前で何人か転倒するライダーがいたので、落ち着いて走行し、とにかく完走しようと思いました」と安定したペースと粘り強い走りで、10位でチェッカーを受けました。ホンダはポル・エスパルガロが3位表彰台を獲得。「終盤のペースは限界だった」と振り返っています。絶対王者マルク・マルケスは「(レース全体の)ペースが速すぎた」と5位止まりでした。

初戦カタールGPで10位入賞を決めた中上貴晶選手は、MotoGP最高峰クラス5シーズン目。第2戦に期待! 初戦カタールGPで10位入賞を決めた中上貴晶選手は、MotoGP最高峰クラス5シーズン目。第2戦に期待!

――昨年チャンピオンのヤマハのファビオ・クアルタラロは?

青木 「これが精一杯」と9位に沈みました。高速コースのカタールでは、マシンのパワーが足りなかったようですね。

――3月20日に行なわれる次戦の予想は?

青木 25年ぶりのインドネシアGPです。1996年にミック・ドゥーハン、翌97年に岡田忠之とホンダが連勝しています。昨年11月のスーパーバイク世界選手権でこけら落としされたばかりのマンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットが舞台となりますが、エスパルガロ、中上らホンダ勢は新開発したRC213Vに手応えを感じていますし、2月の公式テストでもエスパルガロがトップタイムをマークしています。

――ホンダが有利?

青木 いや、そう簡単にはいきません。2月のテストでは路面に不満を漏らすライダーが続出し、舗装をしなおしてのレースですからね。激戦は必至です。昨シーズンは全18戦で8名ものライダーが優勝し、ドゥカティが7勝、ヤマハが6勝、ホンダが3勝、KTMが2勝と勝ち星を分け合いました。今シーズンはもっともつれると思いますよ!

青木タカオ takao AOKI
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』を運営

写真協力/グレッシーニ・レーシング、ホンダモーターサイクルジャパン、ヤマハ発動機、スズキ、ドゥカティジャパン、KTMジャパン