今回、日帰り弾丸試乗したノートオーラ4WD・G。ノートオーラの価格は261万300~295万7900円 今回、日帰り弾丸試乗したノートオーラ4WD・G。ノートオーラの価格は261万300~295万7900円

--昨年の日本カー・オブ・ザ・イヤーは、日産のノートシリーズでした。

渡辺 そこで今回、あらためて実力を探ろうと、ノートオーラ4WD・Gで550kmの日帰り弾丸試乗に出かけました。目的地は福島県の浪江町です。ご存じのように浪江町は東日本大震災で甚大な被害を受け、復興の過程にあります。日産はクルマを使った新しいライフスタイル、これに伴う経済の活性化を実践しながら支援しています。そこを見学しながらのロング試乗でした。

ーーノートオーラを550㎞試乗した率直な感想は?

渡辺 ノートオーラは上品なコンパクトカーで、旅の気分を優しく盛り上げてくれました。ノートをベースに開発されましたが、内装は上質で、シートの座り心地も適度に柔軟だから快適。特に前席は腰の支え方が絶妙で、長時間運転でも疲れにくいのが特徴ですね。

--ふむふむ。

渡辺 また、ノートオーラが搭載する日産自慢のe-POWERは、ノイズが小さくて加速も滑らかなので、まさに〝小さな高級車〟という感じでした。後席も広く、今回は大人3名の乗車でしたが、窮屈さは感じず、カメラ機材もタップリ積めました。

--走りはどうでした?

渡辺 今回試乗した4WDは、前輪に加えて後輪にもモーターを搭載するため、電子制御によって前後輪の駆動力が最適に配分されます。雪道だけでなく、峠道などを走る時も安定性が非常に高いという印象でした。

--オールマイティなクルマであると?

渡辺 はい。ノートオーラは、コンパクトカーの特徴とされる運転のしやすさと低燃費。ミドルサイズワゴン並みの居住性や実用性を両立させています。正直、ノートオーラが1台あれば、日常的な買い物から今回のような長距離ドライブ、さらにスポーティな運転まで、幅広いニーズを満足させてくれると思います。

ノートオーラのインテリアは、ベースのノートよりも上質に仕上がっている ノートオーラのインテリアは、ベースのノートよりも上質に仕上がっている

--ちなみにお値段は?

渡辺 ノートオーラGの2WDは261万300円です。ノートオーラのベース車である、ノートの最上級グレードのXに比べ約42万円高くなりますが、ノートオーラは装備を大幅に充実させています。後方の車両を検知して知らせる後側方車両検知警報、ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑えるアダプティブLEDヘッドライト、17インチアルミホイールなどを標準装着しています。そのためノートオーラGの価格がノートXに比べて約42万円高くても、この内の約26万円は装備の違いで埋まります。

--そうなると?

渡辺 価格差の42万円から装備換算額の26万円を差し引いた16万円で、ノートオーラは外観と内装の質を高め、e-POWERの動力性能や走行安定性も向上させています。

--なるほど。ほかに推しグレードは?

渡辺 ワタナベ的にはGレザーエディションも推しですね。Gに約9万円を加えると、シート生地が本革になり、後席のセンターアームレストも加わるからです。

--では、今回の弾丸試乗の総括をお願いします!

渡辺 復興していく浪江町とノートオーラは、両方とも前向きで似たところがあるように思いました。心残りは浪江町の復興のシンボルである「道の駅なみえ」で昼食を考えていたんですが、あいにく定休日だったこと。次は浪江町自慢のB級グルメ、「なみえ焼そば」をぜひ食べたいですね。

2020年8月に始動した道の駅「なみえ」。浪江町にとってこの道の駅は、町の復興のシンボルでもある 2020年8月に始動した道の駅「なみえ」。浪江町にとってこの道の駅は、町の復興のシンボルでもある


渡辺陽一郎 Yoichiro WATANABE
カーライフジャーナリスト。自動車専門誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務める。著書に『運転事故の定石』(講談社)など。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員