今年3月の新車販売総合ランキングが発表されたが、首位は3カ月連続で〝絶対王者〟「N‐BOX(エヌボックス)」だった。一方、日産のルークスも売れに売れた。その理由は? 『月刊くるま選び』の元編集長で、カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
■月販2万5529台(!)
――4月6日、日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が、今年3月の新車販売総合ランキングを発表しました。1位は?
渡辺 昨年12月に改良を受けたホンダの軽自動車「N‐BOX」です。実に2万5529台(!)をマークし、3カ月連続のトップに輝きました。安定の強さですね。
――先月よりかなり売れてませんか?
渡辺 3月は決算期で、1年で最も多くクルマが売れる月ですからね。今年は納期の遅延によって3月の売れ行き自体は伸び悩みましたが、それでもN‐BOXは、2月に比べて5500台以上増えていますね。
――スゴ!
渡辺 3月のN‐BOXの販売は「好調」と言っていいと思いますね。ちなみに2位はトヨタ・ヤリス、3位もトヨタでカローラシリーズでした。
――今回のランキングで話題になっているのが、6位の日産の軽自動車「ルークス」です。
渡辺 ルークスは頑張っていますね。3月の販売台数は1万3245台でした。この数字は前月比約1.9倍です。ちなみに軽自動車部門では2位です。
――ルークス躍進の背景には何が?
渡辺 ルークスはエアバッグに不具合が生じて、生産と出荷を停止していたんですよ。
――なるほど。
渡辺 そのため大量の受注を抱えています。先ごろ、リコールを実施してルークスの生産が再開されたため、届け出台数が一気に増えました。それが6位の大きな理由です。しばらくは受注台数の解消のために、フル生産します。
――ちなみにN‐BOXは「月販3万台に迫りそう」なんて声も飛んでいます。
渡辺 まぁ、パーツなどの供給次第ですよね。納期が通常の状態に戻ったら、月販3万台は無理にしても、安定的に2万6000台前後は販売できるでしょう。N‐BOXの人気は根強いですから。
★渡辺陽一(わたなべ・よういちろう)
カーライフジャーナリスト。執筆媒体多数。『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務め、フリーランスに。著書に『運転事故の定石』(講談社)など。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員