EVのパイオニアである日産が放ったクロスオーバータイプのSUV型EV「アリア」。日産の世界戦略車でもある。価格539万~790万200円

木村拓哉さんの出演するテレビCMが話題を集めている日産のフラグシップEV「アリア」。ぶっちゃけ、販売状況はどうなの? そこで、自動車専門誌の元編集長でカーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が、アリアのマーケティングを担当している日産の織田康宏氏を直撃した。

■特別仕様車は約6800台を受注

--日産の新型電気自動車「アリア」のデビューは2020年7月です。翌年の6月には特別仕様車「リミテッドシリーズ」の予約注文を開始しました。そして11月に正規グレードのB6・2WDの販売をスタートしました。

織田 はい。

--しかしですよ、B6の4WDや、大容量リチウムイオン電池を搭載するB9の2WDと4WDは価格が未だに不明です。いくつかの販売店に聞くと、「リミテッドシリーズのB9を今でも売っており、販売方法が分かりにくくて申し訳ありません」と恐縮しています。なぜアリアの売り方はこんなにも難解なのか。なぜ全グレードを一気に販売しないのか。その理由を教えてください。

織田 新型コロナの影響で現在、半導体などが供給不足で、入念な生産を行なっているため、発売スケジュールがわかりにくくなっています。そこで21年11月の時点で、今年3月下旬としていたB6・2WDの発売を5月12日に延期しました。

--納車など今後の見通しについてはいかがです?

織田 特別仕様車となるB6・2WDリミテッドのお客さまについては、4月中に納車を終了させる予定です。

ーー現在までの受注は?

織田 おかげさまでリミテッドシリーズは、約6800台の受注をいただいております。

--グレード別の販売構成比率は?

織田 リミテットシリーズで見ると、B9のe‐4ORCE(イーフォース)が一番多いですね。

--動力性能が最も高い91kWhの駆動用電池を搭載する4WDモデルですね。最上級グレードで、価格は790万200円です。アリアはどのような方が、どのようなクルマから買い替えているのか気になります。日産の電気自動車だからリーフが多い?

織田 いいえ。先に発売したリミテッドシリーズを見ると、実は日産以外のお客さまが43%に達します。リーフを含む日産車からの買い替えは特に多くはないですね。

--アリアと同じSUVからの乗り替えは?

織田 アリアのお客さまの下取り車は、セダンからミニバンまで、カテゴリーが幅広いです。

--ちなみにトヨタの新型EV「bZ4X」は、カーリースの「KINTO」のみの販売です。アリアに新しい施策はありますか?

織田 アリアはフツーに販売店で売っていますが、オンライン購入も可能です。署名などの手続きも、店舗まで行かずに画面上で済みます。販売店で実際に対面しているときと同じことを画面上で行なえます。

ーーアリアは〝新生日産〟を象徴する魅力的なクルマだと思います。だからこそ、ユーザーも、販売店も、誰もが納得できる売り方をしてくださいね。


☆渡辺陽一(わたなべ・よういちろう)
カーライフジャーナリスト。執筆媒体多数。『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務め、フリーランスに。著書に『運転事故の定石』(講談社)など。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員