4月28日、カワサキは新型「Z650RS」、そしてZブランドの50周年を記念した限定モデル「Z650RS 50thアニバーサリー」を発売した。早速、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が、公道に引っ張り出して徹底チェックした!
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■大型バイクの入門としてもオススメ
――青木さん、何をニタニタしてんスか?
青木 つ、ついに発売されたばかりのZ650RSに乗ったんですよぉぉぉ!
――今日はやけに熱いスね。
青木 そりゃそうですよ。入手困難で、もはやお宝状態のZ50周年の限定色、通称〝火の玉カラー〟に乗ったんですから、たぎりまくりです!
――あのー、火の玉カラーってそんなスゴいんスか?
青木 火の玉と呼ばれるファイヤーボールカラーは、1972年にその性能の高さとスタイリッシュさで世界市場を席巻した900スーパー4〝Z1〟が初採用し、翌73年の国内版750RS〝Z2〟にも起用されて大ヒットしました。
――ふむふむ。
青木 バイクファンの間で伝説的人気が続きましたが、2018年発売のZ900RSで火の玉カラーが復活すると再ブレイク! 引っ張りだこになっているところにきて、Z50周年のアニバーサリーモデルに火の玉カラーが出たわけです。今度はZ900RSと、その弟分であるZ650RSに特別限定車として登場したんです。
――兄弟そろってお宝?
青木 両車とも発表されるやいなや瞬く間に予約が終了! ちなみにZ650RSは1977年のZ650、通称〝ザッパー〟の復活モデルです。大きすぎないジャストサイズな車体に、パワーを持て余すことのない扱いやすいエンジンを積み人気を博しました。
初代のグリーンを再現した標準仕様に加え、火の玉カラーのZ50周年記念カラーもラインナップされ、ファンは悶絶(もんぜつ)です。
――今回、公道でネチネチ試乗した感想は?
青木 兄貴分のZ900RSとの大きな違いはエンジンがツインであること。ベース車両のZ650は応答性に優れる軽快なハンドリングと、街乗りやワインディング、ステージを問わず自在に操れる出力特性の並列2気筒エンジンを積み定評がありました。
――へぇー。
青木 その長所をそのままにZ650RSではハンドルを引き上げたことでグリップ位置が近づき、乗車姿勢がよりゆったりしたものに!
また、「フォーン」と高回転になるにつれ、パワーを絞り出す4発より、低い速度域から力強い2発は乗り手の技量を問わないフレンドリーさが魅力です。加えて最新の2気筒は高回転まで「ブウォォーン!」と力強い上、バランサーによって昔のような不快な振動がない。
――マジか!
青木 街乗りで多用する低中速は扱いやすく、高速道路やワインディングで高回転まで引っ張り上げてもパワフルです。コアなファンの間には、「Zは4発じゃなくちゃ!」という声もありますが、Z650RSに乗れば「ツインもいいね!」という声が増えると思いますね。
――Z650RSは大型バイクなんスよね?
青木 そうです。ただし、身のこなしが軽い。リアタイヤが900より細いのも効いていますね。全域で扱いやすいツインエンジンと、思いどおりに操れる軽快な車体の組み合わせで、大型バイク入門機としてもオススメできます!
――なるほど。
青木 ちなみにここからはアオキの妄想ですが、実はZ650RSのベース車両のZ650にはZ400という兄弟車が存在します。当然、Z400RSの新発売を期待しますよね!
――そんな簡単にZ400RSが登場しますかね?
青木 かつてZはヨンヒャクもバツグンの人気を誇りましたし、2009年に発売したゼファーχ(カイ)ファイナルエディションは、400ccで火の玉カラーを採用しています。その再来はバイクファンにとって待望であり悲願です。
普通二輪免許で乗れるとなれば、大ヒット間違いナシ! 〝漢(おとこ)〟カワサキに期待ですよぉぉぉ!
●青木タカオ
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』