幅広で絞り角の浅いハンドルのため上半身は緩やかな前傾姿勢となり、アグレッシブな走りにも対応する 幅広で絞り角の浅いハンドルのため上半身は緩やかな前傾姿勢となり、アグレッシブな走りにも対応する

ハーレーダビッドソンから水冷エンジンを搭載した、新世代モデル第3弾となる「ナイトスター」がデビューした。そこで、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏が高速道路を中心に粘着試乗し、その実力に迫った。

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■販売を牽引する新世代ハーレー

高速道路を中心に試乗した青木氏いわく、「誰でも気軽に乗れるのがナイトスターの魅力ですね」 高速道路を中心に試乗した青木氏いわく、「誰でも気軽に乗れるのがナイトスターの魅力ですね」

――ニッポン市場でハーレーが鬼売れってマジ?

青木 そうなんです! 今年3月下旬に開かれたハーレーのニューモデル「ナイトスター」の発表会で、ハーレーダビッドソンジャパンの野田一夫社長は、「ハーレーブーム到来!」と高らかに宣言しました。

実は今年1~3月の販売が昨年の同期比66%増しを記録! この数字は1989年の日本法人の設立以来過去2番目の実績です。

――好調のワケは?

青木 新型のパンアメリカ1250/Sと、スポーツスターSが販売を牽引(けんいん)しています。今回試乗したナイトスターは、パンアメリカ、スポーツスターSに続く、新世代ハーレーの第3弾でもあります。

――海外ブランドの中でもお値段が張るハーレーが飛ぶように売れていると。そんなに新世代モデルはいいんスか?

青木 パンアメリカはハーレー初のアドベンチャーツーリングです。少しくらいの悪路も進めます。

――パンアメリカはハーレーに新しい風を吹かせた?

青木 ええ。野田社長もアオキに「予想以上に売れています」と胸を張っていました。

ハーレーダビッドソン ナイトスター 価格:188万8700~191万9500円 今年4月にデビューした「ナイトスター」。新世代ハーレーの第3弾となるクルーザーモデル。ちなみにフロントブレーキはブレンボ社製 ハーレーダビッドソン ナイトスター 価格:188万8700~191万9500円 今年4月にデビューした「ナイトスター」。新世代ハーレーの第3弾となるクルーザーモデル。ちなみにフロントブレーキはブレンボ社製

――では、スポーツスターSはどんなバイク?

青木 1957年から続く超ロングセラー「スポーツスター」の新世代として登場しました。65年も続いた由緒正しき系譜で、昔ながらの空冷Vツインエンジンをずっと積んでいましたが、環境規制への対応が難しくなり惜しまれつつ生産終了。ファイナルエディションが昨年12月に発表されると予約段階で即完売という大反響でした。

それに代わる新型がスポーツスターSです。ただし、1909年から続く伝統のVツインはそのままですが、エンジンを空冷から水冷にしました。

メーターは速度計のみのアナログタイプだが、走行距離、エンジンの回転数なども確認できる メーターは速度計のみのアナログタイプだが、走行距離、エンジンの回転数なども確認できる

アイコニックなタンクカバー形状やツインショックなど、スポーツスター伝統のスタイルを継承している アイコニックなタンクカバー形状やツインショックなど、スポーツスター伝統のスタイルを継承している

――そして同じく新開発の水冷エンジンを採用した3番目のモデルがナイトスターというわけですか。高速道路で試乗した感想は? パンアメリカやスポーツスターSとエンジンは同じなんスか?

青木 いいえ、違います。パンアメリカとスポーツスターSは1250ccで、どの回転域からでもトルクを引き出せる可変バルブタイミング機構(バルブ開閉時期を回転に応じて緻密に制御する)が備わっていますが、ナイトスターは975ccで、可変バルブタイミング機構を吸気側のみにする専用設計が施されている。

パンアメリカやスポーツスターSは排気量の大きさにモノをいわせてバーンとトルクが出るのに対し、ナイトスターは扱いやすくフレンドリー。アクセルをワイドオープンにする楽しさがあります。

――乗り味は異なると?

青木 シャープで身のこなしが軽いですね。その理由は、フロント19インチ、リヤ16インチに細身のタイヤを履かせたのが利いている。ヒラヒラしたステアリングフィールで実に軽やかだった先代スポーツスターのスタンダードと同サイズのタイヤサイズですが、ナイトスターはフロントに荷重が乗り、接地感と安定感のあるハンドリングを実現。現代的なスポーツバイクに仕上がっていますね。

安全装備もテンコ盛りのナイトスター。ABSやトラクションコントロールなどを装備 安全装備もテンコ盛りのナイトスター。ABSやトラクションコントロールなどを装備

――なるほど。

青木 一方で電子制御によるライドモードが備わっており、雨天時などにスロットルレスポンスを穏やかにしてタイヤのスリップを防ぐレインモードにすると、ゆったりノンビリ走ることもできます。

――ズバリ、ナイトスターは売れますかね?

青木 すでに販売店には注文が殺到しているとのことで、コイツは鬼売れ確定です!

身長175cmのアオキの場合、ヒザが曲がったままカカトまで両足がべったり地面に届く。足つき性はバツグン 身長175cmのアオキの場合、ヒザが曲がったままカカトまで両足がべったり地面に届く。足つき性はバツグン

●青木タカオ 
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み[第4版]』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』

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